矢野(五味)晴美の感染症ワールド・ブログ

五味晴美の感染症ワールドのブログ版
医学生、研修医、医療従事者を中心に感染症診療と教育に関する情報還元をしています。

インターアクティブレクチャ・グループディスカッション

2011-06-02 16:26:53 | Maastricht Universit
もともとこちらの大学は、1970年代に創立されて以来、世界の最先端の教育手法を取り入れた教育を実践し、オランダ国内外で定評があります。

どのような分野でも、PBLは実践可能であり取り入れたコースが組まれています。

今回は、主に医学教育学に関連したリサーチの手法で、我々が慣れているnatural scienceにおけるquantitative research (定量化研究、量的研究)と、あまりなれていないqualitative research (定性的研究、質的研究)について主に学んでいます。

リサーチの基本、educational science, sociology, anthropology など関連した分野のことも含めて質的研究について学ぶ機会を頂、非常に刺激的です。

コースの主体は、PBL, SPSSによる量的研究における統計のまとめ、質的研究のインターアクティブレクチャ、グループティカッションなど盛りだくさんです。


一方通行のレクチャは皆無です。レクチャは、自動的にインターアクティブになります。
クラスメートの発言で学ぶことがいかに大きいかも実感します。

下記は、質的研究のうち、アンケート、インタビュー、フォーカスグループなどの手法を
どのようなケースに適応するかの、ケーススタディで、グループセッションをしているところです。レクチャと組み合わせた3時間のセッションでした。グループディスカッションは白熱することもありました。最後に全体でのディスカッションでした。





レクチャをただ受身で聞くより、ケーススタディでどの場面にどれを使うのが適切か
Pros, Consを含めた議論で楽しかったです。

例のひとつ:エチオピアの結核スクリーニング率が低いのはなぜか。これをリサーチする場合どの方法がよいかなどです。

識字率、通信手段などを考慮し、村に行って、村長に話を聞く、各家庭を訪問して個別面接する、あるいはフォーカスグループなどの方法が挙がりました。

また、one-on-one 個人個人で、自分のメンターとじっくりプロジェクトについて話合う時間も”時間割”には組み込まれています。

そして、とても大切なのが、ビジネスアワー内の”Self-directed study" と言いますが自主学習時間が公式スケジュールとして、9時から17時の間に組まれています。

成人学習においてインストラクターとクラスメートと一緒のセッションと自主学習の割合は4:6がよいと言われているそうです。


Gijselaers, W. H., & Smith, H.G. (1995). Effects of quantity of instruction on time spent on learning and achievement. Educational research and Evaluation, 1,
183-201.


つまり成人学習においては、”自主学習を主体”として、それを”補助する”促進する”ために教官とのセッションがあるという位置づけです。

オランダのクラスメートの話では、大学、physical therapy (リハビリ)、看護師過程
などでも、PBLなどは取り入れられているとのことでした。

ブラジルのクラスメートは6名(同じ大学から!!!)いますが、彼らは、医師(内科系、小児科系、産婦人科系)、physical therapist, 歯科医、心理学、など総合大学の
すべてで2005年にPBLを導入して、どんどん教員を、大学が費用を全額負担して送りこんでいます。2名は医学教育学のPh.D.も取る予定です。

本当に組織を挙げた改革に、感銘を受けています。

技術で世界で存在感を認めてもらってきた日本が、今後も世界で生き延びるには、人材教育しかない、と私は感じています。"BRICS"と呼ばれる台頭している元途上国が、これだけの資本投資をしていることを、日本が認識することが急務ではないか、と思います。

ベトナム、インドネシアも、複数の人材を同時に送ってトレーニングの機会を提供しています。もちろん、政府(インドネシアの場合、オランダ政府の奨学金制度を利用)が投資しています。


今日は、大学の休日となっており、フラットからみえる裏庭を見ながら勉強しています。
庭の緑を見ているだけでとても癒される空間です。




自分のチームワーク力

2011-06-02 01:33:59 | Maastricht Universit
いま、どの分野でも、どんな仕事をしていても、”たったひとり”で完結することはきわめて少なくなっています。

夫婦、家族しかり、職場もどんなに小さくても、ひとりで完結することはまれです。
芸術家や芸能人なども、表舞台はひとりでも、裏方では多数の人と共同作業になりますものね。

今回、国籍を超えて、他の人の”思い込み””世界の見方”などを経験することができ、
とても貴重です。自分が気がついていない”めがね”(世の中の見方)を、認識することができれば、それをコントロールすることができます。

認識できるかどうかが大きな違いを生むと痛感しました。

自分自身の欠点(弱点)も見えました。

私は、結構、せっかちですし怒りっぽいところがあります。三つ子の魂百までということわざがありますが、自分の思い通りにならないと駄々をこねる子どものようなところは
結構、まだ自分に残っています。

今日新しく4人グループを形成して、本国に戻り一緒にプロジェクトをすることになったのでその打ち合わせをしていました。グループ内で出張や当直などのことで話し合いがありましたが、わかっていはいてもつい腹を立てる自分がいました。

もっと大人になって、より寛容になりたいものだと思いました。反省。。。

こういう”振り返る機会”というのは、”相手と遭遇する機会”がないと起こりません。
世界市民 global citizenとして、成熟した行動が取れるように、どんな宗教や文化や
考えや価値観がある人とでも、渡り合えるように訓練したい(意識して行動したい)と思いました。

世界共通のマナーは、やはり文化などにも配慮した言葉遣い、行動だと改めて思います。