くらぶアミーゴblog

エッセイを綴るぞっ!

上方紀行 奈良、大阪へ 最終回

2007-11-25 12:52:40 | 連載もの 上方紀行 奈良、大阪へ

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大阪で見かけた短大生風女子
昭和の泥棒スタイルで決めている

 近鉄けいはんな線に乗り、生駒山を越えると、そこは大阪でありました。
 大阪に近づくにつれ、女性客のいでたちが変化していくのが興味深かった。
 髪は茶髪のパーマとなり、ヒョウ柄のスカーフ&ラメ入りニットが多数確認できました。
 印象としては
「この人、ボヘミアンかも」
 という感じの、ワイルドな魅力であります。
 それに比べると、男のほうは変化なし。
 男どもというのは、どの土地に行っても色気のないもんなのですな。
 ともあれ...。
 大阪といったら食い倒れ。
 ワタクシは、最初から食い「倒れる」覚悟でおりました。




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十三にあるお好み焼きのお店『やまもと』




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さっくりしっとりの牛すじ入りが1120円
ちょいと高めだけど、確かに美味




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道頓堀『大たこ』のたこ焼き
たこの大きさは業界最大 300円なり




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 池波正太郎も通ったというしゅうまいの店『阿み彦』
 蒸したてのしゅうまいをラードでこんがりと焼きあげるオリジナルしゅうまいで有名なんであります。
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 スープ付き1皿8個で609円也。
 ここには4人で行ったのだけど、食い倒れコースの最初の店だったので、
「4人で2皿だけ下さい」
 とオーダーさせていただきました。
 ご主人はその昔、寿司職人だったそうです。
 戦後は物資がなく、米のかわりにおからを使ったのだそうです。
 そんなお話を聞きながらビールをいただいていると、しゅうまいを8つもおまけしてくれたのであります。
 1人前がタダの計算であります。
 僕たちがビンボーに見えたのか知らん。しかし、嬉しかった。
 しゅうまいは皮が二重になっているかして、しっかりと巻いてるのが特徴。かりっとした皮に中身がぎっしりと詰まっております。
 これを付属の山椒入りスープに浸して食べると、また違った味わい。水餃子ならぬ水しゅうまい。
 スープはとんこつで毎朝作り、その日の分が余ったら、潔く捨てるのだそうです。
 職人気質の、人情の厚いご主人でありました。



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谷町線南森町駅そばのホテルに逗留
近くにあったコーヨーという食品店のカフェで朝食



 かくして、奈良・大阪の旅は終了したのであります。
 奈良は、街並みが小さくて、食べるものみな美味しくて、とても良かった。
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 大阪は大都会だけど、路地裏の文化をしっかりと守っているところが良かった。
 どちらの街でも、土地の人の人情に触れることができました。
 まあ僕の場合、食べ物をおまけしてくれるのを
(人情が厚いな)
 と思っているところも、あるのですが。
 しかし、旅人のこころは気まぐれ。いい人と巡り会っただけで、その土地を気に入ってしまうものなんであります。
 読者諸賢よ。書物を捨て、もっともっと旅に出ようではありませんか!

 おわり

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上方紀行 奈良、大阪へ その6

2007-11-01 11:40:31 | 連載もの 上方紀行 奈良、大阪へ

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悪い子はおらんかあ

 ところでみなさん。
 奈良の大仏さまがいらっしゃる東大寺金堂って、どのくらいの大きさか知っていますか?
 高さが48.7メートルあるんだそうです。
 この高さは、たとえばマンションだと、17階建てに相当するのであります。Nara62350
 17階建てですと!
 そんな高層マンション、じゃなかった一軒家が、何と木造なんであります。
 僕も、実際に目の当たりにしたとき、
「なんという高さだろう...」
 口を開けて、いつまでも眺めておりました。
 創建は奈良時代中期、西暦758年のこと。
 その頃は、横幅が今よりも1.5倍大きかったそうです。
 今の建物は江戸時代に再建されたものだそうだけど、それでも当時としては世界最大の木造建築であります。




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手前の灯籠は奈良時代のもの


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わりと、ちゃんと観察している小学生



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屋内でも撮影可能なのがいい



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「おっ、煙を浴びっぺ」
「んだな。浴びっぺ浴びっぺ」



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山門も、ものすごい大きさ
軸組が丸見えであります



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欧米人はなぜか短パンが多い




 金堂に向かう回廊も良かった。Nara65300
 日陰でひんやりしている。
 横に萩が生い茂っていて、赤紫色の花を咲かせている。
 そのはるか向こうには、大仏さまのいる金堂が見えている。
 すぐ近くにあるように見えるけど、それは錯覚なのであります。建物が大きすぎるんであります。
 我が国はどこもかしこも狭いと思っていたけど、古都にはこんなゆったりした場所があるんですねー。
 この後は二月堂を観光し、鹿のあいだを通り抜けて東大寺を脱出し、大阪へと向かったわけであります。


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ずっと一緒に歩き回っていた鹿と子供
ついに鹿もペットブームに乗ったか


 つづくぅ
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 その1へ




上方紀行 奈良、大阪へ その5

2007-10-27 19:14:00 | 連載もの 上方紀行 奈良、大阪へ

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500円切手の顔にもなった国宝BAZARA
(画像は新薬師寺パンフレットより)

 法隆寺観光を終えたのち、奈良駅前に戻って、昼食。
 今度は別ルートのバスに乗って、向かうは新薬師寺であります。
 ここは何でも、
「東洋のギリシア」
 と言われているそうであります。
 どうして奈良とギリシアが結びつくのか不明だけれど、ギリシア好きの筆者としては、見逃すわけにはいかない。
 それに、十二神将像が見どころということであります。



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 ところでみなさん、十二神将ってどういう方々かご存じですか?
 僕は知らなかったけど、薬師如来をお守りする守護神なのだそうです。Nara53350_2
 だから、ここの本尊は薬師如来なのですね。
「なるほど、そうなのかー」
 大人になってから学ぶと、得心がいくことばかりなんですねー。
 生涯学習とは、よく言ったもんですねー。
 十二神将像は、本当に12体がずらりと並んで薬師如来を守っていて、壮観でありました。
 そして、お寺そのものが、とても良かった。
 枝をたっぷりと伸ばした萩のあいだを歩いていると、現実とは違った世界にいるような気がしてくる。
 縁側に腰を掛けると、聞こえてくるのは、ハチの羽音。草木が風に揺られる音。
 ここが1300年近く昔の建物だと思うと、なにやら胸を打つものもあって、心が豊かになるようであります。

 そうして本日の観光を終え、あっという間に夜。



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 またまた食事どころを探して、街を歩く歩く。
 どうもこの、
「これこそ奈良だ!」
 という店がないんであります。
  そういえば、昼食も、但馬出石の皿そばというのを食べてしまった。
 但馬と言えば兵庫。ぽんすけどのお住まいの方面ではないですか。奈良と何の関係もないではないですか。

 人通りも少なくなった通りを、さまよい歩くこと30分。腹の減った我々は、とうとうおでん屋さんに突入してしまったのであります。
 しかしここが、めっぽう美味かった。

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大阪名物のどて焼きを頼んでしまった



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いちおしのトマトのおでん
オリーブオイルと胡椒が利いてる


 ここの店長さんが、気さくで良かった(ブログをお持ちですぞ)。
 焼酎の飲み方で絶対オススメという「前割り」をいただく。
 これは水割りなのだけど、少なくとも丸一日前に、あらかじめ水で割っておくのだそうであります。
 すると、Nara58350
「味が、全然違います」とのこと。
「その場で割ったのと、どう違うの?」
「その場で割ると、焼酎と水の味がします」
「んー、ばらばらということ? そんなに違うの??」
 露骨に?マークを繰り出すと、彼は前割りと“その場割り”の二杯を作ってくれたのであります。
「さ、どうぞ」
「や、本当だ。まるで違う」
 味の違いもよく分かったけど、試し飲みをさせてくれたことのほうが、僕には嬉しかった。
 酒飲みの心情がよく分かっていらっしゃる、素晴らしい店長さんだったのであります。
『とうへんぼく』という名前のお店でありました。

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 秋刀魚の塩焼き。水茄子のサラダ。おでん各種。沖縄豚の角煮。どれもひと工夫してあって、見えないところで手間が掛かっているのが推察出来る。
「奈良はどこも食べ物が美味いなあ。奈良の人はグルメなのかな?」
「いや、みんな頑張ってるんだと思います。ここ数年でずいぶん変わったんですよ」
 お見送りをうけて外に出ると、見事な月が出ておりました。
 明日はいよいよ東大寺を観てから、大阪へ移動するんであります。



 つづくぅ
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上方紀行 奈良、大阪へ その4

2007-10-21 13:02:09 | 連載もの 上方紀行 奈良、大阪へ

 まずは、夕飯の様子をお伝えしたいのであります。Nara41a300_2
 ホテルの近くで、
「何か奈良らしいものを...」
 と思ったのだけど。
 奈良らしい食べ物って、何でせう?
 “茶がゆ”くらいしか、思い浮かばないでせう。
 思い浮かばぬまま、駅近くのアーケードを歩き回り、最後にはなぜか、広島風お好み焼きの店に入ってしまったのであります(ダメじゃん)。

 ところで。
 この店の前で順番待ちをしているときに、通りを歩いていく人に、見覚えがござりました。
 それがなんと、新卒で入った会社で、とてもお世話になった先輩なのであります(過去記事でも書いた菩薩のような先輩です)。
 17年ぶりの再会であります。
 ああ、奈良とは、何という不思議な街でせう。



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「奈良でお好み焼きったら、ここ」と先輩も言ってた
おかるという名前のお好み焼き屋さん


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浅香光代風に
「ちょいと、いい酒だねぇ」


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なぎら健一風に
「オイラ何でも飲んじゃうよーん」


 そして、翌日。
 早起きして、軽装でホテルを飛び出した。
 どこかで軽く朝食を摂ってからバスに乗り、法隆寺まで脚を伸ばす予定であります。
 奈良駅前のバス乗り場から法隆寺まで、小一時間もかかるらしい。しかも本数が少ないのです。Nara42500
 昨日うろついたアーケードに行くと、カフェを発見。
 焼きたてパン各種(パニーニあり)とコーヒーのセットで約500円というので入ってみた。
 店内にはイタリア各地の写真が飾られて、それがみな、いい写真。
 パニーニもコーヒーも美味かったのだが、客は殆どいなかった。安くて美味いのに、やや不思議でありました。

 そして、世界遺産の法隆寺へ。




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建築のスケールが大きい

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土塀の低さがたまらんですっ



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 敷地の広大さと、建築物の大きさ。Nara46150_2
 それだけのことで、圧倒されたのであります。
 大きさというのは、人を感動させるものなのですね。
 また、ここで観たかったのが、この百済観音像。
 高さが209cmで、八頭身というプロポーション(画像は法隆寺のパンフレットから)。
 他にも釈迦三尊像という有名な仏像があり、そちらも国宝であります。法隆寺は国宝だらけなのであります。


 旅はまだまだつづくぅ
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上方紀行 奈良、大阪へ その3

2007-10-20 15:19:59 | 連載もの 上方紀行 奈良、大阪へ

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東大寺・大仏殿にて
屋内の撮影が可能なのだ

 奈良での投宿先は、ホテルサンルート奈良であります。
 五重塔が美しく見えるという、猿沢池のそばにあって、奈良駅にも徒歩7分。
 チェックインには早い時間だったので、取りあえずころころ式のスーツケースを預かってもらう。
 まずは、興福寺で仏像鑑賞といきますか。

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「修学旅行生が多いですな」
「何ですか、今はそんな時期ですか?」
「子供の頃は、仏像なんかを見せられても、ちっとも面白くなかったですなあ」

 最近は、仏像鑑賞ブームだそうですね。
 そこで、たびたび紹介されるのが、興福寺の国宝・阿修羅像(画像はチケットのもの)
 少年のような端正なお顔立ち。しかし、日本人の顔付きではない。
「やはり、インド人のお顔立ちに近いんでない?」という阿修羅さまは、734年作。

 興福寺から徒歩で、近鉄奈良駅へ。
 近鉄橿原(かしはら)線でひたすら南下して、大和八木駅で近鉄大阪線に乗り換え。
 こういう記述、関西にお住まいのにしかはさんとかなら、分かるだろうなあ。僕は橿原っていう地名も知らなかったのであります。
 桜井という駅を過ぎると、景色は山間のものになった。
 東京で言うと、小田急線に乗っていて、ちょうど箱根に近づいてきたような感じ。
 畑にはひまわり。山肌には彼岸花。
 電車には殆ど乗客がいなかった。我々も何となく、ひっそりと長谷寺駅で下車。天武天皇の時代に草創されたという長谷寺に向かうのであります。




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長谷寺の本堂にて
この向こうは樹海が広がっているのだ

 長谷寺駅という名はついているけど、肝心の長谷寺に行くまでには、谷を一つ越えないといけないんであります。
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 山を下り、川を一つ渡り、昔の宿場町のような通りを抜けて、今度はゆるゆると登り坂。
 さらに山門をくぐって石段を登り続け、ようやくに本堂へ到着。息も絶え絶えの状態で回廊に出ると、とたんに鮮度100%の風が吹き抜けたのであります。



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 長谷寺は、山の上にありました。
 この回廊から見下ろす景色が、素晴らしかった。
 登り道というのは辛いものだけど、最後にはこういうご褒美があるのですね。

 夕暮れが迫ってきた。長谷寺駅に戻って、今度は八木西口駅で下車。
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 昔の街並みをそのまま残し、なお今でも生活しているという今井町をぶらりと歩き回る。
 これにて一日目の観光は終了であります。
 さて、酒だ飯だ酒だー!。

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