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楽しんでこそ人生!ー「たった一度の人生 ほんとうに生かさなかったら人間生まれてきた甲斐がないじゃないか」山本有三

     ・日ごろ考えること
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     ・おくのほそ道を歩く

雄島(芭蕉の道を歩く 55)

2015年01月07日 09時04分39秒 | 芭蕉の旅
(奥の細道【19】松島3)

雄島については松島町松島観光協会の説明板を載せておきたい。

(雄島は、
立ち帰り またも来てみん 松島や
         雄島のとまや 波にあらすな   
(藤原俊成「新古今和歌集」)
心ある 雄島のあまの 袂かな
         目やどれとは ぬれぬものから  
(後鳥羽院の官女源師光の女「前同」)
と歌枕として詠まれている。

元禄二年五月九日(1689 陽暦六月二十五日)
芭蕉は、塩釜から舟で松島海岸に着き、瑞巌寺に詣でた後、
雄島を訪れた。

芭蕉に同行した曽良の旅日記には、
雄島、雲居の座禅堂有。その南に寧一山の碑有。
 北に庵あり。道心者住す
」とある。

「奥の細道」には、雄島の印象を
雄島が磯は地つづきて海に出でたる地なり。
雲居禅師の別室の跡、座禅石などあり。將(はた)
松の木陰に世をいとふ人も稀々(まれまれ)見えはべりて、
落穂、松かさなど打ちけぶりたる草の庵閑に住みなし、
いかなる人とは知られずながら、先ずなつかしく立ち寄るほどに、
 月海にうつりて、昼のながめ又あらたむ。」
ー以下省略。
としているが、
「地つづきて」は文学としての流れで、実際には渡月橋でつながっている。

(雄島「地つづき」でない)
(渡月橋)
島内には岩窟が数多くあり、卒塔婆、仏像が置かれ、
昔より諸国から集まった僧侶や巡礼の人たちが修業した場所で、
全島が霊場といった雰囲気である。

渡月橋を渡り終えた場所からその霊地を感じる修行場の岩屋が見える。
雄島に入り先ず正面に「奥の細道」の案内標識が見える。
案内標識の左奥へ進むとたくさんの石碑が並んでいる。
そこに芭蕉や曽良の句碑も並んでいる。

(橋を渡った後に見える霊場)
(奥の細道案内標識)
芭蕉の句碑には、
・朝よさを 誰まつしまぞ 片心 芭蕉翁
曽良の句碑は、
・松島や 鶴に身をかれ ほととぎす 曽良
大島寥太の句碑は、
・朝ぎりや 跡より恋の 千松しま  雪中庵寥太

(左は芭蕉と右は曽良の句碑)
(大島寥太の句碑)

さらに奥に(北に)進むと僧侶たちの修行場の跡地に五輪の塔などがたくさん見られる。
北の端に来ると「妙覚庵敷」の標柱がある。
これは十二世紀初頭、見仏上人が妙覚庵を結び十二年間法華経読誦に過ごし、
その後、頼賢がこの庵を継ぎ、22年間島に籠り、
見仏上人の再来と崇められた。

(修行場跡の岩屋など)
(修行場跡の岩屋など2)
(修行場跡の岩屋など3)
(修行場から見た美しい松島)
(妙覚庵敷)
(妙覚庵敷から見た松島)
(妙覚庵敷から見た松島2

雄島を南へ戻って、「奥の細道 雄島」の標柱を右へ(南へ)向かうと、
すぐ左手に座禅堂がある。
ここは芭蕉が(草の庵)と書いた雲居禅師の座禅堂で
「把不住軒(はふじゅうけん)」と呼ばれる。
ここから見る松島も本当に美しい。

(把不住軒の座禅堂)
(座禅堂から見た美しい松島の景色)
雄島をさらに南へ行くと、頼賢の碑がある。
この頼賢の碑は国の重要文化財に指定されているが、
碑の内容は建長寺十世の唐僧、一山一寧(寧一山)上人の撰文による、
島の歴史が草書で詳しく書かれているそうである。
この頼賢の碑は六角堂に納められているが、
六角堂には、先の東日本大震災で受けた津波による痛手を覆うように
何本かの角材で補強されているのは痛々しい。
(頼賢の碑がある六角堂)



コメント (7)
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瑞巌寺(芭蕉の道を歩く 54)

2015年01月02日 09時03分26秒 | 芭蕉の旅
明けまして おめでとうございます。
 この一年が、皆様にとって、素晴らしい年になりますよう祈っております。

(奥の細道【20】松島2)
瑞巌寺方面に歩くと、三陸三十三観音 第二番札所 瑞雲峰天麟院がある。
ここは伊達政宗公長女 伊達五郎八姫(いろはひめ)霊廟の地である。
政宗と愛姫(めごひめ)の長女で徳川家康の六男松平忠輝の正室。
後に離別となり、仙台に戻り落飾後、天麟院と名乗った。
五郎八姫(いろはひめ)とは、母正室愛姫が生まれた女の子に男名をつけると、
次は男子が生まれると言ういわれから五郎八姫と名付けたと言う。

(天麟院)
この五郎八は女性に付けた名として、有名である。
銘酒の名前にもなっている。しかしこちらは名前は「五郎八」でも、
呼び方は「ごろはち」、お酒は期間限定の濁り酒で新潟の銘酒。

話が飛んでしまったが、天麟院の隣に円通院がある。
伊達政宗の孫 光宗の菩提寺。文武に優れ将来を嘱望されていたが、
19歳の若さでこの世を去った。
庭は小堀遠州の作と伝えられ、紅葉が美しい。

(円通院と紅葉)
その先に、修行僧の岩窟があり、石碑がいくつも並んでいることは、
前回述べた。
そして瑞巌寺の受付がある。

(修行僧の岩窟と石碑)
(修行僧の岩窟と石碑2)
受付で拝観料を納め、奥を覗くと本堂が見えない。
よくよく見ると本堂は幕で覆われ、ただいま修復中と言う。

(修復中の本堂)
(幕に画かれた本堂)

(受付)の反対側に修行僧の洞窟があり、格子戸で覆われている。
法身窟(ほっしんくつ)という。

(法身窟)
説明板によれば、
「鎌倉時代、北条時頼が、
後に臨済宗円福寺(現瑞巌寺)の開山となる法身性西
(俗に真壁平四郎)と出会った場所と伝えられている。
正安二年(1300)京都嵯峨天龍寺開山の夢想国師がここを訪れた時、
無人の窟内から天台止観を講ずる声が聞こえたと言う。
窟内には時頼の法名碑・当山中興雲居国師行状碑・
三陸海嘯供養碑が所狭しとおさめられている。」とある。

法身窟の格子戸前の左側には、観音菩薩立像が線刻された石碑がある。

(線刻の観音菩薩像)
受付の前を抜けて、養生シートでで覆われた修復中の本堂へ向かい、
手前で右折すると、右手に宝物館があり、左手に国宝の庫裡がある。
本堂が工事中で庫裡には入場できるようで、
ガードマンの案内で靴を脱いでスリッパに代え入場すると、
目の前にガラス箱に入った観音様が「いらっしゃい」と挨拶している。
順路通りに進むと、
次は仮本堂になっている大書院である。

大書院には、
伊達家三代綱宗から十三代斉邦、および各正室の位牌が所狭しと置かれている。
一方には、三代開山の木造および藩祖の位牌を置く。

説明に、
「左は仙台藩祖伊達政宗の位牌。「瑞巌寺殿前黄門貞山利公大居士神儀」は、
瑞巌寺を建立した功績によって名づけられた。
62万石の祖ににふさわしい大きさ・華麗さで、
迦陵頻伽(かりょうびんか)(*)を脇に彫り出す。
黄門は中納言の中国名。神儀は大名への位号で神と同義、
揮毫は雲居禅師。」とある。
右側は、政宗の嫡男、二代忠宗の位牌である。

(*)迦陵頻伽(かりょうびんか)は想像上の鳥。極楽に住むと言う人頭鳥身。(Wikipediaより)

(国宝の庫裡)
(庫裡内の観音像)
(伊達家歴代と各正室の位牌)
(開山上人像)
(伊達政宗の位牌、右側は二代忠宗の位牌)
位牌の横に普段は本堂の文王の間の欄間にある額が飾られている。
額には虎哉和尚の撰文による「松島方丈記」が記されている。
額に記されてボクに読める部分は、

「夫松島者日本第一佳境也。四囲皆山也。山間皆海也。水光瀲灔(れんえん)、
疑是大湖三萬六千頃。山色清浄者、望則波心七十二峯。青海中数百の島嶼、
山畔許多之家、奇石怪松茂林脩竹、其風景也可愛可楽。
寔天下霊地也。(後略)」とある。

(欄間の額)
現代文にすると、
「およそ松島は日本第一の景色の佳い所である。四方みな山に囲まれ、
山の間はみな海である。海の水は光に映え、海の中に数百の島あり。
山は清らかで、波間に72峰を数える。
山のほとりには若干の人家軒をつらね、その風景愛すべし、楽しむべし。
唐土西湖三万六千頂か、いつ見ても初めて向かうように思える。
まことに天下一の霊地である。」でしょうか。(拙文お許しを)

床の間には、「半身達磨図」の掛け軸があり、
「純一無雑」と書かれ、これは純粋そのもの百%で、
余計なものは一つも混在しないと言う意味で、
禅宗の修行は純一無雑であることを示しているそうである。

その隣に「関」の字の衝立がある。
関は閉ざし、侵入を防ぐ事。
その閉ざされた場所をいかに通るかが、禅の問題で、
家屋の入口を「玄関」いうのは、この問題に発しているという。

(「半身達磨図」掛け軸)
(「関」の字の衝立)
この時期、特別公開されている伊達政宗の正室 陽徳院田村氏愛姫(1568~1653)の
墓堂 寶華殿を拝観する。
庫裡を出て東へ向かうと物々しく監視小屋があり、
そこには修行中か若いお坊さんが、番人として監視している。
その前を通り、修行道場の横を抜けて裏山に行く。
かなりの階段を上るとその上に目指す「寶華殿」はある。
荘厳な墓堂ではある。

(修行道場入口)
(修行道場)
(裏山への道)
(階段の上の寶華殿)
(伊達政宗正室 愛姫(めごひめ)の立派な墓堂 「寶華殿」)

瑞巌寺は伊達家の菩提寺であるが、正妻の墓堂はあっても、政宗のお墓はない。
独眼竜 伊達政宗の遺体は、別途、仙台市の経ヶ峰にある瑞鳳殿に埋葬されている。

後ほどご報告いたします。
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