ひだまりクリニック~産んだ後にも母親学級~

杉並区で小児科医がひらいている母子で集えるクラスです。

舌小帯のことでお悩みの方に・・・

2014-09-28 06:18:33 | 医療情報

日、信頼する助産師さんからのアドバイスで舌小帯の切除を悩まれ、

たまたま検索して、ひだまりのブログを知ったという方からご連絡をいただきました。

保育士さんでもあり、初めての3か月のお子さんのお母さんです。

専門家としても思うことがある、悩まれてる方に伝えたいと手記を送ってくださいました。

参考になればと思い、ここに転載します。

このことは知らない、悩んでもいないという方は読む必要はありません。

育児支援の世界では「壊れてないものは壊さない」という言葉があります。

ふ~ん、そんなことがあるんだな・・・という感じで受け取ってください。

ただ、民間療法や怪しげは代替医療や偽科学というのは、こういう風に

普通の暮らしをする不安を抱える人に入り込んでくるという参考にはなるかも・・・

 

☆舌癒着症でお悩みの皆様☆

舌癒着症でお悩みの皆様へ、少しでもこのお悩みを抱える皆様の涙が笑顔に変わりますように・・・
佐山先生と同じく、賛否両論あるかと思います。
やってよかった!
と思い、笑顔の毎日をお過ごしの方もいらっしゃると思います。
しかし、しなくて良かった手術をしたと知り
我が子のため・・・
のはずが、我が子を苦しめる結果となり自分を責めてしまう方も沢山いる事を知りました。
私の意見・体験が
どうか誰かの心に届きますように・・・
※以下、小冊子・舌癒着症関連ページからの引用もありますのでご了承ください。



出産した助産院で、母乳マッサージに通っていたときの事。
「舌癒着症」と「舌小帯」の切除についての話を伺いました。
もしかしたら舌癒着症かもしれなあから、神奈川県にある診療所に行くように言われました。
出産の時にお世話になって、心から信頼している助産師さんのアドバイス。疑うはずもなく勿論、即行動です。

舌癒着症・・・
初めて聞いた名前で調べてみると、いろいろと考えるところがあり
また、ネットでの情報が少ないということもあり、伝える必要を感じました。
ネットでは良い話ばかりが目立ちますので・・・
今後、同じような事例で検索をされる方の参考になればと思います。

 舌癒着症という言葉がありますが、これには2つの意味があるようで
それぞれ分けて考える必要があるように思いました。

 ひとつは、一般の小児科や耳鼻科・口腔外科などでも切除が必要とされる場合があるもので
舌の裏側の筋というかひだ(舌小帯)が極端に短いことによるもので、こちらは以下の症状・特徴があるようです。

・舌を前に出せない(下唇より前に出せない、上の前歯の裏へつけることができない)
・筋(下小帯)に引っ張られることにより舌の中央部分が引っ張られ、舌の先端がハート型になる。
 (舌を前へ出そうとすると顕著になる)
・舌を自由に動かせないため、哺乳が困難となり発育に影響がある。
...等

 上記の症状・特徴がある場合でも、すべてのケースで切除が必要な訳ではなく
成長により改善することも多いため、切除が必要かどうかはその程度により判断するというのが一般的なようです。
我が子の症状については、上記に当てはまらないようです。

 もうひとつの意味合いは、一般には広く認知されてはおらず、一部の医師や自然育児の団体が提唱しているもので
同じく舌の裏側の筋・ひだ(舌小帯)を扱うものですが、その程度というか、手術が必要だと判断する際の尺度が異なるように思います。

 こちらは、提唱する医師・団体の側からは、特徴として以下のようなことがあげられているようです。

・手足が冷たい
・夜泣きをする・ベッドに置くと泣く・寝つきが悪い
・母乳の飲み方が下手(むせる・母親の乳首を痛めるなど)・授乳中に寝てしまう
・指しゃぶりをする
・げっぷ・おならをよくする
・反り返る姿勢をとる
・視線があわない
・頭の形がきれいな丸でない(左右で形が異なる・絶壁など)
・成長が遅く、寝返りや発語などが遅い
...等

 もちろんその程度によって異常・正常を判断する必要はあると思いますが、これらは乳児であればほとんどあてはまる
事項のように思います。
提唱する側としても、95%の赤ちゃんが該当するとしています。

 こちらは、上記の症状・特徴をもって「舌癒着症」だとして、手術(切除)を薦めることを提唱している医師の側としては
多くのケースで手術の対象になると判断するようで、そうした医師のもとへ受診した場合は、ほとんどが手術を薦められるようです。
言い換えれば、ほとんどすべてのヒトはこの手術を受けるべきだ...ということのようです。

 私は医学については素人であり、また、単にネットで調べた程度の理解ですのでいろいろと認識違いはあるかと思いますが
私のいまのところの印象では、後者の事例は、必ず治療が必要な「病気」というよりは
「舌小帯を切ることによって、赤ちゃんの状態や母乳の飲み方がよくなることがある」
という程度の説明の方が適当なように感じました。

 我が子の症状では、後者の(一部の医師が提唱する意味合いでの「舌癒着症」だということで
冷えや泣き、哺乳の問題などを含めて説明を受け、神奈川県の診療所での受診を薦められました。
また、同じ意味合いでの舌癒着症についての冊子(マンガ)を読むように言われ、目を通しました。

 その時は、初めて聞いた事柄でもあり、これはよく調べて、必要であれば処置しないといけないのかな、と身を硬くしましたが
それ以前に、その薦める口ぶりや、冊子の論調において疑問がありました。

 薦める口調としては、この子はこんなに問題がある、このまま放っておくと親も子も辛いままだけど、手術をすればすべて
改善していい循環ができる。いままで理由がわからず苦労したと思うけど、実はこういう理由だった訳で、手術でそれを取り除けば
すぐに楽になれる、やるならすぐやらないといけない...
という趣旨のことを話され、冊子においてはそれが更に飛躍しており、皆がこの手術をすれば戦争もなくなるということも書いてありました。
皆が手術をすれば、世界は平和になるそうです。

この手術を出来る人は日本に先生しかいないのよ。

私が違和感を感じたのは、看護師さんのこの言葉です。
本当に凄い手術なら、どうして保険適用にならないのか?
本当に凄い手術なら、どうしてこの先生ひとりしか
凄い技術を持っていないのか?
IPS細胞も移植出来るようになった、日本・・・ですよ?!
ちなみに我が子に提示された額は
20万
(全身麻酔手術18万・通院2回2万)
でした。
※提示されたのは平成26年9月

中には、20~40万近いものもありました。
1~3ヶ月の赤ちゃんは、浣腸で麻酔をするため7万5千円位でした。
月~金まで手術をされるようですから、その額は・・・
凄いものですよね。

その薦めかたについても、印象としては胡散臭いものだと感じ、上でも少し意地の悪い書き方をしましたが、不安を煽るという点でかなり問題があるものだと思います。
ただ、いったんその(勧誘方法の)問題を別にして考えた場合、実際にその手術が必要なものかどうか、また我が子のためになるかどうか
どちらとははっきりわからないというのが正直なところです。
現在、一般的には(日本の一般的な小児科・耳鼻科医の学会の見解としては)特に深刻な状態でなければ切除は必要ないとされていますが
単に長い歴史の中で、振り子がそちらの方に振れているというだけで、将来的に、やっぱりすべての子に切除が必要だという認識に変わるかもしれないとも思います。

 ただ、必要か不要かは結局わからないものの、母乳育児の様々な悩みを抱える母親に対しての、なかば霊感商法のような、
不安を煽る手術の薦めかたについては、大きな疑問と憤りを感じます。

母親とは、不安なものです。
特に初めての育児・ましてや協力してくれる方が近くにいなかった場合はどうでしょう?
信頼できる助産師さんからのアドバイス、勿論疑うはずもないでしょう。
出産したばかりは
ある意味世間から離れ、孤立した世界。
テレビも何も無い入院生活は、ホームステイに行ったかのような気持ちになった事を覚えています。

 同じことの繰り返しになりますが、すべての子が手術をした方がよいかどうか、一部の医師の提唱する内容が正しいかどうかという点についていえば
私はそれ自体を否定はしていません。

 授乳のトラブルや夜泣きで疲弊して、母乳育児や、あるいは育児自体も耐えられない状態にある母親について
メリットとデメリットをよく理解した上で、手術を受ける選択をするということ、またその選択肢が用意されている状態は
歓迎すべきことだと思います。

 私が問題と感じているのは、不安を煽るような勧誘の仕方によって、様々な悩みを持った母親たちが
必ず手術を受けさせなければいけないのだと思い込み、もともとあった筈の、手術を受けるか受けないか、
という選択肢を奪われてしまうことです。

 私個人としては、舌小帯の切除については、いのちに関わるような、または障害が残るようなことでもなければ
子どもの体にメスを入れることでもあり、避けた方がよいだろうという思いです。
からだの部位のうち、何らかの役割をもっている(あるいは、いた)部分について、自然な状態に手を入れて
変えてしまっていいものかという思いもあります。

 授乳・子育ての様々な悩みや
からだの感覚としての痛み・辛さは、想像を超えるものがあります。
また、赤ちゃんの状態についても
十人十色・様々ですから
それぞれに抱える悩みも、それぞれにあると思います。

 よく考え、話しあった結果として手術を受けさせようという話になれば、それは家族としてそういう選択をした
ということで、誰からも、賞賛も責められもするいわれはないと考えています。
もちろん、私も子に切除手術を受けさせたという方々について非難するつもりはありません。

 親が自分の子について、できるだけ自然に育てたい、と口にするとき、そこには様々な矛盾があると思います。
家の中で育てるにはおむつをあてる必要があるし、夜は必要に応じて電気の灯りをつけます。
あるいは、半ば義務となっているような予防接種について、あまり深く考えずに接種を受けさせているかもしれません。

 実際には存在しない「本当に自然な状態」を手にすることは現実的ではないですが、必要なのは
様々な物事や処置について、なぜそれが必要なのか、他に選択肢はないのか等を理解し、
よく納得してから自分の意思をもって取り入れることだと思います。

 話が広がりましたが、舌小帯の切除について、不安を煽られたなどで迷われている方は、近所の小児科や総合病院を受診して相談するなどして(一般的な尺度での「異常」ではないかどうか等を確認して)いったん冷静になり
一部の医師・団体の主張だけでなく、また、一般的な小児科医・耳鼻科等の見解だけでもなく、
双方の主張するところやメリット・デメリットをよく調べ、理解された上で
自分の意思により判断されるとよいなと思います。

私の場合は、
セカンドオピニオンとして
小児歯科専門医・小児科医の意見を聞き
実際に我が子の状態を見ていただき
全く心配する必要はないとの事でした。
心配で、心配で・・・
病院を回りました。

小児科医の先生に関しては詳しくお話を伺えました。
某有名大学病院の先生でもあるのですが、そこでは30年ほど前は産まれたばかりの赤ちゃんの舌小帯を切っていたようです。
おまけね~
と、産まれたばかりの赤ちゃんにハサミでちょきん!

それから長い年月が経ち、
母乳の飲みなどとは因果関係はないとわかりました。みんながみんな、必要な手術ではない
症例を見てそれぞれに合ったアドバイスをする必要があると
先生は仰っていました。
まだそんな古い考えが根強くあるのか・・・
と、半ば呆れていらっしゃった事を覚えています。

この診療所で、
手術を受けた方の意見を伺うことが出来ました。
1歳近く、全身麻酔だったようです。
この方は受けて良かった方でした。
改善した症状としては

・母乳の飲みが良くなった
・よく寝るようになると言われたが変わらず寝ない。
・社交的になった
・顔がはっきりしてカッコ良くなった
・体が柔らかくなった
・お腹まわりがスッキリしてきた

このような改善が見られたようです。
ただ、良く
良く考えてみてください。
この症状は成長とともにある変化ばかりで、舌との因果関係はありません。
顔は、成長すれば変わります・・・
手術をすると1~2週間
その子にもよりますが
痛くて母乳が飲めなくなるようです。
その間に、成長だってします。
これは通常の、成長なんです!

手術をして、
前向きに生きていきたいから
後ろを振り返らず
また、自己肯定感がある方は
様々な勉強もされてきた事でしょう。

だだひとつ言いたいこと・・・
愛するお子様に
やらないでいいメスは入れないで!
どうか、
どうか立ち止まって・・・
本当に愛する我が子の為になるのかを、よく考えてみてください。

専門職である私でさえ、
寝ずに泣き続ける我が子に怒りを感じたこともあります。
通常の赤ちゃんの症状が、舌癒着症だからと言われれば
本当にそうなのかと思ってしまうこともありました。
寝ないで、
藁にもすがる思いでいる親の気持ちを
どうか利用しないで欲しい。

上記にある舌癒着症の症状を、舌のせいにしないで!

こどもだから、
泣くんです。
こどもだから、
寝ないんです。
おならもするし、
抱っこが大好きだから
置けば泣くんです。

新しい世界に産まれてきて、不安もいっぱい。

どうか舌のせいにしないで、
お子さんの今と向き合ってください。
いっぱい抱きしめてあげてください。

お母さん
泣いたっていい
怒ってもいい
24時間赤ちゃんと一緒。
それって凄い事ですよ!

お母さんって、本当に凄い!!!

ありのままの今と向き合い、
赤ちゃんと一緒に、成長していきませんか?
ゆっくり
ゆっくりでいいから。

流した涙が
母として父として己を育て
こころの財産として
いつか笑顔に変わるから。

私の意見が、
ひとりでも誰かの涙を笑顔に変えるチカラになれたら
幸いです。

信頼する助産師さんや色々な事を考えると、なかなか本音をかけずにいました。
でも、もう振り返らないで生きます。

そして、今を楽しみ
人との出会いに感謝し、成長していける
そんな謙虚さを持った自分でありたいと思います。

舌癒着症で後悔してるお母様は、
佐山先生がお書きになったブログを是非お読み頂きたいと思います。
お子様のことを考えての行動だと思います。
それは紛れもない愛情そのもの。
どうか自分を責めないでくださいね。

皆様の笑顔が輝く毎日でありますように・・・


平成26年9月吉日

 

悩まれている方にはきっと参考になると思います。

納得できるこたえにつながりますように。

杉並区内であった、この問題も同じ内容であり、

疑問に思いつつ手術を受け、泣いているお母さんに出会ったことがきっかけで

この話題を取り上げました。

最近は減ってきているとは思っています。

この件に関しては三回記事を書いています。

2013年3月23日と28日、2014年8月17日です。

2013年に初めて書いた舌小帯の話

2014年8月の公開シンポジウムの話

詳しく知りたい方はそちらを参考になさってください。

珍しいことになっているのでしょうが、出会ってしまって悩んでいる方は深刻です。

正しい情報を発信することの意味を考えながら、ブログを書きたいと思います。

知ることが安心につながりますように・・・

 


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