くらぶアミーゴblog

エッセイを綴るぞっ!

上方紀行 奈良、大阪へ その5

2007-10-27 19:14:00 | 連載もの 上方紀行 奈良、大阪へ

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500円切手の顔にもなった国宝BAZARA
(画像は新薬師寺パンフレットより)

 法隆寺観光を終えたのち、奈良駅前に戻って、昼食。
 今度は別ルートのバスに乗って、向かうは新薬師寺であります。
 ここは何でも、
「東洋のギリシア」
 と言われているそうであります。
 どうして奈良とギリシアが結びつくのか不明だけれど、ギリシア好きの筆者としては、見逃すわけにはいかない。
 それに、十二神将像が見どころということであります。



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 ところでみなさん、十二神将ってどういう方々かご存じですか?
 僕は知らなかったけど、薬師如来をお守りする守護神なのだそうです。Nara53350_2
 だから、ここの本尊は薬師如来なのですね。
「なるほど、そうなのかー」
 大人になってから学ぶと、得心がいくことばかりなんですねー。
 生涯学習とは、よく言ったもんですねー。
 十二神将像は、本当に12体がずらりと並んで薬師如来を守っていて、壮観でありました。
 そして、お寺そのものが、とても良かった。
 枝をたっぷりと伸ばした萩のあいだを歩いていると、現実とは違った世界にいるような気がしてくる。
 縁側に腰を掛けると、聞こえてくるのは、ハチの羽音。草木が風に揺られる音。
 ここが1300年近く昔の建物だと思うと、なにやら胸を打つものもあって、心が豊かになるようであります。

 そうして本日の観光を終え、あっという間に夜。



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 またまた食事どころを探して、街を歩く歩く。
 どうもこの、
「これこそ奈良だ!」
 という店がないんであります。
  そういえば、昼食も、但馬出石の皿そばというのを食べてしまった。
 但馬と言えば兵庫。ぽんすけどのお住まいの方面ではないですか。奈良と何の関係もないではないですか。

 人通りも少なくなった通りを、さまよい歩くこと30分。腹の減った我々は、とうとうおでん屋さんに突入してしまったのであります。
 しかしここが、めっぽう美味かった。

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大阪名物のどて焼きを頼んでしまった



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いちおしのトマトのおでん
オリーブオイルと胡椒が利いてる


 ここの店長さんが、気さくで良かった(ブログをお持ちですぞ)。
 焼酎の飲み方で絶対オススメという「前割り」をいただく。
 これは水割りなのだけど、少なくとも丸一日前に、あらかじめ水で割っておくのだそうであります。
 すると、Nara58350
「味が、全然違います」とのこと。
「その場で割ったのと、どう違うの?」
「その場で割ると、焼酎と水の味がします」
「んー、ばらばらということ? そんなに違うの??」
 露骨に?マークを繰り出すと、彼は前割りと“その場割り”の二杯を作ってくれたのであります。
「さ、どうぞ」
「や、本当だ。まるで違う」
 味の違いもよく分かったけど、試し飲みをさせてくれたことのほうが、僕には嬉しかった。
 酒飲みの心情がよく分かっていらっしゃる、素晴らしい店長さんだったのであります。
『とうへんぼく』という名前のお店でありました。

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 秋刀魚の塩焼き。水茄子のサラダ。おでん各種。沖縄豚の角煮。どれもひと工夫してあって、見えないところで手間が掛かっているのが推察出来る。
「奈良はどこも食べ物が美味いなあ。奈良の人はグルメなのかな?」
「いや、みんな頑張ってるんだと思います。ここ数年でずいぶん変わったんですよ」
 お見送りをうけて外に出ると、見事な月が出ておりました。
 明日はいよいよ東大寺を観てから、大阪へ移動するんであります。



 つづくぅ
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上方紀行 奈良、大阪へ その4

2007-10-21 13:02:09 | 連載もの 上方紀行 奈良、大阪へ

 まずは、夕飯の様子をお伝えしたいのであります。Nara41a300_2
 ホテルの近くで、
「何か奈良らしいものを...」
 と思ったのだけど。
 奈良らしい食べ物って、何でせう?
 “茶がゆ”くらいしか、思い浮かばないでせう。
 思い浮かばぬまま、駅近くのアーケードを歩き回り、最後にはなぜか、広島風お好み焼きの店に入ってしまったのであります(ダメじゃん)。

 ところで。
 この店の前で順番待ちをしているときに、通りを歩いていく人に、見覚えがござりました。
 それがなんと、新卒で入った会社で、とてもお世話になった先輩なのであります(過去記事でも書いた菩薩のような先輩です)。
 17年ぶりの再会であります。
 ああ、奈良とは、何という不思議な街でせう。



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「奈良でお好み焼きったら、ここ」と先輩も言ってた
おかるという名前のお好み焼き屋さん


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浅香光代風に
「ちょいと、いい酒だねぇ」


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なぎら健一風に
「オイラ何でも飲んじゃうよーん」


 そして、翌日。
 早起きして、軽装でホテルを飛び出した。
 どこかで軽く朝食を摂ってからバスに乗り、法隆寺まで脚を伸ばす予定であります。
 奈良駅前のバス乗り場から法隆寺まで、小一時間もかかるらしい。しかも本数が少ないのです。Nara42500
 昨日うろついたアーケードに行くと、カフェを発見。
 焼きたてパン各種(パニーニあり)とコーヒーのセットで約500円というので入ってみた。
 店内にはイタリア各地の写真が飾られて、それがみな、いい写真。
 パニーニもコーヒーも美味かったのだが、客は殆どいなかった。安くて美味いのに、やや不思議でありました。

 そして、世界遺産の法隆寺へ。




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建築のスケールが大きい

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土塀の低さがたまらんですっ



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 敷地の広大さと、建築物の大きさ。Nara46150_2
 それだけのことで、圧倒されたのであります。
 大きさというのは、人を感動させるものなのですね。
 また、ここで観たかったのが、この百済観音像。
 高さが209cmで、八頭身というプロポーション(画像は法隆寺のパンフレットから)。
 他にも釈迦三尊像という有名な仏像があり、そちらも国宝であります。法隆寺は国宝だらけなのであります。


 旅はまだまだつづくぅ
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上方紀行 奈良、大阪へ その3

2007-10-20 15:19:59 | 連載もの 上方紀行 奈良、大阪へ

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東大寺・大仏殿にて
屋内の撮影が可能なのだ

 奈良での投宿先は、ホテルサンルート奈良であります。
 五重塔が美しく見えるという、猿沢池のそばにあって、奈良駅にも徒歩7分。
 チェックインには早い時間だったので、取りあえずころころ式のスーツケースを預かってもらう。
 まずは、興福寺で仏像鑑賞といきますか。

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「修学旅行生が多いですな」
「何ですか、今はそんな時期ですか?」
「子供の頃は、仏像なんかを見せられても、ちっとも面白くなかったですなあ」

 最近は、仏像鑑賞ブームだそうですね。
 そこで、たびたび紹介されるのが、興福寺の国宝・阿修羅像(画像はチケットのもの)
 少年のような端正なお顔立ち。しかし、日本人の顔付きではない。
「やはり、インド人のお顔立ちに近いんでない?」という阿修羅さまは、734年作。

 興福寺から徒歩で、近鉄奈良駅へ。
 近鉄橿原(かしはら)線でひたすら南下して、大和八木駅で近鉄大阪線に乗り換え。
 こういう記述、関西にお住まいのにしかはさんとかなら、分かるだろうなあ。僕は橿原っていう地名も知らなかったのであります。
 桜井という駅を過ぎると、景色は山間のものになった。
 東京で言うと、小田急線に乗っていて、ちょうど箱根に近づいてきたような感じ。
 畑にはひまわり。山肌には彼岸花。
 電車には殆ど乗客がいなかった。我々も何となく、ひっそりと長谷寺駅で下車。天武天皇の時代に草創されたという長谷寺に向かうのであります。




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長谷寺の本堂にて
この向こうは樹海が広がっているのだ

 長谷寺駅という名はついているけど、肝心の長谷寺に行くまでには、谷を一つ越えないといけないんであります。
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 山を下り、川を一つ渡り、昔の宿場町のような通りを抜けて、今度はゆるゆると登り坂。
 さらに山門をくぐって石段を登り続け、ようやくに本堂へ到着。息も絶え絶えの状態で回廊に出ると、とたんに鮮度100%の風が吹き抜けたのであります。



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 長谷寺は、山の上にありました。
 この回廊から見下ろす景色が、素晴らしかった。
 登り道というのは辛いものだけど、最後にはこういうご褒美があるのですね。

 夕暮れが迫ってきた。長谷寺駅に戻って、今度は八木西口駅で下車。
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 昔の街並みをそのまま残し、なお今でも生活しているという今井町をぶらりと歩き回る。
 これにて一日目の観光は終了であります。
 さて、酒だ飯だ酒だー!。

 追:この記事は『PIXY ひとりごと』“奈良へ”にトラックバック!




 つづくぅ
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上方紀行 奈良、大阪へ その2

2007-10-08 13:36:11 | 連載もの 上方紀行 奈良、大阪へ

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古い格子戸にシャガール展のポスター
奈良の人は粋だ(奈良駅近くにて)

「奈良って、いいところだなあー」
 小路に迷い込んだとき、いきなり結論づけてしまった。
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 肩を並べるようにして建っている木造家屋は、それぞれに磨き上げられていて、路上にはチリ一つ落ちていない。
『書道教室』と看板が掛けられた古民家の前を、日傘を差した女性が歩いていく。
 低い軒並みと、路上には瓦屋根の影。
 しんとした昼下がり。強烈な太陽。

 その日。
 伊丹空港に降り立った我々は、スカイブルーのバスで奈良市街まで向かったのでありました。
「まずはホテルに荷物を預けて、それから柿の葉ずしで有名な『平宗』でお昼にしましょう」
「いいですな。本物の柿の葉ずしは、食べたことがない」


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 奈良駅前でバスを降り、「おおむね、こっち」と検討をつけて、ホテルの方角に向かって歩き出す。
 そうしたら、上記のような小路に入り込んでしまったのだ。
「これも旅の醍醐味...」と、雰囲気の良さそうな通りを選んで、進む。
 スーツケースの車輪ががらがらと鳴る音が、大きく響くほど、ひっそり閑としている。
「あっ、平宗があった」
「や、本当だ。先に昼を食べてしまうか」



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ピンぼけにて失敬 これが本物の柿の葉ずし

 格子戸を開けると、カウンターに入っていたご主人が、声を掛けてくる。
「テーブルでも、奥の座敷でも、どちらでもどうぞ。ま、カウンターでしたら、私らはお話が出来るんでいいんですけどね」
 否やはないのであります。ご主人の正面席へ、ようやく腰を落ち着ける。
 地元の人との触れあいこそ、旅の面白さ。ずっと心に残る想い出になるのであります。
 そこでは

 ビール中瓶×1 470円(たぶん)
 柿の葉ずし盛り合わせ×1 860円
 鮎ずし(吉野川で捕れた鮎)×1 870円
 赤だし×1 290円(たぶん)

 を発注。
 柿の葉ずしは、鯖と鮭。ほのかに甘さの感じられる寿司飯に、酢でしめたネタの脂、風味が移っている。
 食べる直前まで、重しを掛けて馴染ませている(馴れる)、その手間がすごい。
 たまらない美味さなんであります。
「むらさき(醤油)欲しかったら、おっしゃってくださいね」
 と言われていたのだが、 必要なかった。



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猿沢池と、五重塔

 この、ご主人と思っていた男性は、たまたま、別の店からヘルプに来ていたのだという。
 この人との話が、面白かった。
 押し寿司の話。旅先で食べるものの話。ファストフードと伝統食の話。
 ヘルパーご主人はおっしゃる。
「私は、どこかに行ったら、“それなり”の値段のするものしか食べません。美味しいもんを作ろうと思ったら、まずそれなりの材料がいるし、手間が掛かる。だから、料理が安いということは、そういうもんが抜けた分だけ安いということです」
 そんなお話を聞きつつ、話しつつ。
 鮎ずしも美味い。
 酢でしめた鮎を噛むと、口中にほのかな香草の香りが立ち昇る。
 香魚とも言われる鮎。その香りが味わえる、繊細な押し寿司なのであります。
「奈良って、いいところだなあー」
 ビールの軽い酔いを自覚しながら、我々はホテルへと向かったのでありました。


 つづくぅ
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上方紀行 奈良、大阪へ その1

2007-10-05 14:03:49 | 連載もの 上方紀行 奈良、大阪へ

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寝ぼけたまま、リムジンバス乗り場へ駆けつける

 先月、9月のこと。
 月末の連休を利用して、ワタクシと細君は、3泊4日の旅に出たのであります。
 行き先は、古代史の舞台・奈良と、食い倒れの街・大阪。

「大化の改新って、奈良で行われたのだよね?」
「えー、そうだと思います」
「西暦、何年のことだろう?」
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「えー、記憶にございません」

 書物を調べてみると、646年とある。その前には、推古天皇の即位が592年とも、書いてある。
 今から1500年以上も昔のこと、なのだ。
 子供の頃は、歴史を習っても、感じ入ることはなかったと思うけれど...。
 オトナになってから歴史を知ると、ただ、感心することばかりなのであります。
 古都・奈良には、当時の仏像や建築が残っているとか。
「うっそー、ホントにぃ!?」
 一昔前の女子大生風に驚きつつ、我々は羽田発JAL111便に乗り込んだのであります。


 

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乗り遅れなくて良かった
機種はボーイング777



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出発地、東京羽田は曇天
離陸の瞬間ほど、心ときめくことはない



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富士山上空を通過っ
dii-chaiさん、見えましたぞ!



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淀川(たぶん)を超えて、いよいよ伊丹空港へ



 この記事は時空を超えて『チャイディーな世界』“富士山”にトラックバック! こちらはもっと美しい写真ですぞ

 つづく