政治とカネ カネにまみれて辞任したばかりの国会議員の立候補、国民はどう判断するか(東京新聞社説から)

2014-12-01 18:33:09 | 桜ヶ丘9条の会
【社説】

衆院選 政治とカネ 透明度高める努力を

2014年12月1日(東京新聞)


 「政治とカネ」に対する国民の目は厳しい。女性閣僚の辞任も、政治資金収支報告書への記載などが問題視されたからだ。どう透明度を高めるかが問われている。
 衆院解散までは、国会は「政治とカネ」の問題で紛糾していた。小渕優子前経済産業相の政治資金疑惑と松島みどり前法相のうちわ配布問題で、二人が辞任したからだ。「女性活躍推進」を掲げていた政府にとって、女性閣僚のダブル辞任は痛手だったはずだ。この問題が解散・総選挙によって、かき消されてはいけない。
 宮沢洋一経産相の資金管理団体では「SMバー」への支出があったし、望月義夫環境相や江渡聡徳防衛相をめぐっても、収支報告書の会計処理などで問題点が指摘されていた。いまだに閣僚らの政治資金がずさんに扱われている実態に驚かざるを得ない。
 とくに小渕氏の場合は、既に東京地検が強制捜査に乗り出している。明治座(東京)での観劇会などで、二〇〇八年から一一年にかけての収支報告書では支出が収入を約五千五百十万円も上回るという点が疑惑となっている。
 先月下旬に公表された一三年の収支報告書でも、小渕氏関係団体では収支のずれが約七百八十万円にのぼった。政治資金規正法や公職選挙法に照らして、違法性がないかどうか、徹底的に調べてもらいたい。
 総務省によれば、総務相に届け出のある政治団体の収支報告書については、過去三年分にわたって、ホームページで公開されている。だが、都道府県レベルになると、インターネットでの公開はまちまちだという。国民が誰でも、いつでも閲覧できるように仕組みを変えたらどうか。
 政治家には歳費のほかに、政党交付金や文書通信交通滞在費などが入る。もちろん国民の税金だ。文通費は議員一人あたり年間千二百万円が支給されるが、領収書が不要で、使途公開の義務もない。これには納得できない。
 地方議員に渡される政務活動費について、最高裁は十月、一万円以下の支出も開示すべきだとの判断を示した。
 「調査研究活動の自由をある程度、犠牲にしても、使途の透明性を優先させる」という考え方が基本にある。
 国会議員も同じではなかろうか。「政治とカネ」の問題は政治不信の元凶になる。政治家自身が厳しくルール化してほしい。