矢野(五味)晴美の感染症ワールド・ブログ

五味晴美の感染症ワールドのブログ版
医学生、研修医、医療従事者を中心に感染症診療と教育に関する情報還元をしています。

医学界新聞: ノエル先生と考える日本の医学教育  連載開始

2009-06-09 23:44:03 | Weblog
下記で、臨床医、教育者として、わたしも大変尊敬しているオレゴン大学のノエル先生らが、日本の医学教育に関して連載開始されました。

私は、ノエル先生が東京大学の客員教授をされていたときに、何度もその講義を聴きに足を運びましたが、そのすばらしいレクチャのスキル、ベッドサイドでのティーチングスキルに感動しました。その模様は、出版もされています。

「変貌する日本の医学教育、米国医学教育者の提言」金原出版
http://www.bk1.jp/product/02466424


外国人であり、医学教育に造詣の深い彼の目を通しての提案、あるいは、日本の医師たちの間での熱い議論が次回からも楽しみです。


http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02833_08

乳がん検診

2009-06-09 11:00:54 | Weblog
先進国では、日本も含め、40歳ぐらいから一般に乳がん検診が推奨されています。
私も39歳から乳がん検診を毎年の人間ドックで受けるようにしています。

母親など直近に家族歴のある方ではもっと早い時期にも検診を受けるように言われています。

厚生労働省が、一定の年令の女性に、乳がん検診と子宮頚部がん検診の無料検査券を配布することを決めましたね。多くの方が検診を積極的に受けるといいなと感じます。

余談ですが、日本でも有数の乳腺外科医の聖路加国際病院の中村清吾先生がNHKの
プロフェッショナルに本日出演されるそうです。(NHKの宣伝で知りました)

私はとても興味があるのでぜひ拝見したいと思っています。

肺炎球菌ワクチン接種の勧め

2009-06-09 10:39:28 | Weblog
成人に対しては、欧米先進国では、23種類の血清型が含まれるPPV (Pneumovax(商品名))という肺炎球菌ワクチンが、下記の方などに推奨されています。

1)65歳以上の成人
2)心臓、肺などに基礎疾患のある患者
 (心不全、心筋梗塞、COPD、喘息などを含む)

米国では、2008年10月には、若くても、COPDはまだ発症していなくても、喫煙者Smokerにも公式に推奨、となりました。
http://www.cdc.gov/vaccines/recs/provisional/downloads/pneumo-Oct-2008-508.pdf

3)糖尿病
4)人工透析患者
5)HIV患者
6)臓器移植後患者
7)そのほか免疫不全のある患者
8)脾臓摘出患者 (日本では、PPV接種の保険適応は、この脾臓摘出者のみ)
などです。

一方、小児は、上記の23血清型を含むPPVでは抗体が産生されず十分な免疫ができないため、抗体ができやすく改良したPCV (Pneumococcal conjugate vaccine)が2000年に米国で承認され接種開始されました。

接種開始後、小児を対象にしていたのに、地域での老人の肺炎球菌による敗血症などの重症感染の発症率が低下したことが報告され、集団免疫の効果も明らかになりました。

また、PCVワクチンの対象としていた小児では、発症する疾患の肺炎球菌の血清型がワクチンに含まれない型へシフトするという現象が起こったり、ワクチンに含まれていた型の薬剤耐性率が低下している、といった報告が欧米諸国で多く出てきています。


下記、成人対象のワクチンPPV23, 小児対象のワクチンPCV-7に関する参考文献などが掲載されているCDCのサイトです。
http://www.cdc.gov/vaccines/vpd-vac/pneumo/default.htm#recs

今秋冬の新型インフルエンザ対策では、季節性および新型インフルエンザのワクチンの接種と併行して、上記のハイリスク患者には肺炎球菌ワクチンは必須です。

インフルエンザウイルスによる感染で、一般に、入院、死亡率の原因となる二次性の細菌性肺炎を予防するため、肺炎球菌ワクチンの接種を国家政策として推進、推奨する必要があると私は考えています。



WHOがRota virusのワクチンを すべての子どもに接種を推奨

2009-06-09 10:36:51 | Weblog
6月8日付けのInfectious Diseases Newsというメディアが、
下記を報じています。

http://www.infectiousdiseasenews.com/

WHO (世界保健機構)が、Rota virusのワクチンを、すべての子どもに接種することを推奨しました。

今回の新型インフルエンザ対策の勢いで、いろいろなワクチンの接種が、
「定期接種」にならないか、と強く感じます。

国民の認識も変わってきています。
ワクチンに関して、若い親御さんの中には、自分で英語サイトを見たり、良識的な小児科医の先生方を受診して、小児用の肺炎球菌のワクチンを接種するにはどこの病院にかかるのがいいのか、を尋ねたりしているようです。(特に、基礎疾患のあるお子さんをお持ちの方は必死のご様子が伺えました)

新型インフルエンザ対策で明白になっていますが、国家間での対応内容の相違点、対応力の相違、「平常時の感染対策のインフラ状況」など、歴然とした相違点をなんとか埋められないでしょうか。。。