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Untersee-Boot

あるいは感想記として

現代狂言Ⅱ 国立能楽堂 10/9 夜の部 (Vol.1)

2007年11月01日 | 現代狂言Ⅱ
去年に引き続き、今年で二回目の現代狂言。
旗揚げ公演がものすごく面白かっただけに、今年はどうなんだろう?という期待と不安が微妙に入り混じる中、夕闇迫る国立能楽堂へ。

この日の客席は、スーツ姿のサラリーマンや若い女性、お年寄りや外国人、それから、見るからに業界人らしき人の姿もあったりと、文字通り老若男女で満員でした。
私の席は正面4列目の左のほう。
舞台も橋掛も良く見え、柱もさほど気にならないけっこう良い席でした。


開演の19時。
切戸口から摺り足で登場した黒紋付袴姿の南原さんは、開口一番「元気ですか!」(笑)。
南原さんは、「言う予定ではなかったんですけども、言いたくなってしまいました」と、ちょっと照れたように笑いながら言ってましたが、国立能楽堂の舞台ということもあってか、全力ではなくちょっと控えめな「元気ですか!(by 猪木)」だったのが可笑しくて、ちょっと笑ってしまいました(笑)。
そんな思いつきの言葉で客席をつかんだ南原さん(笑)の挨拶は、去年より全体的にリラックスした感じでした。
まず、狂言を初めて観る人は?現代狂言を初めて観る人は?たまたま来た人は?という客席へのアンケート。
この日は、狂言も現代狂言も初めて観るという人が8割くらいで、たまたま来たという人も何人かいたみたいです(笑)。
そして、とにかく笑ってください、笑うと免疫力が高まります、狂言の勉強はパンフレットをよく見れば大丈夫、狂言の言い回しは現代とは違うけど3分間ジーっと観てください、600年前と同じものを観れるというのは考えてみれば贅沢、日本人の笑いの感性を感じて・・等々、狂言についてのちょっとしたレクチャー話などがありつつ、今回初参加のナベさんと島崎さんの話へ。
自称みんなの兄貴、他称アトラクションの副支配人のナベさんは「舞台の上でコーラの一気飲みしてもいいのかな?」、島崎さんは「裸で黒く塗ったらダメかな?」ってなことを言っていたそうで(笑)。
コーラの一気飲みで家を建てたナベさんですから(笑)、能舞台でも見てみたかったですが、南原さんは「ダメです」と言ったとのことでした(笑)。
それから、重要無形文化財の野村万蔵さんがコントに初挑戦するのでそれも見所ですという話もあり、最後は、愛嬌と心意気で頑張りますのでよろしくお願いします、という言葉で南原さんの約9分間の挨拶は終了。



最初の番組は、『二人大名』。
出演は、使いの者が野村万蔵さん、大名は野村万禄さんと野村扇丞さん。
あらすじは、二人の大名が野遊びに行く途中、たまたま通りかかった使いの者に太刀を持たせようとしますが、二人の大名にからかわれた使いの者は腹を立て、太刀を抜いて二人に犬や鶏のマネなどをさせ・・。

1年ぶりに観る狂言だったので、はじめは狂言独特の言い回しに慣れず戸惑いながら観ていたのですが、南原さんの言うように3分間ジーっと観ていたら、アラ不思議、いつの間にか野遊びに行く大名のやり取りが分かってくるじゃあ~りませんか(笑)。
で、♪太郎冠者~~と悪ふざけする大名や、万蔵さん演じる使いの者に脅されて「やるわいやい、やるわいやい」とユニゾンでハモってる二人の大名(笑)など、随所で笑ってしまいました。
なかでも、野村扇丞さん(この日は後ろにいた大名でした)のトボケっぷりが良かったな~(笑)。
万蔵さんから裃をよこせと言われ、扇丞さんが「さいぜんから(渡そうと)待っている」と言うとこなどは大笑いでした。
あと、万蔵さんの「まずせい」の繰り返しや、二人の大名が「あぶない」と何度も言うとこなども、繰り返しで来ると分かっていても面白く、う~む、さすが600年の歴史の狂言という感じでした(笑)。
そして、「ビョービョー」と鳴く犬や、扇を持って「コッケー!」というトリのマネ、さらに、♪京に~京に~・・・♪がってんか~?がってんじゃ~ の起き上がり小法師のマネなどは、笑いながらも、狂言は体育会系なんだな~、と感心してしまいました(笑)。
今回の『二人大名』は、去年の『萩大名』のようにホントに庭や萩があるんじゃ・・と思わせるような場面はありませんでしたが、繰り返しのギャグ(笑)もあったりして、おもしろく観ることが出来ました。



続いての番組は、『一人サラリーマン』。
出演は、社長がナベさん、副社長にエネルギーの平子君、そして、サラリーマンにイワイガワの岩井ジョニ男さん。
『二人大名』を現代に置き換えた、現代ふうの狂言。
あらすじは、社長と副社長がクラブで遊んでいるところへ、物を運ぶくらいしか能がないサラリーマンが会社の裏情報が書き込まれたCDファイルを届けに来ますが、モノマネをやらされたりしてバカにされるサラリーマン。CDファイルを届けに来たはずがご褒美を貰いそのまま帰ろうとするサラリーマンに、社長は慌てて「CDファイルを渡せ」と言いますが、サラリーマンから「CDファイルが欲しければモノマネをしろ」と言われ、社長と副社長はモノマネをするハメになり・・。

まず、橋掛から登場した平子君が、「このあたりの副社長でござる」と自己紹介をして、客席は爆笑(笑)。
狂言ではお馴染みの、「このあたりの・・」という台詞ですが、続けて「副社長でござる」と狂言ふうの言い回しで言われると、そのアンバランスさが可笑しくて思わず笑ってしまいます。
それに、平子君の発声や所作は、本物の狂言師?という感じで堂に入っており、それがまた面白さを倍増させてます。
で、このあと「(会社が)儲かりまして笑いが止まらん」と言ってたけど・・・何の会社だったかな??
ただ単に「会社」と言ってただけのような気もしますが・・・う~む、思い出せませんので、とりあえず措いといて。
続いて、副社長の平子君から「もうし、もうし、社長」と呼ばれ、社長のナベさんが橋掛から遅れて登場しますが、な、なんと、サングラス姿(笑)。
もしや例の台詞が出るのか・・と思っていたら、やはり言ってくれました、「待たせたな!」(大笑)。
そして、「サンローランの羽織、BIGIの袴、福助の足袋、丸井のカード」というお馴染みのギャグも、もちろん披露(笑)。
「福助の足袋」というギャグが、まさかこれほどはまる場所がこようとはナベさんも思ってなかったろうな~(笑)。
で、サングラスを外したナベさんの目の周りには赤と青のラメまでちゃんと貼ってあり、客席はさらに爆笑、つかみはオッケーのナベさんでありました(笑)。
ただ、この後のナベさんはというと・・・。
所作はけっこう様になっているのですが、狂言ふうの言い回しがな~んか変。
現代に置き換えた狂言というより、狂言のパロディーをやってるような感じになってました。
やはり、600年の歴史をものにするのは一朝一夕では難しいのか・・とも思いましたが、そこは愛嬌と心意気で頑張る現代狂言。
ナベさんの心意気は十分伝わってきましたので、あまり細かいことは言いっこなしということで。

社長と副社長が、檜の柱もある千駄ヶ谷のクラブ(笑)で豪遊していると、「このあたりのサラリーマンでござる」の岩井ジョニ男さんが、♪ちょっと一杯のつもりで飲んで~ とご陽気な歌を歌いながら登場。
スーツにネクタイ姿のジョニ男さんですが、クラブに入る時はなぜか「ずか、ずか、ずかずかずか」とノコギリで戸を切ったりして、随所に狂言の所作を入れてました(笑)。
そういえば、クラブに入る時は、ナベさんもジョニ男さんも「やっとな」と言ってたけど、これも昔からある狂言の言い回しなのかな?
狂言初心者の私にはよく分かりませんが、「やっとな」という言葉を聞いて、不覚にもちょっと笑ってしまいました(笑)。
で、クラブにやって来たジョニ男さんは、副社長の平子君や社長のナベさんからさんざんからかわれ、大爆笑間違いなしのモノマネ(笑)をやることに。
まずは、合宿所で自分のいちご牛乳を飲んだ後輩を叱るトシちゃん(笑)。
「104って書いてあるだろ、これ、トシって読むんだよ」という、微妙に古くて微妙に似ているモノマネに、意表をつかれて大笑いしてしまいました(笑)。
続いては、時間を間違えた森進一。
「こんばんは、森進一です。あ、時間間違えた、こんにちは・・」。
・・・ただそれだけです(笑)。
最後は、トイレを我慢する柴田恭平。
「関係ないね」とは言ってたけど、「タカ・・」とは言ってませんでした(笑)。
で、モノマネタイムが終わると、ジョニ男さんは30万ペソのお小遣いを貰ってご満悦。
そんなジョニ男さんを見て思いっきりコケてたナベさんと平子君(笑)は、そのまま帰ろうとするジョニ男さんを慌てて呼び止めますが・・・。
ここから、『二人大名』をなぞったやり取りになっていきますが、「あぶない」や「まずせい」の繰り返しは、分かっていても面白いな~。
それに、太刀の代わりにCDで手を斬るマネをするのが何ンともアホらしくて大笑い(笑)。
あと、「お前、今当たったぞ」というアドリブふうの台詞や、「羽織りを渡せ」と言われて最初は知らん顔してるナベさんなど、『二人大名』にはない台詞ややり取りも入っていて、さらに笑ってしまいました。
で、ナベさんと平子君は、犬や鶏だけではなく、合宿所で後輩を叱るトシちゃんや、時間を間違えた森進一のモノマネ、そして、起き上がり小法師もやるハメになりますが、

渡辺  「起きゃあがりは大変だよ」
ジョニ男「だからせい」

ってなやり取りも(笑)。
起き上がり小法師を、おそらく何十回も練習したであろうナベさんの台詞には実感がこもってました(笑)。
♪京に~京に~ の歌と客席からの手拍子にのせ、舞台の前へ後ろへとゴロゴロ転がっていたナベさんですが、3回目で「もうこれくらいに・・」という泣きがはいり、起き上がり小法師は終了(笑)。
最後は、ジョニ男さんに100クルゼーロのお金を渡し、CDファイルはナベさんと平子君の元へ。
大笑いしながら「バカじゃバカじゃ」と言いつつ退場する二人。
ジョニ男さんも大笑いしたあと、懐から別(本物)のCDファイルを客席に掲げて見せ、大団円(?・笑)で『一人サラリーマン』は終了。

『二人大名』と『一人サラリーマン』、どちらも最後の場面があっけない感じもしましたが、それはともかくとして。
二つを続けて観るとどちらもよく分かっておもしろさ倍、さらに倍で笑ってしまいました(笑)。
平子君は相変わらずの狂言師っぷりを発揮(笑)していましたし、ナベさんは起きゃあがりで奮闘(笑)。
いや、ナベさんは慣れない狂言の所作と言い回しで大変だったと思いますが、愛嬌がある悪徳社長で良かったです(笑)。
それから、ジョニ男さんが、それまでとは打って変わって堂々と「まずせい」と言っていたのがおもしろく、この言葉が妙に耳に残ってしまいました(笑)。



『現代狂言Ⅱ 国立能楽堂10/9 夜の部 Vol.2』に続く・・・。


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