故郷へ恩返し

故郷を離れて早40年。私は、故郷に何かの恩返しをしたい。

切磋琢磨

2021-02-06 07:59:08 | プロジェクトエンジニアー

絵のタイトルは、「遠い昔のような」です。
風に揺らぐ、蔓物が障子に映っている。
私の「切磋琢磨」は、遠い昔のことなのでしょうか。


かつて勤めたエンジニアリング会社で、プロジェクトマネージャーをやるのは、
容易ではなかったし、怖いことだった。
ジョブ受注のために、プレゼンテーションの企画・実演から試される。
ノミネートされた数社に残り、オファー(見積もり・提案書)を出す。
すべて、社内の部長会、役員会を通過して初めて出せるオファーです。
利益率、スケジュール、人員配置、専門性、果ては鉄骨トン数、インチ・メーター、
工夫の数々(ストロングポイント)を社内で説明し、クリアーしなければならない。
その上、プレゼンテーションの実演会も試行される。
時計を持ったパフォーマンス・チェックの集団(広報)が目線、ストーリー性、迫力までを査定する。
プレゼンテーション・受注・設計・施工と完工まで気が抜けない日々を送る。
仕事が進行するにつれ、社内のチェックはさらに厳しくなる。
工期遅延、利益率低下、クレーム処理のまずさは、ご法度である。
チーム力が試され、チームのメンバーのその後(他ジョブへの参加、査定)をも担うことになる。
プロジェクトが終わると、マネージャーは脱力感で強い刺激を求めてしまう。大酒を飲むことになる。
失敗すると、進退伺は必須である。連戦連勝のプロジェクトマネージャーだけが生き残る。
プロジェクトで、マネージャーは全責任を持たされ会社の社長より強い権限を持つことになる。
数々の難関をクリアーしたマネージャーを会社の代表として送り出し、全面的にバックアップする。

今日のタイトルは、「切磋琢磨」です。
エンジニア会社では、毎日積まれる技術書の高さは、20cmにもなる。読んだら、次の人に回す。
ただ読むだけではなく、いつ始まるか分からない新しいジョブへの知識集積の機会となる。
200のコピーの中から、一つだけ選んで、ストロングポイントに仕上げる、自分だけの技術書を作る。
社内営業も欠かせない。
チームメンバーは、一心同体で菅笠の集団(裏方)となる。ジョブごとに、メンバーは変わる。
強い団結力と信頼感が無ければ、足元をすくわれる。内部崩壊したら仕事はできない。
強いリーダーシップが求められる。マネージャーは、人としても尊敬される人柄でなければならない。

プロフェッショナルの集団は、若々しく常に挑戦する人たちで溢れていた。
趣味の造形も深く、玄人はだしの人も多くいた。
こだわりの人たちの集まりのなか、人望を集めるマネージャーは、肩書だけでは務まらない。
駅でも鳩が止まらぬ工夫を見たり、人が歩くのを見て人動線の流れの意味を探る。
酒の席でも、技術論と組織論に暮れる。そんな集団にながいこと浸かると、家庭を顧みなくなる。

見積もり提案書のストロングポイントは、他社のものになり広くひきつがれることになる。
隠すことは何もない。常に全力投球であった。
真似ができないから、あるマネージャーだけが連戦連勝となる。

スポーツの世界、ビジネスの世界は常に相手があり、ぶつかり稽古の繰り返しである。
毎日明け暮れ、いつしか強くなっていく。
ライバルは、社内だけに限らず、社外へ世界へと広がっていく。
あの仕事を仕切ったのは誰だ。やり切った集団は、どこの会社だとなる。

それがどうだ。
末娘の結婚式で、娘を夫役に引き渡す儀式に出ている。
粗相のないよう、気を付けて歩いていました。
馬鹿野郎、こんなところにワイヤー(電線)を這わすんじゃない。
見事にこけてしまいました。
笑うに笑えない娘の晴れ舞台に、ちょこっと役で出ています。
そんな夢が実現する日は、いつのことでしょう。

子になって 切磋琢磨は 子を送り

2021年2月6日

<<あとがき>>
真面目な話ばかりじゃ疲れると、落としを入れました。
ライバルがいてこそ、頑張れる。
切磋琢磨は、遠くになりにけり。
(筆者)
コメント
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