75歳以上の負担明記 社会保障会議、中間報告 (2019年12月20日 中日新聞)

2019-12-20 15:46:51 | 桜ヶ丘9条の会

75歳以上の負担増明記 社会保障会議、中間報告 

2019/12/20 朝刊

 政府は十九日、全世代型社会保障検討会議(議長・安倍晋三首相)の中間報告をまとめ、七十五歳以上の後期高齢者が支払う医療費の窓口負担を、一定の所得がある人は現在の一割から二割に引き上げると明記した。高齢者に就労を促し、年金制度の支え手拡大を目指す見直しも盛り込んだ。

 後期高齢者の医療費の窓口負担は、現在は現役並みの所得(年収三百八十三万円)がある人は三割で、それ以外は原則一割。このうち、一定の所得のある人は二割に引き上げる。人口の多い団塊世代が七十五歳以上になり始める二〇二二年度初頭までの実施を目指し来夏までに所得基準などをまとめる。

 紹介状なしで大病院を受診した患者が支払う定額負担も引き上げる。現在はベッド数が四百床以上の病院を対象に初診時五千円、再診時二千五百円以上の追加負担を求めているが、二二年度初頭までに対象病院を二百床以上まで拡大し、負担額も現在より上乗せすることを検討する。増額分は保険財政に繰り入れる。

 公的年金では、六十~七十歳の間で選べる受給開始年齢の上限を七十五歳に上げる。中小企業で働くパートなど短時間労働者の厚生年金の加入義務は、企業規模の要件を現在の五百一人以上から二二年十月に百一人以上、二四年十月に五十一人以上に引き下げる。

 働いて一定以上の収入がある人の年金を減らす在職老齢年金制度では、六十~六十四歳の減額基準を、現行の「月収二十八万円超」から、六十五歳以上と同じ「月収四十七万円超」に引き上げる。希望する高齢者が七十歳まで働けるよう、企業には就業機会確保の努力規定を課す。

 政府は医療以外の見直しは、来年の通常国会に関連法案を出す方針。検討会議は来夏までに最終報告をまとめる。

 

 <全世代型社会保障> 年金や医療、介護など高齢者に照準を合わせてきた社会保障給付の配分を見直し、子育て支援など現役世代にも恩恵が届くようにする考え方。元々は民主党政権時代に野党だった自民、公明両党との「社会保障と税の一体改革」で打ち出された。今年10月からは取り組みの一環として幼児教育・保育の無償化がスタートした。団塊の世代が75歳になり始める2022年を意識し、有識者や関係閣僚が話し合う全世代型社会保障検討会議を9月に立ち上げ、少子高齢化に対応した制度の在り方を議論している。