辺野古移転 民意伝えて打開策探れ(2018年11月13日中日新聞)

2018-11-13 12:38:22 | 桜ヶ丘9条の会
辺野古移設 民意伝えて打開策探れ 

2018/11/13 中日新聞
 沖縄県名護市辺野古への米軍新基地建設を巡り、県と政府の集中協議が始まった。政府は無理やり再開した工事を直ちに止め、米側との再交渉など、県民が納得できる打開策を示すべきだ。

 協議は、六日の玉城デニー知事と菅義偉官房長官の会談で合意された。菅氏の受け入れ判断は良いが、工事続行は納得できない。

 県の埋め立て承認撤回に対し防衛省が行った効力停止の訴えを、国土交通相が認めて工事が再開された。脱法的との批判もある手続きは見直しが当然だろう。

 九日に謝花喜一郎副知事と杉田和博官房副長官の間で行われた初協議は、米軍普天間飛行場の辺野古移設「阻止」と「推進」と、双方が立場を主張するに終わった。

 十日に沖縄を訪れた岩屋毅防衛相と玉城氏の会談も平行線をたどった。このままでは溝は埋まらない。沖縄の民意は直近二回の知事選で明確にされた。ここは政府側が打開策を提示するしかない。

 普天間返還と県内移設で日米両政府が合意して二十二年。両国の政権は何度も代わり、日本周辺の安全保障環境も変わりつつある。

 この機に政府がすべきは、沖縄の民意を米側に伝えて再交渉に臨むことではないか。トランプ米大統領は就任前、海外駐留米軍の運用見直しに言及した経緯がある。

 普天間を拠点とする海兵隊が今後も沖縄に常駐する意義があるか、突っ込んだ議論を期待する。

 折しも、玉城氏も訪米し沖縄の声を米政府関係者らに届けようとしている。沖縄からの平和の構築を掲げる玉城氏には、基地の島を返上し、どんな役割を果たせるかを積極的に発信してほしい。

 政府は、普天間返還のために辺野古移設が「唯一の解決策」と繰り返してきた。「沖縄の同意を得て移設が決定された」とも言う。

 だが、軍民共用や使用期限の条件付きで県知事らが移設を容認したことはあっても現在の基地固定案を県民が信任したことはない。

 そもそも普天間飛行場自体、沖縄戦中、戦後に住民の土地を強制接収して造られた。移設なしの返還が道理である。政府は認識を根本から変えるべきだ。


 県は、国交相の決定を不服とし月内に国地方係争処理委員会へ申し立てる準備を進める。協議期間も一応月末までとされるが、双方にはじっくり話し合いを進めるよう望む。今夏の台風被害で、辺野古埋め立て土砂の現場搬入が難しくなっている。工事も決して急ぐときではない。