
冬のキャンピングもイイのだ!
『そらいろのドア』“ソロキャンプに必要なものは・・・”~にトラックバック。
作者ロココさんの息子さんが、初めてのソロキャンプに行くそうです。一人っきりのキャンピングですね。そこで持っていく一冊の本は何がいいか? これがうんと興味深いテーマとなっています。
僕が初めてのキャンピングに持っていったのは、以前ご紹介した故芦沢一洋氏の『バックパッキング入門』でした。シュラフに潜り込んで、頭上からつり下げたキャンドルランタンのほのかな灯りに照らされながらこの分厚い専門書を読んでいたときには、例えようもなく幸福だったのを憶えています。
フィールドで専門の本を読むのはやはりリアルで楽しいものです。あるいは野田知佑のカヌー本もいいし、そうなれば植村直己もいい。ジャック・ロンドンにいってもいいですね。
ただ、どうしても野外では馴染まないものもあります。これは最近気付いたことですが、夏目漱石、こりゃあいけない。漱石は僕は大好きなんですよ。とくに『門』、こいつは中学校以来手放したことがないです。しかし、野外では面白くない。というよりまるっきりつまらないです。周囲の人々とのしがらみ、運命、そういったものとのあがきが漱石の醍醐味ですが、フィールドにいると「なにをうじうじしてるのかなあ・・・」とはがゆく思ってしまう。確か野田知佑も同じようなことを言ってたはずです。キャンピングでは衣食住、生活の全てを自分一人の手で作り出していきます。上手くいっているときにはあのマンダン族(インディアン)の有名な言葉「わたしはただこの地球のうえにいるだけだ。なにを怖れる必要があるだろうか?」が実感として得られるのです。そんな充実した瞬間を過ごしているから、あまりにも細やかな感情の配慮とかは消え失せているのですね。武者小路実篤とか石坂洋次郎なんていうのは大丈夫です。やはり漱石はすごい(逆の意味で)!
SFなんかもけっこういいです。スタニスワフ・レムの『ソラリスの陽のもとに』なんていう難解なものがけっこう感動するのが不思議です。あとは大藪晴彦。これもけっこうイケる。ただしR指定あり♪
一冊だけ持っていく本。これはうんと深いテーマですね。