くらぶアミーゴblog

エッセイを綴るぞっ!

ダブルの醍醐味、フランス・ギリシアの旅 最終章

2010-10-16 12:55:45 | ダブルの醍醐味、フランス・ギリシアの旅

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 最近は“戦場カメラマン”が人気だが、この画像に写っているのは観光カメラマンであります。
「ん? 観光客が写真撮ってるんなら、普通じゃね?」
 こう思われる読者諸賢もいらっしゃると思うが、ここサントリーニ島では規模がすごい。
 上の画像は観光カメラマンのほんの一部。こういう人々がずらーっと、日没を撮るために並んでいるのだ。
 しかもみな、日本製の高級一眼レフを持っている。
 レンズも赤いラインが入っていたり、金のかけ方が一桁違う。
 日本人の僕はというと、キヤノンのEOSキスである(一眼レフ入門機)。
 しかも持って行った三脚が安物で、カメラを装着したら“ゴトリッ”と音を立てて雲台がひっくり返った。
 恥ずかしい。




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サントリーニ島、イアの夕景
これを見るために世界中の人がやってくるのだ




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雲までドラマチック!




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かくしてサントリーニ島に別れを告げる




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最近の飛行機は航路案内が3Dだ




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アテネのエレフセリオス・ヴェニゼロス空港
ギリシアらしく青が多い




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エレクトラ・ホテルに投宿
シンタグマ広場に近く立地が抜群

 ギリシアの首都アテネ。
 アテネといえばパルテノン神殿、ゼウス神殿など紀元前の遺跡で有名だ。
 僕が遺跡好きになったのも、思えば21年前にアテネを訪れたのがきっかけでありました。
 なぜ遺跡に心を惹かれるのか。
 それは分からない。
 しかし、遺跡の足元に、名も知れぬ花が風に揺れているような、そういった風景がたまらなく好きだ。




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パルテノン神殿の監視員。文句なくカッコいい女性




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遺跡の調査や復元にトロッコを使ってるようだ




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アテネではトロリーバスが現役で活躍
(屋根にパンタグラフがある)




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複雑に交差する電線網。アテネらしい風景だ
日本も昔はこうだったよなァ




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パルテノン神殿より大きかったというゼウス神殿
子供は遺跡よりサッカーに夢中




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こういう風景に心を激しく惹かれる

 紀元前に栄華を誇ったギリシアも、今は国の財務状況が著しく悪い。
 しかし多くのギリシア人は陽気だ。そして根が真面目。
 だから質問をすると、テキトーに答える人はあまりいない。じっと考えて答えてくれる。
 中には
「日本の経済状況はどうなの? 市民はどれくらいの借金を持ってるの?」
 などと訊いてくる人もいて、こっちもちゃんと考えて話さないといけない。
 そういうギリシア人の木訥なところは、あの透き通るような青い空と海によく似合っている。
 というより、あの混じりっけのない青(碧でも蒼でもない、本当の青だ)を見て育ったのが、ギリシア人なのだということか。




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遠慮がちに食べ物をねだるネコ




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高級ホテル(帝国ホテル級)前でも平気で寝る犬
ギリシアは犬もネコもみんなで育てている




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ブーゲンビリアに覆われたホテル




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ギリシアの代表料理スブラキ
ケバブと同種の、肉の串焼き料理




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夜のアテネからはアクロポリスが見える

 かくして今回の旅は終わったのであります。
 思えば、どうして人は旅に出るのか。
 いや、人によってはまったく旅に出たがらない人もいる。
 つまり、自分はなぜ旅に出るのか。これが疑問だ。
 それはどうも、幼い頃の記憶が働いているような気がする。
「あの山の向こうはどうなっているのか?」
 こういった疑問を常に持っていたような気がする。
 そういう根源的な疑問を解くために、いろんなところへ行きたがるような気がする。
 そういう“気がする”関係は、いずれちゃんと考えようと思う。
 折しも哲学書が売れているという現代。あの哲学発祥の地、ギリシアの人のように、純粋に考えてみるのもいいかもしれない。
 それにしても...。
 ギリシアの空は青かった!




 おわり
 第1話へ!




ダブルの醍醐味、フランス・ギリシアの旅 その5

2010-08-16 15:08:06 | ダブルの醍醐味、フランス・ギリシアの旅

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サントリーニ島、イアの夕暮れ

 嗚呼。
 月日が、矢のように過ぎ去っていく。
 そのわりには、やりたいことの半分も出来ていない。今年も盆を過ぎてしまった。
 そんな忙しない明け暮れの中、僕は、あのギリシアの海を想い出すのであります。
 ギリシアの海は青い。
 眺めているこちらの心まで染まりそうな青なのだ。
 それでいて、間近で水面を見ると、実は海水に色というものがまったくないことが分かる。
 底の岩や砂、貝が透けて見えるほど、海水が澄んでいる。泳ぐ魚も、まるで宙を飛んでいるように見えるのだ。
 そして、その海と同じ色の空が広がるギリシア。一度訪れたら、必ずもう一度訪れたくなること必定なのであります。




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アテネ空港でプロペラ機に乗り換える
離陸はジェットより加速が味わえるのだ




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地中海の島を見下ろす。どこも樹木が少ない




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サントリーニ島へ到着。ホテルで迎えに来てくれた
日差しが強烈、暑い! しかし湿気はほとんどない




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部屋はこんな感じ
ロフトがベッドルームだ




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ロフトから入り口を見たところ
天井が円いのが、サントリーニ建築の特徴




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 ギリシア訪問は2回目になる。
 前回はアテネに滞在し、途中で地中海を巡る一日クルーズというのを体験したのだった。
 その時に見た海と空の印象が、冒頭の文章なのであります。その青さは、今回21年ぶりに見ても変わってなかった。
 そして、今回はサントリーニ島のイアという街へやってきた。
 漆喰を塗った壁と、海と空のコントラストが素晴らしい。
 あちこちにハイビスカスとブーゲンビリアが咲いている。
 投宿先はホテル・アエスリオ(Aethrio Hotel/oia TK84702 Greece)だった。
 こぢんまりとしていて、部屋はそれぞれ離れのように独立した建物になっているのが好ましい。
 日本からネットで予約していったのだった。




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初日の夕食はどこで食べるか迷うことが多い
ここはメインストリートに面したレストランだ
まずはギリシア風サラダとワインを頼む




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タコのフリットに...



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イカ焼きはオリーブオイルとレモンで



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これも名物、仔羊肉のリブステーキ
味付けも調理法も、とにかくシンプルだ



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暮れゆくイアの街並み




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メインストリートには様々なショップが並ぶ

 サントリーニ島には世界中から観光客が集まるというが、本当にそうだった。
 しかしアジア人はまだ少ないようだ。その中では日本人が最も多い。次は韓国人、中国人だった。
 みんな、イアには
「世界一美しい夕暮れ」
 を眺めに来るという。
 イアはサントリーニ島の北西部にあって、西に面した断崖絶壁の上に、白い建物がへばりつくように密集している(冒頭の写真参照)。
 その白壁が夕陽の色に染まるのだという。
 さあ。
 夕食も食べたし、地元の美味しいワインも飲んだ。いよいよその場所に行ってみることにしよう。




 つづくっ!
 第1話へ!




ダブルの醍醐味、フランス・ギリシアの旅 その4

2010-07-03 14:45:55 | ダブルの醍醐味、フランス・ギリシアの旅

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大道芸人が大勢いるポンピドゥー・センター前にて

 今回のフランスの旅で、最大の目的とは何か。
 それはモン・サン・ミシェルへ行くことだったのであります。
 “モン”はマウンテン、“サン”はセイント、つまり聖。“ミシェル”はミカエル大天使のこと。
 すなわち聖ミカエル山という意味になるんであります。
 パリから特急TGVに乗り、約2時間でレンヌという小村へ到着。そこからバスで約1時間20分、モン・サン・ミシェルへ到着という行程なのだ。




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TGVが並ぶさまは圧巻




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いきなり発車が30分くらい遅れている
「まったくよー!」と、乗客も不機嫌である
(帰りはナント1時間以上遅れた)




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それでもレンヌに到着。直ちにバスへ乗り換え




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ついにモン・サン・ミシェルが見えてきた
バス内でもあちこちで喚声が上がる

 その昔。
 モン・サン・ミシェルへ巡礼に行く場合、その孤島へ渡るには、引き潮のときに行くしかなかった。
 周囲は激しい潮流が渦巻いていて、引き潮の時でさえ、打ち寄せる波にさらわれたりして、大変な苦労だったらしい。
 それが1877年には車も通れる立派な橋が完成。我々もそこを通ったわけであります。
 しかし潮流をせき止めてしまったことで生態系が変わったらしく、フランスでは大問題になっている。いずれ桟橋型に変える予定だというけど、いつになるのか分からないですなァ。
 なにしろラテンの人々だもの。




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カトリック巡礼の地、世界遺産であります




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両側に店が並ぶ様は江ノ島の参道にそっくり
考えてみれば、同じようなところなのだ




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 島内には日本人観光客が大勢いた。
 20人近い若者の団体もいて、その全員が非常に派手だった。
 髪の毛が金髪、ピンク、茶髪でキューティクルがきらきら輝いている。僕は何となく、ピンときた。
「あれは美容師ではないだろうか」
「いや、美容師の専門学校生でしょう。卒業旅行でパリとかイギリスによく行くって、聞いたことがありますよ」(細君)
 なるほど、さもありなん。
 彼らの会話は無邪気で面白かった。
「うわー、ありえないありえない。きれいすぎ」
「まじ、すっげー」
「やばいやばいマジ、やばい」
 若人はどうも語彙が少なすぎる。
(そんなんで将来、大丈夫かね?)
 と老婆心ながら心配してしまう。しかし中には
「こんな景色見たらストレス吹っ飛ぶよね」
 という発言もあった。
 学生なりに悩みもあるのだろうなァ。がんばれよ、若者たち!




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周囲は本当に海なのだ




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対岸のホテルにチェックインし、夕食を摂った
日暮れを待って再びモン・サン・ミシェルへ
日暮れと行ってもこれで8時半頃である




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砂が紅色に染まっていく




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日没後。寒くて震えるが、いつまでも眺めてしまう




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翌朝の風景。この辺には顔の黒い羊が放牧されている
15km圏内に6000頭いて、その8割が島内で消費される




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 フランスでの滞在、6泊7日。
 人生初のフランスは、建築の美しさに目を瞠り、ものすごく臭いソーセージ(アンドゥイユ)にノックアウトされた旅だった。
 さすがに食べ物とワインはウマかったなァ。
 気になる缶詰も充分チェックして、明日からはいよいよギリシアへ向かうのだ。




 つづくっ!
 第1話へ!









ダブルの醍醐味、フランス・ギリシアの旅 その3

2010-06-21 18:46:35 | ダブルの醍醐味、フランス・ギリシアの旅

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アール・ヌーヴォーな地下鉄入り口
この日は午後から晴れた

 パリ3日目。
 朝から曇っている。
 フランスに来てからすっきりと晴れた日がない。そして寒い。
 投宿しているホテルのソファベッドが、ちょいと面白かった。



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ソファの下にもう一つベッドが隠れていた

 さて、今日はまず、ルーブル美術館に行こうと思う。
 そのあとは凱旋門に上ってみるのだ。




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この向こうがルーブル美術館
こういう細い通路がパリには多い
(車はけっこう飛ばして通る)




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 いつしか太陽が出てきた。
 メインの入り口であるピラミッド前から入ろうと、行列に並んだ。
 団体の、中国人観光客が大勢いる。
 首からさげたカメラを見ると、みんな僕らのカメラよりずっと高級品である。
 30年も昔の、日本人の団体旅行もこうだったのだろうか。
 ルーブルといわず、パリ市内には、団体の中国人旅行者が多かった。
 ちょうど、今の銀座も同じ状況にあるのだ。銀座4丁目の交差点から新橋側は、中国人の方が日本人より多いくらいだ。




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螺旋階段をカッコよく上がるフランス人女性
着こなしがうまいなと思う




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ミロのヴィーナス、本物であります
中国人たちはこの前で一緒に記念撮影




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ある階段を上がると、そこには...




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サモトラケのニケ像
これには魂がぶっ飛んだ




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羽根は後ろで補強してある




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 建物自体も見事なのが多い、海外の美術館。
 フラッシュさえ使わなければ、基本的に撮影OKなのがすごくいいと思う。
 こうしてたっぷりと美術鑑賞をしたのち、凱旋門に向かったのであります。




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改修したばかりの地下鉄構内。タイルがきれいだ




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見た目はきれいだが、基本的にどこも小便臭い




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 そして、凱旋門へ。
 長い長い階段を登った末に、屋上へ上がれるのだ。
 エレベーターもあるのだけど、何年か前に故障してから、直していないらしい。
 おおらかというか、「やる気ねぇなー」というか、まったくもってフランス人はラテン気質であります。
 この写真はシャンゼリゼ通りに向いたところ。




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こちらは反対側。彼方に新凱旋門が見える




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 凱旋門登頂・下山ですっかりくたびれた我々中年夫婦は、シャンゼリゼ通り沿いのカフェに、一杯の冷たいビールを求めたのであった。
 ところで、シャンゼリゼとは

 シャン=庭、広場、草地
 エリゼ=エリゼ宮殿

 この2つがくっついた言葉だったの、知ってましたか?
 僕ぁ知らなかった。
 すなわち、エリゼ宮殿の庭とか、そういう意味だったんですなァ。




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見事に人混みを抜けてくギャルソン
トレーも持っているのに、もはや神業である



 つづくっ!
 第1話へ!







ダブルの醍醐味、フランス・ギリシアの旅 その2

2010-06-07 20:49:10 | ダブルの醍醐味、フランス・ギリシアの旅

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スマート、ミニなど小型車多しパリ市内

 パリ2日目。
 初めてのフランスということで、気持ちが昂ぶっている。
 昂ぶったあまり、昨夜はすごい経験をした。
 ホテル近くのカフェで夕食を摂ったのだが、メニューに
 [ソーセージ、XXXXXX]
 というメニューがあったのだ(フランス語で書いてあったが)。
 食いしん坊の僕はてっきり、このXの連続が
(これはスペシャルにウマいんだろうな)
 という意味に取った。そこでギャルソンに「これはウマいのか?」と英語で念を押すと、彼は手の平を下にして、船が揺れるように、手を動かしたのである。
(ま、悪くないんでない)
 こう、言っているのだと思った。そこでそのXXX...を注文したのだが、これが、凄まじかった。




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ヴァンドーム広場に面したお店
左側の店だけ外壁を掃除してるのが分かる

 それは、強烈なアンモニア臭の混ざった、臭い臭いソーセージだったのである。
 焼きとん屋で、白モツと言われる部分がありますね(豚の小腸など)。これを、日本では匂いを消すために、焼酎で洗ったりして下ごしらえをする。
 そういう部分を、あまり下処理せずに短く切って、それを腸詰めの中身にした感じ。
「うわわわっ」僕は届いた皿を前に、のけぞった。
「うわー、こっちまで匂ってくる」細君が非難する。
 勇気を出して食べてみれば、やはり臭い。モーレツにブタ臭い。
 頑張って半分以上は食べたのだが、あれはきっと、田舎料理なんだろうと思う。
 初日からそんな洗礼を受けたおかげか、パリがぐっと身近になったのでありました。




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これ、何と建築現場の事務所なのだ
ちゃんとデザインしてるんだなァ




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カラフルな郵便局




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 ところで、クレーンとは、英語で鶴のこと。
 日本のクレーンは、どう見たって鶴には見えないんだけど、欧米のクレーンはこんなカタチをしている。
 なるほど、鶴にも見えるなと納得であります。




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 雨が降ったり、やんだりしている。
 寒い。セーターとコートでちょうどいいくらいだ(5/14時点。パリは例年よりずっと寒かったらしい)。
 オペラ広場にある[カフェ・ド・ラペ]で昼食を摂ることにした。
 左のクロック・ムッシュが17ユーロ(約1900円)。
 右のサンドイッチ、パリジャンが13ユーロ(約1500円、115円換算)。
 さりげなく値段を書いたけど、何とお高い昼食であることよ!
 円高・ユーロ安の状況で、この値段なのだ!
 しかし、実に美味かった。バゲットは中がみっちりと詰まった香ばしいパンで、ハムもチーズも素晴らしく美味。




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世界最古のデパート[ボン・マルシェ]で缶詰チェック




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 ついに本降りとなって、カフェに避難する。
 しかし人の思うこと、みな同じであります。憧れていた[ドゥ・マゴ]には入れず、隣の[カフェ・ド・フロール]に腰を落ち着けた。




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 この日。
 夕飯は、本場のタルタルステーキ(牛の生肉。ユッケみたいなもの)が食べたかったので、パリで一番美味いという[ビス・ドゥ・セヴェロ]へ行った。
 タルタルも美味かったが、ワインも良かった。前菜にサラダ、メインにタルタルステーキで充分の量がある。
(生ハムサラダ・約1380円、タルタルステーキ・約1800円)
 最後に店主と話しをすると、
「日本人がシェフで修行している。話しをしていきなよ」
 という。そこで厨房に入ると、いましたいました。紛う方なき、日本の若い男児が。
 頑張って修行して、日本にもウマいタルタルステーキのお店を開いておくれ。


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 つづくっ!
 第1話へ!