矢野(五味)晴美の感染症ワールド・ブログ

五味晴美の感染症ワールドのブログ版
医学生、研修医、医療従事者を中心に感染症診療と教育に関する情報還元をしています。

感染症対策の基本

2013-02-05 22:03:55 | 感染症関連
いつも感染対策は、基本を確実に徹底することがカギです。在米中には、2回ぐらい院内でのアウトブレイクに遭遇しましたが、プロフェッショナルとしての振る舞いや問題解決の仕方をメンターたちから学びました。テキサス大学でのフェローが終わり一時帰国中におこった炭疽菌のアウトブレイクのときには、日本医師会のシンクタンクに勤務しておりましたので、全国の医師会向けに専門医として対策をご提供する貴重な経験もしました。その後、2005年に帰国直後から、バンコマイシン耐性腸球菌のアウトブレイクで、メディアの辛辣な攻撃に立ち向かいつつ、内外への対応に奔走する日々が続きました。そのときの施設長の先生は毎晩徹夜で壮絶な日々であったことを思い出します。耐性菌のアウトブレイクは、”想定内リスク”です。当然おこるものとして、日頃から対応は十分に取れるようにしておく必要があります。感染症の専門医の専門領域は、患者個人の診療、感染対策・病院疫学、臨床微生物、そして集団医学(=public health, population-based medicine)です。卒後の10年間で、これらの領域をだいたいトレーニングでき、10年目にフルタイムの大学院生となって医師会などで経験した集団医学について、学問として再度学ぶ機会がありました。実体験した内容を、学術的に整理できること、学術的に学んだことを逆に実体験すること、この繰り返しにより、専門性はさらに磨かれると思います。感染対策の基本は、迅速な状況判断と行動を即座に起こすことです。手洗い、手袋着用時の振る舞いの原則を十分に、体で覚えることができれば、医療従事者としては一人前だと思います。

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