<いま読む日本国憲法>(31) 45条、46条任期が権力乱用防ぐ(2016年11月6日中日新聞)

2016-11-06 18:50:14 | 桜ヶ丘9条の会
<いま読む日本国憲法>(31) 45条、46条 任期が権力乱用防ぐ 

2016/11/6中日新聞

 国会議員が無期限にその地位にあると、権力が強大になり、乱用するおそれがあります。これを防ぐために任期を区切ったのが、この二つの条文です。四五条で、衆院議員の任期は四年と規定。四六条は参院議員の任期が六年で、三年ごとに半数を改選すると定めています。

 任期が終わると、選挙で有権者の審判を受けます。これによって、国民の意思を国会に反映できるわけです。旧憲法下では、任期は法律で規定されていましたが、戦後、憲法に明記されたことで任期の持つ重みは増しました。衆院議員は解散があればその時点で任期が終了するため、常に「失職」の覚悟を強いられています。戦後に実施された二十六回の衆院選のうち、任期満了に伴う選挙は一九七六年の一回だけです。

 昨今の改憲論議では、任期そのものを変える動きはみられません。ただ、大災害などの発生時、国会議員の任期を延長できるようにする特例を設けるべきだとの意見が出ています。

 具体的には、自民党の改憲草案が、四五条と四六条については現行を踏襲しつつ、別の条文で緊急事態条項を新設。緊急事態宣言が発せられた場合、衆院は解散されず、「両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設けることができる」としました。

 草案Q&Aでは、東日本大震災の後に被災地で地方議員の任期や選挙期日を延長できたのに、国会議員の場合はできないことを理由に挙げています。国会議員が任にとどまり、緊急事態への対応に当たれるようにするという理屈です。

 ただ草案の緊急事態条項は、内閣への過剰な権力集中など多くの問題点も指摘されています。