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ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

ガキだねぇ~

2012-06-07 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
珠「わぁい」パッと、義隆の手を放して、タタタタ…、おじちゃんの所に走り寄った。
義隆「あ…珠ちゃん…」
斎藤「へっ。フラれてやんの」
義経「初恋や 雨露となり 手の平の 珠は儚く 消ゆるるかな」
池田「失恋歌ですか…」小指にアメを付けて、
斎藤「お前ら、人の不幸笑うタイプだろ?」
池田「当然、人の不幸は蜜の味」ペロッと舐めて「…って言うでしょ」
義経「だってよ、気を付けとけよ…斎藤」
斎藤「…」
義経「城落とすために手段を選ばねぇタイプだ」
池田「要の城なら、已む得ないでしょ」例えば、犬山城攻め。
珠「ねぇ。隆(たか)くんも、一緒になめようよ」おいで、おいでして、
斎藤「珠ちゃんは優しいなぁ…」
義隆「珠ちゃんッ、そいつは、ダメだよ…」って言ってるのに、
珠「おじさん、アメ下さいな♪」
斎藤「お、珠ちゃん。偉いな、ちゃんとお願い出来んのか?」割り箸一本を、
パキッとへし折って「持つ時、気をつけな」と珠ちゃんに渡した。
珠「これね、こうして…」くるくる、くるくる、巻いて…ペロッと「あっまぁぃ♪」
斎藤「おぉ、やり方も分かんのか、偉い偉い」頭をなでなでして、チラッと小僧を見たら、
義隆「…」俺を恨めしそうに睨んでやがった。
斎藤「美味しぃ~よなぁ、珠ちゃん♪」練アメをチラつかせて、誘導して…、
義隆「い、いらないよッ…アメなんて…ガキっぽいし…」
斎藤「ヘソ曲げるとこが、ガキだねぇ~」
池田「おい、斎藤。子供相手に…」
義隆「子ども扱いすんなッ」
池田「何?」その言葉遣い…、しかも、先生に対して、
スタスタ…と義隆の方に歩み寄り、
す…と、義隆の前でしゃがんだ。
彼の肩に手を置き、彼と目線を同じくして、
ゴンッ

斎藤茂吉?

2012-06-06 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
屋敷に戻ったその足で、すぐに厨房に向かい、大量に割り箸をくすねてっと、
斎藤「おい、戻ったぞ」ツボを抱えて、中庭に顔を出した。
義経「お?それ、練アメか!?」
斎藤「あぁ」
義経「照さん、ビンゴだな」
斎藤「あん?」
池田「照さんのお姉さん、から…だろ?」
斎藤「何意味分かんねぇ事言ってんだ?」自腹だ、自腹。
池田「プラトニックDr.斎藤してたんじゃないのか?お前…」
斎藤「茂吉と一緒にすんな」※斎藤家に養子に入った精神科医で歌人。英語交じり歌を詠む。
義経「ふぅ~ん」しげしげぇ~と見て、
バリッと包装紙を破って、
紐をほどいて、
「ドロドロぉ…」ツボの中を覗き込んだ。
斎藤「舐めた事ねぇの?」※珈琲 トースト ホットケーキ、料理の照りに如何です?
池田「これが、一般庶民のお菓子か…」ツボを持ち上げて、裏を見た「(作者)名が無いな」
斎藤「何でも鑑定士かッ」
池田「山形山村 最上上流の碁点焼き…の紛い物と見た」
斎藤「ほう、なら…Open The Price」
機械音に声を変えて、
義経「イチッ ジュウッ ヒャクッ センッ マンッ ジュウマンッ ヒャクマンッ センマン…」
池田「そんなに高くないでしょう。所詮贋作、500円が妥当です」
斎藤「ドンピシャ」525円/一壺(税込)でした。
そこへ、珠ちゃんとお手手をつないで、
義隆「あ…お前ッ!」斎藤を指差した。
斎藤「んだ?目上にお前ってなぁ躾けなってねぇぞ。しかも、俺の珠ちゃんの手ェ握んな」
池田「…」俺の珠ちゃんって…、お前、そういう趣味あったのか?
斎藤「年下の好みなんだよッ」ほれぇと、アメを見せて、
珠「あッ、ヤマさのおばちゃんアメだぁ」
斎藤「山長さくら本舗の水あめな。珠ちゃん。こっち来て、舐めな」

目玉商品

2012-06-05 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
あやめ「支店のため…だけですか?」
山長さん「支店…の…うぇ…え…ん」大泣きして「どうするんだよぉ…」おいおい泣いて、
あやめ「…」泣き方が、女優 高畑淳子さんみたい…。
何と無く分かっていた。
「私の代わりなんて、たくさんいる。ここで働きたいっていう人だって、たくさんいる」
私じゃなくても良いっていう人はたくさんいるし、私の代わりは、いくらでも…
山長さん「教えるの面倒なんだよ。一から教えて、覚えたと思ったら辞めちゃってさぁ…」
あやめ「なぜ、辞めていくのでしょう?なぜ、続かないのでしょう?」
山長さん「根性がないだけだろぉ、そんなの…」
あやめ「いいえ、必要性の問題です。必要だと思えば、女将さんのように、ずっとここを守ります。お店の味、ずっと、求められますよね。常連のお客様に…」
山長さん「常連さん…」
あやめ「ほら、ここに」おでこを差して「たくさんのお客さんの顔が浮かんだ」
山長さん「あやちゃん…うぇ…ん」
あやめ「私…お客様の顔、思い出せなかった…」
“菖蒲団子不振症”
「今日、お客様にお出ししたあやめ団子…残っていました。悲しかった。残ったお団子が可哀そうだと思えて、残したお客様のお顔を覚えていなかった。どんな表情でお菓子を見つめていたのか…私、お客様の心、何も見ていなかったんです」
山長さん「…」
あやめ「業務をこなすだけで…お客様の事、何も考えてなかった」
山長さん「…今頃、気付いて…バカかい?くっらぁ~い顔して、笑顔で接客も出来ない。お菓子のアクセントは笑顔だって言ってのに…、辞めてもらって清々だよ。ほんとなら、クビだよ、クビ…クビだよッ」バンッ、手をついて立ち上がって、裏の厨房に行ってしまった。
あやめ「お…女将さん…」
厨房から戻って来た、山長さん「退職金でないからね…代わりにこれ、持って…うッうぅ…」
あやめ「これ、新商品…」
山長さん「あやちゃんが火傷した時、閃いた…」
麩を作る要領で、棒に澱粉を巻き付けて、くるくる薪で焼き上げる、
あやめ「年輪菓子(バームクーヘン)…支店の目玉商品になりますね」

懐かしいな…

2012-06-04 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
山長さん「は?」
あやめ「そのお医者様は、心の傷が診えますか?」
山長さん「何言って…、」
あやめ「女将さんには、斎藤さんの心が診えましたか?」
山長さん「心?あぁいう人に心なんて無いんだよ」
あやめ「心無い方が、私に、この葉を付けてくれますか?」
山長さん「…」
あやめ「わざわざ、私を、お店まで送って下さいますか?」
山長さん「…」
あ…とさ、これ。くれよ。
くるくる…指を巻いて、
懐かしいな…、練アメだ。

あやめ「彼には、私たちの理解を超えた、計り知れない心があります」
山長さん「あ、あやめちゃん…」
あやめ「それに、ようやく気付きました」
畳に三つ指を付いて「長い間お世話になりました」お辞儀した。
山長さん「辞表提出直後に辞めるってのは…あのね、社会通念無視して、」
あやめ「この世の中に、社会通念(常識)が通用しますか?」
山長さん「そんな事言う子じゃなかったじゃないか、どうしちゃったんだい?」
あやめ「通念が、コロコロ変わって…。私には、付いて行けない」
“治りてぇんだろ?”
「治療に専念させて下さい」腕の葉っぱをそっと撫でて「…治したいんです」
山長さん「何バカな事言ってんだいッ」
あやめ「お…女将さん?」
山長さん「支店任せようって時に…」
ドンと、畳を叩きつけ「どうしてくれんだいッ」
あやめ「支店…?何…」
山長さん「辞めてもらったら、こっちが困るんだよッ」あやちゃんの腕を掴んで、
あやめ「い…」火傷の痕…「痛ッ」
山長さん「逃がさないよ」

感性の訴え

2012-06-03 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
山長さん「散々責め立てて…怖かったぁよぉ。あの人、絶対クレーマーだよ」
あやめ「絶対って…」
山長さん「世の中には、何でも因縁つけるのがいるからねぇ」
あやめ「でも…これ、」葉っぱ…
山長さん「あの手の客が一番危ない、有る事ない事吹聴して、営業妨害すんだよ」
あやめ「でも、私をここまで運んでくれた…」
山長さん「何年も客の顔見てんだから分かるんだよ、人相最悪」
あやめ「…私には、とても男らしい方に思えました…紳士的で」
山長さん「シンシぃ?あやちゃ~ん。狸じゃないんだよ。たかが葉っぱに絆(ほだ)されて…」
あやめ「たかが…葉っぱ…?」
山長さん「しっかりしとくれよ、最近ぼっとして…あの客の顔見たのかい?」
あやめ「しっかり、見ました」
“アンタが、菖蒲じゃなかったら、間違いなく、”
「あの方は、良い方です」
吹聴される斎藤さんが、実像と違ってる。間違ってる。
何、この違和感…?
違うって感性が訴える。
ふいに、胸に仕舞って置いた辞表を「私、辞めます」提出した。
山長さん「へッ!?」
あやめ「お世話になりました」
山長さん「何言ってんだい?いきなり、突然、唐突に辞表なんて…」ぱら…と開いて、
…斎 藤 利 祐…?
「汚い字だね」
あやめ「はい、それ。(先入観の)間違い」斎藤さんのマネをして、指摘した。
山長さん「え?」
あやめ「見た目だけで、斎藤さんを決め付けた、女将さんの判断ミスです」
山長さん「な、何吹き込まれたんだい?あの客に、なんか洗脳されたのかい?」
あやめ「洗脳…?」
山長さん「何か、言い包めらたんだろ?そうなんだ、お医者様に相談して…」
あやめ「そのお医者様は、男性恐怖症ですか?」

曼荼羅華の香

2012-06-02 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
斎藤さんから…、
母の、鬼子母神様の、
懐かしい香りがした。
あやめ「ん…」
夢から覚めた時には、
ぷつぷつと表面に焼き色を付ける…芳ばしい香りに変わっていた。
先日、私の腕を焼いてしまった薪の香りが漂って、
お菓子はほんのり黒く、私の腕は赤くなって…
その後、痒くなって、じくじくと。私の心みたいにじくじくと…って、
あれ?痒くない。腕を見ると、
「葉っぱ…?」が巻かれていた。
山長さん「気が付いたかい?」
あやめ「ここ…お店?」
山長さん「眠らされて、悪戯されなかったかい?」
あやめ「悪戯…?」
山長さん「大丈夫だね?って眠ってたから分からないか…。あの人、何考えてんだが…」
あやめ「あの人…?斎藤さん…?」
山長さん「あの客、まったく、どういう神経してんだろうね」
あやめ「何か、遭ったんですか?」
山長さん「頭、可笑しいんだよ」
あやめ「可笑しい…?」
山長さん「いきなり怒鳴ってさ、」
あやめ「怒鳴る…?」
彼女の、この火傷、どうしたんだ?
アンタさ、こんなぼっとしたヤツに火の元預けんの?
で処置しない?痕残ったら、どうすんだ?
この店、労災入っての?
保険降りたって、傷残ったら、意味ネェけど。
女、傷モンにして嫁に行けないだのなんだの訴えられて、
莫大な慰謝料払って、黙らせて御終い?

鬼子母神、失って知る痛みかな

2012-06-01 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
夢を見ていた。
確か…七夕、朝顔市。鬼子母神祭の日、お寺に母がいた。
「我が子が無事生まれますよう、鬼子母神様…元気な子に育ちますよう、お釈迦様…」
身重の母は鬼子母神に安産を祈っていた。今や、安産子安神だが、かつて、鬼子母神は他人様の赤子をさらっては喰らう夜叉女だった。
釈迦は子を奪われた母の苦しみを分からせんがため、夜叉女の末っ子をこっそり隠した。
「どこ?私の子はどこぉ。私の子を…返して…返して下さい…お願いだから、取らないで」
地面を叩き、顔を上げて天に叫ぶ。嘆きの形相、顔面蒼白。今にも気が狂いそうだった。
そこへ、末っ子を抱いた釈迦が現れ、こう言った。
“子を持つ親の痛み、分かったか?”
「は、はい。もう致しません。子を喰らったり致しません…どうか、どうか、我が子を…」
我が子に手を伸ばし、
“さぁ、母の許に、お帰り”
夜叉女の許に戻った赤子は、だぁ…、何が起こったか分からないようで、ただ笑っていた。
「わぁあぁ…。もう致しません…もう母から子を奪う事致しません。申し訳ない事をした…」
夜叉女は我が子を抱き、泣いていた。
“失って初めて、痛みが分かったか…”
「よく分かりました。痛い…子を失うと、こんなにも苦しく、痛いとは…」
“その痛みに気付いたなら、それで良い…”
「いいえ、良くありません。これから、この夜叉女…鬼の心を捨て、子と母と神になります」
夜叉女の青ざめた顔が我が子を取戻し安堵したか、みるみる白く、そして、微笑んだ顔は頬が膨み赤みが差していた。彼女の膨らんだ頬に涙の粒が曲線を描て流れ、それはまるで朝顔に朝露の珠の様に流れるかのようだった。
我が子を、そのふくよかなる胸に抱き、穏やかに微笑むその姿が神と成り、
後世、母と子の守護神 鬼子母神(きしもしん)といわれるようになった。

朝香る 目覚めた顔に 紫の 朝露に 涙濡れにける

「どうか、どうか、我が子を御見守り下さい。鬼子母神様…お釈迦様…」
朝顔市の鬼子母神祭。子を身籠る母は、神に祈る。我が子の無事と成長を…。

菓子の思い出、福の味

2012-05-31 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
むかーしむかし、ある村に悪っるい鬼さんがいて、赤ちゃんをさらって食べちゃいます。
赤ちゃんがさらわれないようにと村人たちは、赤ちゃんの身代りをこさえました。
「ジャーンッ。それがこれ、お饅頭よ」
おまんじゅう?真ん丸、白くて柔らか、ずっしり重くて、
「赤ちゃん、みたいでしょ?」
赤くねぇよ。全然。
「ふふ…じゃ、食べてみて」
ふぅ…ん?一口かじって、あ…!?
「赤いでしょ」
何だこれ?うめぇ…。
「赤ちゃんの代り。中には餡子がぎっしり。この美味しさにまんまと引っ掛かった鬼さんは、それからというもの、赤ちゃんを連れて行かなくなりました。チャンチャン」
これなら騙せる。だって、うめぇもん。残りを、一口で、パクッ、平らげた。
口の中の饅頭が、あぁあ…跡形もなく無くなって、後味だけが残った。
こんなうまいモン、食べれるなら、鬼になりてぇ。
「さて、ここで問題です。その後、鬼さんはどこへ行っちゃったでしょう?」
どこって…?
「お饅頭を食べられる場所といえば?」
菓子屋だ。菓子屋に忍び込んだ。
「でも、それじゃ、私…困っちゃうよ」
そうか…お福さん、困るよな。
「正解は、ここッ」ガバッと祐君に抱き付いて、
ッ!? 驚いた…。
「祐君の中に忍び込んだのでしたぁ」ギュッと強く、おばさんに抱き締められて…
お、お福さん…?
「祐君の鬼さん、捕まえたっと」抱き付いて来たお福さんを見て、
雪が、お兄ちゃんばっかり、じゅるいッ、抱っこ抱っことせがんだ。
「はいはい、今度は、雪ちゃんの魂ね」雪を抱っこして、
たましい?
「むしゃむしゃむしゃ…食べちゃった」

男のサガだな

2012-05-30 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
あやめ「え?ちょっと、待って下さい」斎藤さんに詰め寄って、
「次の講義、いつですか?」彼の腕を掴んだ。
斎藤「お…と?」男の腕掴めるようになってんじゃん、と。
チラッ、彼女の腕を見たら、火傷の痕が見えた。
「…機会があったらな」
あやめ「機会が…って、そんな…まだ、心理の読み方、教えてもらってないです」
斎藤「はい、それミス。人に頼って解せる脳じゃネェ。それに、」
あやめ「それに?」首を右に傾げて、斎藤さんの目を見た。
その仕草が菖蒲っぽくて…、
斎藤「もう見れるようなったじゃねぇか」
見つめられた目は、菖蒲に似て、
妙に艶っぽく、儚げで、
露の様に、また、消えちまいそうで、
放したら、どっか逝っちまいそうで、
あやめ「え?」抱き締めてしまった。
斎藤「…」やべぇと思った。
これ以上ここにいたら、情が移る。
“アンタが、菖蒲じゃなかったら、間違いなく、”
あやめ「あの、」斎藤…さ…んから、香が…。
懐かしい香りがした。
何?この香り…。
はるか遠く、脳の片隅で記憶している香を、思い出したくて、
その香りを思いっきり吸い込…ん…で、
かくんッ…「くぁ…」と、
斎藤「お、おいッ」口を開けて眠っちまいやがった!?なんでだ?
と思ったら、胸に朝鮮朝顔(曼陀羅華・麻酔)の実、仕込んでたんだっけか。
実を包んだ葉っぱを一枚取って、彼女の火傷に押し付けた。
菓子持ってっと「ヨッと」彼女をおんぶして、
「これじゃ…菖蒲ン時の二の舞だぁ」タイプでもねぇのに、世話焼いて。
この手の美人には弱いんだよなぁ、俺って。面倒クセェ…。

第三の目

2012-05-29 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
ぽんぽん、減点されて赤点だけど、会話が楽し…と思えた。とても不思議…感覚だった。
斎藤「人なんて信じてっから、痛い目見るんだ」
あやめ「…じゃ、どうして、お福さんからお菓子貰っていたんですか?」
斎藤「ガキが菓子にツラれただけだ」
あやめ「お菓子のため、だけですか?」
斎藤「それ以上でもそれ以下でもなく、欲しいモンは欲しい」
あやめ「男らしいんですね」
斎藤「ガキっぽいの間違いだろ」
あやめ「子供っぽい…?そんな事、無い。私…そんな事無かった…」
斎藤「普通、欲しいモンあったら、あれ欲しいこれ食わせろぉって、強請るだろ?」
あやめ「無い…そんな記憶、無い…周りに色々なモノがあったから…」
斎藤「はい、ミス。それじゃ、肝心な時に、肝心なモノもヤツ、手に入らねぇよ」
あやめ「肝心な人…」
斎藤「必要と思うヤツ」
あやめ「私、必要じゃなかったから…」
斎藤「はい、それミス。アンタが本当に必要としてねぇだけだ」
あやめ「じゃ…斎藤さんには、お福さんが必要だったのですね」
斎藤「…」
あやめ「ビンゴ、しちゃいました?」ピンッと人差し指を突き立てて、
顔を少し右に傾けて、ニッと笑ったら、
ツン…
「え?」斎藤さんに、おでこを突かれた。
斎藤「ビンゴ(人の心理を突く)出来るようになったじゃねぇか」
あやめ「ビンゴ…」
斎藤「いいか、敵か味方か、その真意(深層心理)を読め」
あやめ「おでこで…」
斎藤「ここで、見えねぇはずの脳が見えるはず」
あやめ「脳が…見える?」
ボーン、ボーン…、近くの寺の鐘が鳴った。
斎藤「はい、今日はここまで。時間だ」