くらぶアミーゴblog

エッセイを綴るぞっ!

宮城・福島ぐるぐるマジックショー&缶詰料理ショー

2011-06-10 13:35:40 | 

20110523img_0333
津波で打ち上げられた大型船(画像右側が海)
右がパルト小石さん、左が筆者

 宮城で育った僕にとって、漁港の匂いは珍しいものではない。
 漁港はたいてい魚の生臭い匂いと、それが乾いた干物様の匂いがする。そこに潮の匂いも混ざっているから、臭いと言えば臭い。
 しかし有機的な匂いなので、すぐに慣れることが出来るのだ。
 ところが先月末、宮城県の石巻漁港に行ったときには、あの臭くてもどこか懐かしい匂いはしなかった。
 腐った魚の匂いに、揮発した重油の刺激臭、ヘドロ、下水などの匂いが複雑に混ざり合っていて、本当に臭い。地元の人でさえマスクをしてるのだ。
「マスクしたほうがいいですよ。少しは匂いが防げます」
 石巻の缶詰工場、木の屋石巻水産の鈴木君が言うのである。
 もっとも、マスクは風で舞い上がる有害物質を吸い込まないためにも必須だという。
「今まで嗅いだことのない匂いだね」
 マジシャンのパルト小石さん(小石師匠)が言う。
「ここで復興作業をしている地元の方はホント、大変だと思います」
 コピーライターの後藤さん(ゴトーさん)も言う。

 コトの発端は、4月のある夜のこと。
 世田谷のバー『bar-closed』で、小石師匠とゴトーさんと呑んでいたときだった。




20110523img_0335
津波で流され防波堤に乗り上げたJFの重油タンク
こんなタンクがいくつもあり、中身が流失しているのだ

「阪神・淡路大震災のときは、5回くらい慰問公演に行ったのですよ。でも、今回の東日本大震災ではまだ一度も行けてなくてね」
 小石師匠が語る。
「現地でショーをやらせてもらって、辛い思いをしている被災者の方々に笑いを届ける。これも大事な支援のひとつだと思います」
 ゴトーさんが言う。
 ゴトーさんはすでに今回、大きな被害を受けた石巻市に3回行っている。
 ふだんは深夜まで仕事をしていて、その合間に復興支援活動を行っているのだ。バイタリティ溢れる素晴らしい人物なんであります。
 しかしそのお顔は、奈良のゆるキャラ「せんとくん」にそっくりである。
300
 そのご尊顔で静かに語りかけてくるので、言葉には不思議な説得力がある。
「僕は缶詰博士だから、缶詰を使ったエンタテイメントなら出来る。師匠のマジックショーと組み合わせて、慰問公演をやりませんか」
「いいね。行きましょうか!」
 師匠が言う。
「行きますか。往復のアシは手配しますよ」
 ゴトーさんあらためせんとくんが言う。
「よし、みんなで行こう。僕らに出来ることをやろう。被災地の方たちに笑いをお届けしよう!」
 こうして、宮城県石巻市と、福島県福島市への慰問公演ツアーが決定したのであります。
 果たしてどんな旅になることだろう。

 つづく