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ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

要となる、DNA

2012-06-27 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
山本「平家の意志とか、源氏の血とか、俺にはそういう概念はもう無い」
池田「…」
山本「人ひとり、それぞれに心がある。俺は、それを守るだけだ」
松殿「寺で育つと、根本(性根の部分)からそうなるのか」
山本「寺で育っても、仏性が育つか否か、そいつ次第だ」
松殿「左様然らば、後の教育が…」
帯に挟んだ扇を取出し、
カタ…、タタタ…と開いて、
「要(かなめ)かな」

※扇の竹や木の部分 骨を束ねる一点を要と言います。
「そなたのように吐出した考えは、要に非ず」
山本「宮中の古いしきたりをお勉強させ、末は太政官。藤原摂関 関白の座に返り咲きか…」
松殿「返り咲き?ふん…後白河上皇亡き後、何の滞り無く、我らに政権は戻る」
池田「兼雅様、及び、ご子息兄弟様方が、太政官です」
山本「もうすでに、そのレールが引かれてるって訳だ。俺の息子も安泰だな」
松殿「七歳か…もう根底(精神的土台)が出来上がってる頃だな」
松殿「お前が、己の出生を知った年齢で、源氏に寝返った歳だ」
山本「寝返ったって、無礼な言い方だな。源氏に戻っただけだ」
松殿「清盛は、それを望んではいなかった」
山本「子供が素直に大人の作った列車に乗って、真っ直ぐなレールを突っ走ると思うなよ」
松殿「お前の血(DNA)なら、脱線も有り得る」
山本「脱線だけならいいが、離脱解脱も有り得る」
松殿「入道ばかり増えても困る」
山本「入道が遅いか早いかで、最期皆お釈迦だ」
松殿「婿殿…その忠告、有り難く胆に銘じるよ」
扇を、パタッと仕舞って、
「そういう飄々とした態度とモノの考えと厄介な仏性が育たぬよう教育係に申し付けよう」
山本「今、俺のJr.の面倒見てるのが、俺の仏性を育てた母だ」
“あなたは、中型(なかご・中子)よ”
松殿「さて、孫がいかに育っているか…」→末は、永平寺開山 道元禅師です。

賄賂合戦

2012-06-26 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
和田「焼け落ちた館の中からでは遺体の損傷が激しく、検視不可…」
山本「これを見せれば、アンタの首は繋がる」
(その後、頼朝の手に渡った懐剣 吼丸は伊豆のとある神社に奉納されたという伝承があり)
和田「俺のためか?」
山本「巴のためだ。また未亡人にしたら、それこそ義仲が化けて出てくるぞ」
ドロドロドロンと義仲の亡霊のマネをして、
和田「…」
ずず…と一口茶を啜って、
「で、その後、山本の足取りは?」
山本「俺は長男を迎えに行く」
松殿「常盤殿が一緒なんだな?」
山本「そういう情報だ」
松殿「ならば、迎えが必要だ。和田殿、護衛を頼むよ」
和田「…」
松殿「どうかな、ついでに京まで。宮中内を案内しよう」
和田「それは、それは、」視察偵察を兼ねて、京観光か…「楽しみです」
池田「…」
桐生足利を、鎌倉の抑えに置く。
足利を朝廷の守り固めに使おうというのか…。
しかし、ただで桂馬(犠牲の駒)を取られる足利ではなく、
和田「そうだ。今年は良い駿馬に恵まれまして…朝廷に軍用馬として寄進致しましょう」
松殿「桐生軍馬…それは良い」
和田「あぁ、それと、新しい奥方様に、桐生織など贈られては?」
松殿「西の西陣、東の桐生…新しい妻にどんな柄が似合うか…なぁ、義経?」
山本「さぁ…好みは、それぞれだからな。本人に直接聞いたらどうだ?」
松殿「常盤殿に会うのは、かれこれ5年ぶり…」
山本「壇ノ浦から5年…」
和田「5年という歳月は人を変え、生活を一変させる…」器を眺めて、
山本「だが、変わらないモノがある」茶を飲み干した。
池田「…“我茲二在り”…それが、あなたの信念なのですね」

本能寺炎上と高舘炎上

2012-06-25 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
義経「俺を死んだ事にしてくれ」
白い布に包まれた懐剣 吼丸を取り出した。
和田「こ…」見せられた懐剣は煤で汚れ、焼けて縮れた髪が絡まっていた…「この髪は?」
義経「妻のだ」
松殿「娘…葵の髪か?」
義経「高舘に火を放った時、火の粉が髪に付いた。それで切り落としたと聞いている」
松殿「なぜ、娘にそのような危険な役を…。しかも、妻を連れ去られる失態を演じ…」
義経「妻が捉えられるとは…」
松殿「考えてもみなかった?想定外突発性無差別事件で責任は無いとでも言うのか?」
義経「危険と知りつつ、妻に遺体隠蔽工作を指示したのは、俺だ」
池田「待って下さい。それには、私の母も関与しています」
義経「まだ、関与しているとは決まっていない。利用されているだけかも知れない」
池田「しかし…」
義経「その問題は、妻を連れ戻した後だ」
和田「そのために、死ぬ?」煤けた懐剣を見て…「亡霊となって連れ戻すとでも言うのか?」
義経「死んだ事にすれば、自由に動ける。このままでは動き難い」
源という出生が邪魔になった。
源氏の元棟梁であった事実と、それに取り巻く過去が行動の自由を奪う。だから、
「源 義経は高舘で自刃したと、兄 頼朝にこれを見せろ」包み直した吼丸を和田に渡した。
和田「…」
義経「ここで名を改めようと思う。みなもと…から、やまもと…山本の姓を名乗り…」
松殿「かつての影武者に成り済まそうと言うのか」
山本「別に…。ただ、山が好きなだけだ」
池田「伝説の軍配師、影武者…山本…義経…」
和田「源 義経の遺体は無く、懐剣は焼け残っていた…か」
山本「首が無ければ、遺留品鑑定の臨場だ。それで頼朝の納得するだろう」
※1189年 4月30日 藤原四代 泰衡は義経を自刃に追い込んだ。“炎上する高舘の中”で妻子と共に自刃を図ったとされる。その後、泰衡は義経の首として源頼朝に差し出し、奥州存続を図ったが、その首に疑問を持った頼朝は、その年の7月、奥州を責め滅ぼした。
泰衡は打ち取られた。その額には木釘が打ち抜かれていた。

入道様の御意志

2012-06-24 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
小さな気の乱れで、茶の湯の気泡が乱れる。
心を鎮めるために、
す…と吸気を入れ、香を利いた。
茶頭とは、どれほどの胆の座った人物だったのだろう。
松殿「池田…私も、頼むよ」碗を戻した。
池田「はい」
和田殿の碗も下げて、三人分の茶を入れ直した。
…で、義経さん。何をお考えで?
「ただ、義父と、茶が飲みたくなっただけだ。何も考えてない」
では、その懐剣は?
「あぁ、これか。妻の懐剣…」
松殿の局…葵さんの?
「何かの時は、これを使えって渡したんだが、戻って来ちまった」
その懐剣を、どうなさるおつもりで?
「どうすっかなぁと思ってな」懐剣 吼丸(こんまる)を抜いた。
それ…、
俺の懐刀 袷丸(こうまる)を出して、抜いて見せた。
「(兄弟刀の)片割れ…お前が持っていたのか」
はい。主君 資盛から、平家を頼むと預かりました。
「そうか…」
カチャ…、剣を仕舞って「なら、あの大うつけから、目を放すなよ」
義経さん。あなたは、今、源氏ですか?平家ですか?
「どっちでもない…」
血は源氏でも、心は平家。だから、御方様を守って下さった。
「の、つもりでいただけだ」
そのおつもりのまま、これからも、御方様の兄として…
「危なっかしい。その形見、仕舞え」
…。袷丸(こうまる)を鞘に仕舞って、
義経さん。俺たちと共に、平家の、(清盛)入道様のご意志を継いで下さい。
「悪いが…戦える“俺”は、もういない…分かってるだろ」

不即不離

2012-06-23 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
創造性豊かな茶の湯にふさわしく、一つの茶碗から個々人の世界観が表され、
義経「創造という無有(ムウ)の美…」
無から有を生む美学
松殿「有無(うむ)、美味い」茶を飲み、器を持ち上げ、裏を見た。それは、
「長次郎作※…」だった。
※利休の美意識を表現した侘びの姿 利休形(がた)を追及するのに、長次郎は欠かせない存在だった。利休の感性を具現化するには卓抜した技量が必要で、利休と長次郎はそういう関係にあったと言われる。聚楽茶碗の誕生は、利休有りきで、長次郎が茶の湯のためだけに、焼き続けたと言われる。
池田「茶の湯(利休)に碗(長次郎)は不即不離」義経さんには、黒樂茶碗に茶を入れて回した。
碁石を入れる器 碁筒底(ごげぞこ)になっていて、
義経「村雨か…」次の一手を定めたかのように、一口飲んだ。
和田「簡素な造りでありながら、その存在感は大きく…」茶を含んで「…深いな」
池田「そうですね」ちらりと義経さんを見たら、
ゾクッと、武者震いがした。
笑ってる…。
義経さんの、軍師の血が騒ぐと言った所だろう。
久しぶりに戦の緊張感を蘇らせ、三つ巴の至近戦を楽しんでいる。
碁や将棋じゃないですよ。
何を考えているのか…手が読めない。
義経さんの次の駒、どう動く?
義経「池田…もう一服頼む」
池田「はい」
こうしている間にも、義経さんは千里先を見据えているはず。
軍師とは、さも恐ろしきかな。
揺れる心を掴み、信頼を不動のものとする。
また、敵を煽り、勝利を手中に治めんとす。
刃なき戦は、肝を冷やす。
こんな状況下で茶を点てさせて…。
こっちの精神が先に来しそうですよ。まったく。

徹底した自然美

2012-06-22 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
池田「はい」
お干菓子を干菓子盆にのせて回した。
和田「蝶…」
池田「今回のお干菓子、蕨に蝶…」
偶然か、天の悪戯か。
白糖をあしらった揚羽蝶と芽吹いた春の蕨がモチーフの干菓子で、
松殿「まるで、蕨姫と、廊御方殿だ」
和田「?」
その理由を問うような視線を感じて、
池田「蕨は側室 繭子様の異名で、蝶は義経さんの妹君 能子様のお印です」と答えた。
和田「あぁ、能子殿の…」
松殿「蝶を食うに忍びないが…」お干菓子の蝶を手に持ち、繁々と見つめて、一口で食べた。
「程よく甘く、口に優しく残る」
池田「…。では、お薄差し上げます」
主と客の間合いをこれでもかという域まで縮め、
耳を澄ませば、相手の息遣いまで聴こえる静寂。
竹茶杓に抹茶を取り、
カツン…
碗を打って、落とした。
湯をそろそろと注ぎ、
シャカシャカシャカ…
茶筌で抹茶と油を攪拌し、茶を点てた。
薄茶をお出しして、
松殿「なんだ?この器は…」
池田「井戸茶碗 信長※です。薄茶色の大地に緑がよく映えます」※信長様所持した茶碗です。
徹底した、究極の自然美だった。和田殿にも茶をお出しして、
和田「これは?」
池田「高麗茶碗 斗々屋(ととや)※です」※千利休が、魚屋の棚から見出した茶碗。
井戸、熊川(こもがい)、斗々屋など高麗茶碗は、朝鮮半島で作られた茶碗で、雑器でありながら無心の創意があると、侘茶の心に通じると茶碗の中では最も貴ばれ、好まれた。

一期一会

2012-06-21 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
池田「運命に花咲かすも散らすも、この手次第」
茶を点てる前に、主菓子を配った。
「今、お出ししたお菓子は、埋れ木です」
滋賀彦根城銘菓 埋(うも)れ木。
手芒豆(てぼうまめ)と言われる白インゲンを炊き上げ、白餡に栗を混ぜて包み込み、最高級品砂糖の「和三盆糖」に抹茶を加えてまぶしました和菓子で、口に入れた瞬間にほろとくる甘みと、ふわっとほのかに香る抹茶が絶妙で、
柔らかな中に、栗のコロコロとした食感が面白く、
松殿「なかなか美味」
義経「彦根といえば、ひこにゃん。財政難に陥った彦根城主 井伊家を助けたネコが、後世ゆるキャラとなり、現在、彦根城下の経済効果、観光集客に尽力しているとか…にゃんとか…」
松殿「直弼か…」幕末の彦根藩主 井伊直弼。
彦根十一代藩主の十四男でありながら、幕府最大権力者の大老に登りつめた人物で、安政の大獄で弾圧政治を行った人物。しかし、裏の顔は偉大な茶人。
父が没し、当時藩主の井伊直亮(なおすけ)から城外に出され、己の境涯を見つめるのために『埋木舎(うもれぎや)』を作った。青年期そこで、文武両道に励んでいた。(菓子の名の由来)
茶道に入り、結実させたのが『茶湯一会集』…その中に“一期一会”という言葉がある。
出逢いこそ輪廻。
生涯一度の楽しみを共に呑み、宴後は、一人喫茶で回想する。
この『独座観念』が、現代の茶の湯観に繋がっている。
池田「一服、差し上げます」濃茶を点て、松殿に回した。
松殿「この器…」
池田「一樂、二萩、三唐津。長次郎赤樂茶碗、無一物(むいちもつ)です」
底周りを厚く、赤土の上に施された釉薬は薄く、簡素な作りで、
松殿「手触りのいい器だ」口に碗を当てると滑らか。
口当たりも滑らかな抹茶を一口に含み、和田殿に回した。
和田「器の質感が優しい…心地良いな」器を眺め、濃茶を含み、義経の前に置いた。
義経「赤い大地に緑が映えて、日ノ本の縮図だな」
松殿「その縮図で、何をしようというのか?」
義経「義父上は、少しせっかちだな。のんびり生こうぜ。なぁ、池田」

一蓮托生、入道に花

2012-06-20 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
天井から掛軸に視線を移し、亭主(茶会主催者、責任者)の心を見た。
池田「今回、掛軸は絵画に致しました」
掛軸は、心。亭主の心意気を表す。
松殿「で、その心は?」
掛軸の絵画は岸壁にそびえ立つ山寺の水墨画。
画に細くも荒々しい文字で、
“齋藤道三 茲二在り”
と描かれていた。
池田「道三入道の生き様を画賛(絵画に禅語が添えられている物)にしました」
蝮と恐れられた道三入道の仏性、魂を見て取れる掛軸だった。
“さて、問題です”
この世の主役は、誰だ?
俺か?お前か?
天下 日ノ本で、主役を演じ切らず、
生き切らず、朽ちるか?
それとも、俺を足掛かりに、天下を取るか?
お前なら、どうする?
「俺のとは違うなぁ」と『臨場』の倉石検視官の決め台詞を言ったかは定かじゃないが、
“我茲(ここ)に在り、さすれば自在ならん”
地上に輝く漢(おとこ)なら、頂きに昇り、
天照を背負い、戦に臨み、屍を越えて生けと、
うつけの異才を見抜き、13の娘 帰蝶をうつけに託した男だった。
義経「人、そこに心有り」
松殿「お前の心だけは読めん。何を考えているのやら…」
義経「命有って、生き切る事しか考えてない」
その命に添える花は、
和田「菖蒲…」だった。
茶花に選んだのは、花菖蒲…可憐に一輪、凛と成る。
池田「入道(仏の道)に花」
和田「一蓮托生(運命を共にする花)か…」

茶の湯の心

2012-06-19 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
待侘(まちわび)庵の、小さい戸口を開いて中に入り、茶室に案内した。
茶室に入ると、
松殿「香…?」
池田「タニ(インドネシア産)の伽羅(良質の香木)です」
松殿「蘭奢待(らんじゃたい)か?」平安時代に流れ着いた香木で、
1575年、織田信長は相国寺の茶会でこの香木を切り取り、焚きました。
池田「それに、近い香りかと存じます」
静かに香る香木が、雅びやで清楚な趣を醸し出す。
目を閉じれば、異国の寺院を想起させるような薫香で、
松殿「はて、どこかで利いた香りだな。池田…」
池田「よく薬に入れますので、」
生薬に混ぜて精神安定、鎮静剤を作る。香りで覚醒を引き起こし、
松殿「判断力を鈍らせようというのか?」
池田「いえ、そのような…」
義経「難しい判断を下すような話じゃないさ。座ってくれ」
和田「これで、二畳か…思えんな」
土壁を用い、柱を丸くし、視覚効果を利用して空間の圧迫感を緩和した。
武家屋敷の一角に、鄙(ひな)びた空間を作り、
「ここだけ異空間…」娑婆の喧騒から抜け出したような異次元。
すぅ…と香を利いて、天井を見上げた。
二畳という狭い間取りに凛とした佇まい。自然と調和した空間が心の平安をもたらす。
冷静な判断を促すと言うより、茶の花香より気の花香で条件を呑ませると言った所か。
「何を呑まそうとしてるのか…」
ふぅ…と大きく溜息を付き、香に嫌気を混じらせた。
武家の茶の湯(武家茶道)とは選ばれし者のみ許された道で、茶器にも大きな価値があり、茶器をめぐる戦も度々起きるほどで国よりも大事とされた。
それ故に、茶会とは条件を呑むか呑まれるかの賭けでもあり、最大の心理戦略と言われた。
狭い空間内で提示された条件に、主賓(最高位の客)は茶と共に呑むしか無い。しかし、
悪い気に決してならないと言う。
さて、どんな条件を突き付けて来るか…。

待ち侘びたろ

2012-06-18 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
「何やら楽しそうだな」と中庭にやって来た、
珠「足長おじさんッ」
斎藤「足長…おじさん?」を見たら「松殿…」だった。
松殿「斎藤…就職内定、おめでとう」
斎藤「ただ、とっ捕まったんだけだ」
松殿「婚活も順調と見えたが?」チラッと女を見て「そなた、名は?」
斎藤「…」
あやめ「私、妻木(つまき) あやめと申します」
松殿「ふぅ…ん」
土岐「あやめ殿。一体、どうしてここに?」
あやめ「光衡さん…私…」
池田「あやめさん。子供たちを向こうで遊ばせて下さい」
あやめ「あ、は…はい。さ、行きましょう…義隆君」の手を取って、
珠「あやめおばちゃん、私もお手手繋いでぇ」あやめおばちゃんの手を取って、
松殿「珠ちゃん」を呼び掛けて「またね…」ばいばいと手を振った。
珠「うん。足長おじさん、またね」手を振り返して、池の向こう側に行った。
三人の姿を見守りながら、
池田「純粋な子ども、何を、吹き込んだんです?」
松殿「人聞きが悪いな、ただ読み聞かせをしただけだ」
子供に夢を与えるおじさんで、夢を叶えるお金持ちの物語…
土岐「…」
松殿「で…妻木あやめ殿…彼女は?」向こうにいる彼女を品定めして、
斎藤「宮中に持ってけませんよ」
松殿「…。それは、残念だ」
池田「…」
松殿「やはり、幼児教育は常盤殿が適任か」義経を見て「なぁ?」笑った。
義経「さぁ…」首を右に傾けて「そろそろ、お茶にしよう。待ち侘びたろ」
池田「そうですね」
松殿「何の密談やら。なぁ、桐生足利の和田殿」
和田「さぁ」肩をすくめて「皆目見当も付きません」