くらぶアミーゴblog

エッセイを綴るぞっ!

どっちにする?

2004-06-23 19:49:29 | 東京の美味い店
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 以前ちょっとだけご紹介した芝浦のお好み焼き屋に行ってきますたあ♪ ここは『和散歩日記』作者のMicchanに教えてもらったところです。自分の住んでいる街の店を紹介してもらうなんて面白いですね~。ブログのつながりって本当に面白い。

~お好み焼き・鉄板焼き むさし 港区芝浦3-6-8 03-3454-7386~

 この日は「お好み焼きなら任せてよ!」という助っ人モデル(なにそれ?)に焼いてもらいました。画像では分かりづらいですが、厚みが違うのです。鉄板にフワっと乗せたらあとは放置。裏に焼き色がつきたら一度ひっくり返すだけなんですなあ。「ヘラで抑えたりしませんっ」とのこと。
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こんなにしてしまい(鰹節と青のりね)

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こんなことに。もう、まっこと美味かったです! ソースの塗り方もコテッと上手く盛り上げるのですな~。この切り方が“大人の切り方”だっけかな? ピザ風の切り方じゃないですね。

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 どっちにする? ってことは、こういうことですた。生粋の東京人である僕がもんじゃさんを担当。まずはオーソドックスに土手を作ります。

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 中に残っただし汁をブチまけます。少しずつのほうがいいかも。

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 でも土手を作って慎重に焼く、なんてえのは無粋なんですな。もんじゃなんて遊びながら焼くものです。飛び地に自分の陣地を作ってそこで好みの焼き具合に仕上げて遊びます。わざと土手を決壊させたり、美味そうな相手の陣地を横取りしたり、酔っぱらいながら楽しく食べるのが粋な遊びってもんです。
追:Micchanここを紹介してくれてありがとう~♪ ホントに美味しいお店だったよう!


連載小説『バイブレーション』最終回

2004-06-23 00:27:52 | 連載小説 バイブレーション
「とてもいい演奏だったわ。激しくて、音色が美しくて、思っていたより音が大きかった。はじめは、目の前にしている人たちがその音を出しているんだということが、なかなか認識出来なかった」
 鈴原さんはそう言って、自分の言い回しに笑った。
「実は、生でオーケストラを聴いたのは、今日が初めてなの。だから、すごく感動したし、不思議だった。ひょっとして、どこかで大きなスピーカーが鳴っているのかなと思った。あらためて、自分が視覚に頼りすぎているんだな、と思ったの」
 隣では町田先生がにやにやと笑っていた。彼女が気付き、軽く肘をつついた。
「町田さん、わたしがあなたを気に入っていると言ったの。そういうことはすぐ分かるんだって。まったくもう。それでいて、今日なんかは演奏の途中で寝てしまったのよ。いい演奏だったから良く眠れたんだ、なんて言い訳してたわ。まったく」
「ああ、それは僕のおやじもよく言っていたな。クラッシックに興味なんかないと言いながら、僕が指揮をするときには必ず聴きに来ていた。そしてすぐに寝てしまったらしい。でも演奏がまずい部分があると、良く眠れないと言っていたんだ。詳しく聞くと、それがうまく出来なかった楽章の部分なんだ。不思議だね」
「これから、予定は、ありますか?」町田先生が訊いた。
「打ち上げの飲み会があります。そうだ、よかったら、お二人とも来てくれませんか? メンバーに紹介したいし」
「いいんですか、メンバーさんの中に入れてもらって?」彼女が町田先生を見て、訊いた。
「もちろん。これからちょっと後片付けがあるけど、そのあとで大きな居酒屋に行くことになっている」
「恋の予感」町田先生が突然言って、肩をすくめてみせた。鈴原さんが赤くなり、彼の腕を強く叩いた。
「君の言うとおりなのかもしれない。僕や君は視覚に頼りすぎている。ちょっと試してみよう」
 僕は町田先生の左手を握った。反対の手で鈴原さんの手を握った。彼女はすぐに理解し、三人で手をつないで輪を作った。
「さあ、目を閉じるよ」
 それから暫くのあいだ、僕らは目を閉じていた。演奏会が終わったことの、興奮感と脱力感が交じり合った複雑な感情を、二人が受け取っているような気がした。鈴原さんと町田先生からは、種類の違うバイブレーションを受けた。町田先生からは単一で強い波長、鈴原さんからは太く暖かい波長。それらが三人のあいだを回っているようにも思えた。
「みんな、ひとつになっている」町田先生が呟いた。
「こんなのって、初めて。養護学校で仕事をしているのに、大切なことを忘れていたような気がするわ」
 目を開けると、視覚が脳を支配した。町田先生は敏感に感じ取り、手を放した。鈴原さんも目を開けた。
 何となく気まずい雰囲気になった。町田先生がそれを破った。
「あとでまたやりましょう。楽団の人も入れて全員でね」

 おわり
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