矢野(五味)晴美の感染症ワールド・ブログ

五味晴美の感染症ワールドのブログ版
医学生、研修医、医療従事者を中心に感染症診療と教育に関する情報還元をしています。

全員マスク着用は有効か?インフルエンザの院内感染対策

2015-01-14 22:49:23 | 感染症関連
議論を呼ぶ点をあえて、書きます。

インフレンザ対策の一般向けの方法
http://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/flu/basics/prevention/con-20035101

Mayo Clinicの推奨ですが、

1. 手洗い
2. 咳エチケット (症状ある場合、マスク着用)
3. 人混みを避ける

の3点です。非常にクリア、簡潔、正確(Clear, Concise, Precise)というリスクコミュニケーションの原則を
完璧に満たしていると思います。

TV報道された院内患者および職員のインフルエンザのアウトブレイク。潜伏期間が短いので、短期間に大勢の患者が一気に出ます。

逆に、インフルエンザのコントロールの出来具合により、日頃の感染対策のレベルが推測可能ではないでしょうか。

感染対策は、「日頃の対策の徹底度合い」がもっとも重要です。

夏のデング熱、秋以降のエボラ出血熱、年末からインフルエンザ、春は風疹?麻疹???とならないように、対策しましょう! 今年の夏はまたデング熱が国内で報告されるでしょう。エボラ出血熱も”終わった”わけでなく、
メディアの風向きで”報道は下火”ですが、現地ではまだまだ続いています。

私は、病院内で、症状がない人もある人も無関係に着用する"Universal mask" 着用、つまり、職員全員マスク着用、病棟職員マスク着用、がインフルエンザ対策に有効とは思えません。”意識喚起”にはなると思いますが、まず、手洗いの標準予防策です。

マスク着用により”感染対策しているつもり”にはなりますが、不適切な着用では、かえって感染源が広がらないかを危惧します。もっともウイルスが多い場所である鼻や口の場所を頻回に触り、手洗いしないまま患者診察に当たるほうが、かえってリスクが高まる印象です。

データに基づいた対策が必要ですね。”Universal mask"が有効かどうかのリサーチが必要でしょう。
現実には、リサーチの実施は困難でしょうし、confounding factorが多いので、マスクのみの効果を測るのは至難のわざでしょう。。サーチしてみる価値はありますね。

リサーチ可能なリサーチクエスチョン、どういうリサーチクエスチョンをつくるかが課題ですね。

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