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嵯峨野トロッコの線路を歩く

2017-02-15 | 日記
優しくて強い花、寒さ厳しいこの時期に凛として咲く日本スイセンが先日8日に降り積もった雪で腰を折ったようである。残る1つの蕾も是非咲かせてやりたくて添木をしたところ元気を取り戻して嬉しい。
こんな調子で恐れていた寒さや雨の心配もなく嵯峨野トロッコ線路ウォークの日がやって来た。

  2月15日(水)
昨年5月、保津川下りに行く際に乗った思い出の路線である。JR嵯峨嵐山駅に午前10時20分集合。総勢43人、トレッキングシューズにリュック姿の皆さんのお顔は好奇心にあふれていた。
トロッコ嵯峨駅⇔トロッコ嵐山駅⇔トロッコ保津峡駅⇔トロッコ亀岡駅の全線(7.3km)を歩くのではなく、トロッコ保津峡駅➡トロッコ嵐山駅の2.4kmで、途中にある保津川橋梁の100mは軌道自転車で渡ることになっていた。

嵯峨は大好きな水尾「ゆずの里」に通じる場所でもあり、紅葉の頃には「をぐらやま みねのもみぢば こころあらば いまひとたびの みゆきまたなむ 貞信公」で誰もが知る小倉山のある所であり、今日の乗り物、軌道自転車とは一体どんな自転車なんだろうとか興味津々、胸が弾んでいた。
10時25分、JR西日本山陰本線保津峡駅のホームに降り立った。ホームの両端がトンネル(保津トンネル一・二)で、下を見れば保津川が流れている。ドキドキしながら無人駅の改札を出て、山に沿う一般道路を歩いてトロッコ保津峡駅に向かう。赤い保津峡橋を渡って短いトンネルを越えて行くと、川に架かる長い橋(待合のあるプラットホーム)とトンネルが見える。感動的な景色である。
           (画像はクリックすると拡大する)

対岸にトロッコ保津峡駅が見えてきた。トロッコのオープン車両・リッチ号に乗って、「あの橋、歩いてみたいなぁ~」と思って眺めていた「鵜飼橋」を渡る。川の下流側と上流側を1枚ずつカメラに収めた。
先ほどのJR保津峡駅から15分ぐらいかな、階段を上ると簡素な駅舎に到着した。ホームには見覚えのある狸たちが一列に並び、見上げると鐘のなる木が立っていてほっこりする。
自動的に鳴る設定の鐘の音がタイミング良く、優しい響きを残して風に乗って青空へ消えて行った。

              

ところで、この線路歩きツアーは昨年から始まって今年は第2回目。嵯峨野観光鉄道の営業は1月&2月は休止して保線作業をされるそうで、この時期ならではの企画らしい。一方、保津川下り(亀岡から嵐山・渡月橋まで 約16キロ、2時間)は年中営業されているというので舟に出会えるのを楽しみにしていたが、さすがこの季節に物好きな人は居なかった。(笑)
 
下段写真左から2番目の写真、目の前の陸橋はこの線路が、平成元年(1989年)3月4日まで活躍していた旧山陰線の駅の名残。(トロッコ線はその2年後に生まれ変わって出来た観光線だそうだ。)
社長さんのご挨拶の後、一列に並んで「歩き」の開始であるが、さっそく目の前にある「清滝トンネル」に入る。全線に8ケ所あるトンネルで一番長い朝日トンネル(499,1m)に次いで二番目の496mだそうだ。トンネルを抜けて見上げると装飾の綺麗な坑門である。
説明を聞くとレンガの積み方は一段毎に異なり、上の段が長い・長い・長い、その下が短い・短い・短い、その繰り返しになっているイギリス式トンネルという物らしい。馬蹄形の上中央にはめ込まれている題額『瀧清』の字がとても素敵!  
              


「予定時間より少し早いのでゆっくりしてください。」と聞こえてきた。トンネルの中は懐中電灯持参で足元を照らしながら歩くのだが、ペースが少々早かったので転ばない様にと必死で歩いたよ。(笑)慣れた駅員さんや若い人には普通と思うが、観光客の安全の為にはもう少しゆっくり歩いたほうが良いはず・・・と一人納得しながら聞いていた私であった。(笑)

前方から軌道自転車なる物が走って来た。これに乗って約84mの保津川橋梁を渡るのである。
この橋はトロッコ乗車時に川の流れを左右に見る事が出来る唯一の橋で、通称『青橋』と言われているらしい。アーチ式鉄橋の橋台はレンガ造りで川の中に橋脚は無い。スゴイ!急流に脚が流される恐れがあるからだそうだ。
自転車と言っても足で繰る必要はなく、ただ座って景色を楽しんでいればよい訳で、あっという間の楽しみであったが、私は勿論皆さん子ども気分でとても喜んでいた。
         

「歩き」を再開して10分、振り返ると先ほどの『青橋』が見え、その向こうに「愛宕山」が見えた。山頂にある愛宕神社は私には長い長い石段が記憶に残る神社である。こちらは全国に900社もあるという愛宕神社の総本山で、火伏せ・防火に霊験があるらしい。愛宕山は私には、母を想って月輪寺(つきのわでら)参拝を目的に登った山であり、月輪寺のご住職に会えてお堂に上がらせて頂いた感激の山である。


凄まじい音がして見上げると、JR嵯峨野線を走る列車が勢いよく鉄橋を渡って行った。
左手高所に赤い鳥居が見えるのは現在のトロッコ軌道の安全運行を祈願して建てられた「大山神社」だそうである。少し行くと、この辺は山と川が接近していて、対岸の紅葉を照らすライトがたくさん並んでいた。紅葉の季節にはさぞかしきれいな景色が見られるのであろう。
アレ何?と思っていると、それは大山崎・長岡地区への水道の水源用の取水口だそうで、そうか・・・「川下り」ばかりが頭にあった私が現実に立ち戻った瞬間であった。
            

嵐山に近づいて対岸には旅館やリゾート施設の屋根が見えてきた。山の中腹に大悲閣千光寺の屋根と五色幕が見えた。千光寺は京都市街や比叡山や大文字山や東山三十六峰など見渡せる絶景スポットらしい。訪れた経験のある彼は笑顔でうなづいていたよな。
           

亀山トンネル(約221m)の入り口に来て、一休み。たっぷり時間があったのでこちらのトンネルのイギリス積みが確認できた。
トンネルを抜けるとそこは嵐山駅のホームである。頂いた資料の通り、こちらの坑門にはフランス積みになっている部分もあった。即ちレンガが横一列に長い・短い・長い・短い・の繰り返しで並んでいるのである。
丁度トロッコ線のトンネルとJR線のトンネルが仲良く並んでいるのはまるで兄弟みたいだな。(笑)

沿線の景色を楽しむのは勿論、交換が必要な枕木に記されているサインを見つけたり、線路脇に佇む小屋(保線道具の収蔵庫)の色んな顔を見分けたり、普段侵入禁止の場所では何を見ても感動が起きた。
             

嵐山駅舎の庭でお弁当を頂いた。記念のカップには豚汁が入っていて、お茶よりも温かい心が伝わって来たよなぁ~。ごちそうさまでした。
その後、嵯峨野竹林の小路を通って野宮神社を参拝し、帰路についた。よかった、よかった。
                              おしまい。