矢野(五味)晴美の感染症ワールド・ブログ

五味晴美の感染症ワールドのブログ版
医学生、研修医、医療従事者を中心に感染症診療と教育に関する情報還元をしています。

ピペラシリン 1日16 gまで承認されていました。

2016-04-18 23:04:40 | 感染症関連
本日、感受性のある緑膿菌に対して、ピペラシリン単剤を推奨できる機会がありました。

保険承認量の最大量を確認しましたところ、昨年、ピペラシリンの1日量が16 gまで使用できるようになっていました。朗報ですね。

ピペラシリン・タゾバクタムはブランド品のパテントが切れて後発品が使用できる状況となりました。高額な抗菌薬で、カルバペネム系の代わりに第一選択薬として当院でも推奨することが多く、経営上は高額な点が懸念でした。

ピペラシリン単剤は、保険承認量が低用量である点が難点でしたが16 gまで承認されたので、今後は感受性がある場合に限り、最適治療薬として使用しやすくなりました。

朗報です。

適正使用の推進をさらに進めることに追い風です。

最近、ほかの施設の状況などをお伺いしたりすることがありますが、病院間で、専門医がいる病院とそうでない病院、若手教育がしっかりしている病院とそうでない病院での、抗菌薬使用のあり方の違いの大きさが拡大?しているように感じます。

2004年以降卒業した卒後臨床教育制度で研修を受けた世代と、それ以前の世代で、感染症診療へのスタンスが大きく異なってきています。若手教育で診療現場に変革を起こすことはある程度できてきていると感じます。

意思決定を担う幹部医師の生涯教育についての戦略が必要なときでしょうか。

私自身の生涯教育を鑑みるとき、向上心や興味のある方向けに最新の診療スタイルをいかに届けるか、戦略を練る
必要を感じます。

ちなみに米国のデータでは、内科系医師は卒後年数が上がるにつれ、対象とされた疾患(虚血性心疾患など)での死亡のOdd ratioが高くなる傾向が示され、生涯教育の方法が変更されました。専門医資格を保持するには2年ごとにお勉強が義務化されました。