抗菌薬開発の領域では、なかなか新薬を世に出すことは難しい時代となっていることは周知のとおりです。その場合、既存の抗菌薬をいかに有効に使用するかは世界の大きな課題であります。
私見では、国内の抗菌薬の領域における課題には、その解決に明確な優先順位があると考えております。(下記は私個人の意見であり、所属先の公式見解を反映してはおらず、関連企業等に一切利害関係はございません)
ここでは、使用方法(保険診療における用法、用量)について言及します。
国内の抗菌薬は非常に「類似製品」が多く、同じカテゴリーに4-5種類、新規性がそれほどないにもかかわらず承認されているという現実があります。
静脈注射では、第4世代セフェムが4種類、カルバペネムが5種類など。
国家政策として、抗菌薬の適正使用などに関する制度が不足していた結果ではないかと考えられます。
また、試験管レベルでなく、臨床現場での抗菌薬、診療に関する専門家も不足していた背景もあり、いわゆる治験段階での適正な判断が困難であったのではないか、と私は推測しております。そのため、使用法において、諸外国と際立った相違が認められる抗菌薬が、世界の標準的な抗菌薬にあたるもので認められています。
しかしながら、国内でも、近年は、1980年代から欧米で提唱されてきた薬物動態に基づいた抗菌薬の投与法が関係学会等では主流となりつつあり、また、情報やモノ、ヒトのグローバル化で、医療の質の標準化が急速に進行することとなりましたので、現場でも認識されるようになりました。
そうした中で、投与法において、これまで大多数の諸外国と際立った相違があった抗菌薬の投与法が改善されてきました。
2008年7月 Piperacilliin/tazobactam 4.5 g IV 6-8時間ごと (1日13.5-18g)
(以前は、2.5 g IV 1日2回, 1日5g)
2009年 Levofloxacin 1回500 mg を1日1回投与 (1日500 mg)
(以前は、100mgを1日3回, 1日300mg)
このような中で、改善が早急に望まれる抗菌薬に、
Ampicillin/sulbactam 3 g IV 6時間ごと(諸外国標準は、1日12 g)
(日本では、1日6gまで保険適用)
Cefazolin 1-2 g IV 6-8時間ごと(諸外国標準は、1日最大8g)
(日本では、1日5 gまで保険適用)
が挙がってきます。
さらに、日本では承認されていない最重要な抗菌薬が、
もっとも重要な感染症のひとつの黄色ブドウ球菌MSSAによる感染症の第一選択薬です。
Nafcillin ナフシリン、または、Oxacillin オキサシリン です。
また、嫌気性菌の第一選択薬のMetronidazole メトロニダゾールの静脈注射も日本では未承認。
metronidazole 経口薬はありますが、保険適用微生物が極めて不十分で、主には、女性の膣トリコモナス症です。
世界の「常識」ともいえる適応微生物の、嫌気性菌やClostridium difficileには保険適用がない状況です。
患者さんの不利益を考えると、一刻も早く、使えるようにしたい抗菌薬です。
上記4つ、ampcillin/sulbactam, cefazolin, nafcillin, metronidazole この4種類の問題が改善されることにより、日本の感染症診療は、世界の標準的な診療により近づき、患者さんにとって朗報になると確信しております。
私見では、国内の抗菌薬の領域における課題には、その解決に明確な優先順位があると考えております。(下記は私個人の意見であり、所属先の公式見解を反映してはおらず、関連企業等に一切利害関係はございません)
ここでは、使用方法(保険診療における用法、用量)について言及します。
国内の抗菌薬は非常に「類似製品」が多く、同じカテゴリーに4-5種類、新規性がそれほどないにもかかわらず承認されているという現実があります。
静脈注射では、第4世代セフェムが4種類、カルバペネムが5種類など。
国家政策として、抗菌薬の適正使用などに関する制度が不足していた結果ではないかと考えられます。
また、試験管レベルでなく、臨床現場での抗菌薬、診療に関する専門家も不足していた背景もあり、いわゆる治験段階での適正な判断が困難であったのではないか、と私は推測しております。そのため、使用法において、諸外国と際立った相違が認められる抗菌薬が、世界の標準的な抗菌薬にあたるもので認められています。
しかしながら、国内でも、近年は、1980年代から欧米で提唱されてきた薬物動態に基づいた抗菌薬の投与法が関係学会等では主流となりつつあり、また、情報やモノ、ヒトのグローバル化で、医療の質の標準化が急速に進行することとなりましたので、現場でも認識されるようになりました。
そうした中で、投与法において、これまで大多数の諸外国と際立った相違があった抗菌薬の投与法が改善されてきました。
2008年7月 Piperacilliin/tazobactam 4.5 g IV 6-8時間ごと (1日13.5-18g)
(以前は、2.5 g IV 1日2回, 1日5g)
2009年 Levofloxacin 1回500 mg を1日1回投与 (1日500 mg)
(以前は、100mgを1日3回, 1日300mg)
このような中で、改善が早急に望まれる抗菌薬に、
Ampicillin/sulbactam 3 g IV 6時間ごと(諸外国標準は、1日12 g)
(日本では、1日6gまで保険適用)
Cefazolin 1-2 g IV 6-8時間ごと(諸外国標準は、1日最大8g)
(日本では、1日5 gまで保険適用)
が挙がってきます。
さらに、日本では承認されていない最重要な抗菌薬が、
もっとも重要な感染症のひとつの黄色ブドウ球菌MSSAによる感染症の第一選択薬です。
Nafcillin ナフシリン、または、Oxacillin オキサシリン です。
また、嫌気性菌の第一選択薬のMetronidazole メトロニダゾールの静脈注射も日本では未承認。
metronidazole 経口薬はありますが、保険適用微生物が極めて不十分で、主には、女性の膣トリコモナス症です。
世界の「常識」ともいえる適応微生物の、嫌気性菌やClostridium difficileには保険適用がない状況です。
患者さんの不利益を考えると、一刻も早く、使えるようにしたい抗菌薬です。
上記4つ、ampcillin/sulbactam, cefazolin, nafcillin, metronidazole この4種類の問題が改善されることにより、日本の感染症診療は、世界の標準的な診療により近づき、患者さんにとって朗報になると確信しております。