くらぶアミーゴblog

エッセイを綴るぞっ!

ニューヨークよ! 本編その6

2008-12-30 13:36:57 | 連載もの ニューヨークよ!

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チェルシーからの帰途、西14丁目通りから見えた
エンパイア・ステート・ビルディング
こういう写真をパッと撮るにはやはりデジカメが便利


 この連載も第6回目となった。このまま年を越すことになりそうです。読者諸賢よ、来年はみなさんにとって素晴らしい年でありますように。

 さて、ニューヨーク市(NYC)滞在4日目の朝。
Nyc8466  親しみのわいてきた『ザ・タイムホテル』をチェック・アウトする日がやってきた。
 タイムズ・スクエアまで徒歩5分という立地で、マンハッタン見物の拠点としては実に便利だった。
 その分、値段も2人で1泊約3万円と安くはない。これが相場なのであります。

 次の滞在先は東99丁目通りと東100丁目通りの間、3番街に面しているレンタルアパートの『RoomA』というところ。
 NYCは北に行くほど丁目の番号が大きくなる。つまり西50丁目通り沿いにあるザ・タイムホテルよりもずっと北に移動することになる。

Nyc7497_2  チェック・アウトを済ませた我々は地階に降りた。折しも外は雨。しかし、早朝よりは小降りになっている。
 顔馴染みとなったポーターがドアを開けてくれたが、彼は誰かと話をしていたところだった。目の前に黒いキャデラックのリムジンが止まっており、その運転手と世間話をしていたようだ。
「タクシーを呼ぼうか?」陽気なポーター氏がいう。
「お願いします」と僕。
「何ならこのリムジンを使ったらどうだい?」彼が提案する。脇ではドライバーがニコニコと笑っている。
「値段も安いんだよ。なあ、そうだろ」と彼はドライバーにも視線を送る。
Nyc64475_2  その率直さ。フランクな態度。これが米国人の良いところだなあと思う。
「ま、この次にしておこう」と僕。リムジンを使うなんて、いかにもおのぼりさんみたいで恥ずかしい。
 イエローキャブを呼んでもらい、我々は荷物とともに北上した。ビルの間から見える空は雲が切れ、陽光が輝いてきた。


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商業地区から住宅街へ
北上するにつれ、建築も高層から低層へと変わる


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RoomAのある地域は、このような立地
目の前の公園ではいつも子供が遊んでいる

 セントラル・パークの東側には、アッパー・イーストサイドと呼ばれる高級住宅街がある。
 しかし通りを1、2本も北に上がればハーレムに入る。ハーレムとは昔から黒人や低所得者層が多く住んでいる地域だ。
 RoomAはちょうどその狭間にある。だから北に向かって歩いていくと、中古のような雑貨品を売る怪しい万屋があったり、スーパーに入っても食品や飲料水が安く売られている。反対に南を下ると、チーズや生ハムなど輸入食品を売る高級スーパーがあり、品の良い美術学校があったりする。
 その差があまりにもはっきりとしているのが面白かった。


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RoomAの部屋内 久々にバスタブに浸かれた!


 RoomAは、日本人スタッフがほぼボランティアで経営しているところ。「日本人にもっとニューヨークを知ってもらうために、気軽に泊まれる宿を作ろう」という思いで誕生したアパートメント・ホテルであります。
 鍵を渡しに来てくれたA氏はニューヨーク在住十数年という人。この人もフランクで、話し好きで、完全にニューヨークっ子になっていた。
 部屋の説明以外にもいろんな話をし、たっぷり1時間は部屋にいた。


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ニューヨークの地ビール アルコール度数は高め
値段も一本約12ドルと高かった

Nyc67476_2「NYは2001年の9.11事件以降、大きく変わったんです。人々の連帯感が強くなって、犯罪率もずっと下がりました。それは大きな変化でしたよ」とA氏。
 9.11以降、何かと人々は公園に集うようになった。
 “夜の公園は危険”なのが常識だったが、それが変わった。
「人々はお互いを思いやるようになった。それを僕は目の当たりにしてきたんです」
 例えば2003年8月14日の大停電。日本では被害報道ばかりがされていたけど、現地では感動的なことがいくつもあったらしい。
Nyc62700_2 「以前だったら暴動が起こって、あちこちの商店が襲われたはずです。しかしあのときは暴動は起こらなかった。逆に店主が通りに出て、アイスクリームや飲料水を配ったりしていた。なにしろ暑い夏でしたからね」
 A氏の話を聞いていると、こちらも胸が熱くなった。
 今回のニューヨーク旅行、思わぬところで収穫がありましたよ。


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世界貿易センタービル跡地
巨大な空間がすっぽりと空いていた

 つづくぅ!
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ある朝の風景

2008-12-28 14:46:26 | 日記

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 7時5分前に目覚ましが鳴る。
 起きるのがつらい。起きたくない。
 一年の疲れが澱(おり)のように身体に蓄積している。しかもこの時期、布団の中は暖かくて天国のようだ。
 布団から出たくない。
 しかし、起きぬわけにもいかぬ。
 5分ほどぐずぐずし、意を決して布団をはぐ。
 ベッドを出て、カーテンを開ける。
 寝間着を脱ぎ去り、洗濯機へ放り込む。上半身裸の姿で、今日の服装を考える。
 シャツやセーターをどれにしようか。それによって、下に着るTシャツも変わる。何となれば、何を着ていくかを決めないうちは、上半身は裸のままだ。
 寒さに震えながら考える。しかし起き抜けの頭に、これはなかなか難しい事柄。
 毎朝、パンツ一枚で震えている。
 この問題を、いつか解決しないといけない。



 服を身につけ、キッチンへ。
 コーヒーを沸かし、トーストを焼き、ヨーグルトをよそう。
 これらの作業は自動的に身体が動くので、何も迷うことはない。
 あらためて外を眺めると、富士山と奥多摩の山塊のあいだに、ひときわ白い山並みが見える。
 南アルプス連峰の一部だ。
 信じられないことだが、東京港に面したこの高層住宅から、見ることができるのだ。
 大気中の水分が極めて少ないこの時期の、ひとつの贅沢。



 8時20分、出掛ける時間となる。
 身体が重い。朝日がまぶしい。
 来年は仕事のやり方を、もっと効率的にしようと決意する。
 無意味な労働はきっぱりと断ろうと思う。
 そんなことを思いつつ、今年も暮れていくのであった。




押し詰まってまいりました

2008-12-21 21:55:47 | 日記

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 年末って、どうしてこう、押し詰まってくるんでしょうね。
 何か大きな力に、ぎゅうぎゅうと押されているような感じもする。
 そうして、新年になった瞬間、解放されるのだ。
 まるで気が抜ける感じ。正月の晴れた空に凧が泳ぐ。通り過ぎる家からはテレビの漫才の声。
 そういう感覚を、もう数十回味わってんだなあ。

 最近は音楽の好みが変わった。
 底抜けに明るい曲が好きになった。
 以前は暗いのが好きだったけど、今は聴いていてつらい。

 このあいだ、ブログ仲間からお歳暮をいただいた。
 鳥取の人なので、水木しげる関連のご当地物なのだ。
 レトルトカレーに入っている牛肉も、ちゃーんと鳥取牛なのだ。
 グローバリゼーションなどと一部の経済学者が唱えていたが、そんなの嘘っぱちなのだ。ローカリゼーションのほうがもっと大事なのだ。
 ああ、来年は仕事のペース配分に気を配って、もっと自分の身を守っていこう。

 などなど、年の瀬に思ったのでありました。
 とりあえず年内、あと1回はNYC旅行記をアップしようっと!



 


ニューヨークよ! 本編その5

2008-12-14 12:29:26 | 連載もの ニューヨークよ!

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歩道部分には歩行者用と自転車用の2レーンがある
かなりの速度で飛ばしてくるサイクリストが多いので注意が必要!

 さて、その後。
 ようやくブルックリン・ブリッジの上部、歩道部分を歩き始める。
 日差しが強く、思ったより暖かい。
 そして、湾岸を吹き渡る風が実に心地良いんであります。
 ところがここで、思わぬ失敗をしてしまう。
 たっぷりと用意していたつもりのフィルムがなくなってしまった。
 何となれば、今回はデジカメで撮影したものを交えてお届けするんであります。


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なぜかコスプレで撮影会をしてる人たち


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歩道の下が車道なのだ


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ここんとこを歩いて渡るんですよ!
1883年に開通したマンハッタン最古の橋
鋼鉄のワイヤーを使った世界初の吊橋でもあるらしい


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全長は1,834メートル、のんびり歩いて40分くらいだったかな


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 このあとホテルに戻ってひと休み。
 ビレッジやソーホー、トライベッカといった地区を歩きたかったけど、どうも今回の旅では回りきれない気がする。
 マンハッタン島は大きくないのに、やはり見どころがたくさんあるのですね。
 そうして、その晩。
 いよいよステーキを食べに行くことにした。
 いよいよというのも、ほら。米国といったらステーキではないでしょうか。ビフテキじゃないでしょうか。
 何でも、NYCのステーキは「ニューヨークカット」といって、すごく分厚いカットらしい。

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 日もとっぷりと暮れてから。やって来ました、チェルシー地区へ。
 チェルシーは昔から食肉工場と卸売市場のあるところ。
 その一角にあるステーキハウスの『オールド・ホームステッド』は、数々のガイドブックにも載っている有名店らしい。


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 どーんと、490g!!
 サーロイン・オウ・ポヴォワとかいうメニューで(なぜフランス語なんだ)、$42であります。
 美味かったです。そして、幸せでした。こんなに大量のステーキを食べられたことが幸せ。
 こちらの肉はサーロインといっても脂身が少なく、歯ごたえもしっかりとある。
「お口の中で、溶けてなくなっちゃったー」などとおバカなタレントがレポートする、ああいう和牛の魅力とはまた別の美味さなのですね。
 さて、タイムズ・スクエアのホテルとも今夜でお別れ。明日からはアップタウンの貸しアパートメントに投宿なのだ。

 つづくぅ!
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