矢野(五味)晴美の感染症ワールド・ブログ

五味晴美の感染症ワールドのブログ版
医学生、研修医、医療従事者を中心に感染症診療と教育に関する情報還元をしています。

BBC World News より: Hepatitis Cのワクチンが有望

2012-01-05 09:51:53 | 感染症関連
今朝、BBCのWorld Newsを見ていましたら、英国Oxford大学のグループが、Hepatitis Cのワクチンを開発しており有望だとの報道がされていました。Paperになっているのかわかりませんが、すごいことですね。

現地時間の2012年1月4日付
http://www.bbc.co.uk/news/health-16415225

Hepatitis Cは培養がきわめて難しいウイルスと知られ、診断方法自体もこれまで苦難の道でした。

先進国で、HIVの治療薬の開発が一段落してHIV・AIDS患者の治療に関する研究も、長寿になった患者の慢性疾患や長期的な代謝疾患に関するものへと大きくシフトしてきています。その次にターゲットになってきたのが同時感染することでアウトカムに大きな影響を及ぼすHepatitis BとHepatitis Cです。

Hepatitis Cは、2剤併用のPEG interferonとrivabarinで劇的に予後が改善されていましたが、難関であったgenotype 1の治療も、protease inhibitorを加えた3剤併用ですばらしい成績になってきました。本当に短期間の科学の進歩に目をみはります。

今回、もしHepatitis Cのワクチンが開発されれば人類にとっては非常に大きな朗報です。

関連して、京都大学の山中先生らのグループと東大のグループがFDA approvalを先に取得する目的で米国で臨床試験を開始するそうです。日本の技術を国外で先に承認せざるを得ないのは国内の患者さんにとっては残念なことに感じます。

人材育成とインフラ整備の必要性を切に感じます。

戦略的に人材育成をしなければ間に合わない状況です。

臨床研究推進室にいらした先生も米国シカゴ大学に移籍してフランスで臨床試験と報道されていました。

国家の根幹の問題だと思います。

私自身も「自分ができること」ということで、こうしたことに対応できるように必要な知識とスキルを広げて深め、将来に向けていま懸命に準備しています。

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