くらぶアミーゴblog

エッセイを綴るぞっ!

生きる

2004-08-31 17:24:10 | 日記

 愛さんかな、愛さんかな、
 われら急ぎて
 この短き時を楽しまむ、
 人には港なく、時には岸辺なし、
 かくて時は過ぎ、われらは去る!

 アルフォンス・ド・ラマルチーヌ、西條八十訳

 明日は9月1日、防災の日。僕は38歳になります。
“早く大人になりたい”と一所懸命背伸びしてきたら、キチンと中年になっちまった。


“歳とったのかなあ...”と感じた瞬間 

 親戚の子供におじちゃんと呼ばれたとき

 目上の人に敬語を使われたとき

 かなり腹立たしい場面でも逃げて流してしまうとき

「あなた」と呼ばれたとき

 すぐ笑い、泣くようになった

 身体的なことは書くまい、申すまい... ♪


やられた...

2004-08-31 02:04:58 | 映画
cesar200


 先日、日比谷スカラ座2で『ぼくセザール 10歳半 1m39cm』を観てきました。
 いやあ、完全にノックアウトされますたっ。ほのぼのとした子供たちを描いた作品だと思っていたのですが。
 笑えるところ、微笑ましいところ、少年時代を思い起こさせるところがたくさん詰まっている。ラストもきちんとハッピーエンドです。それなのに最後のスタッフロールが流れるところでは、どういうわけか涙が出ちまって止まらなかった。まさにフランス映画ですね。どこにあるのか分からない、奥深くて上質なペーソスがある。“お話”を創作する者として、僕が一番尊敬し、憧れる内容です。
 冒頭の真っ黒い傘の絵と、終盤のカラフルな風船の絵。同じ俯瞰で撮って始めと終わりをつなげている。そんな絵(色)にこだわるのもフランス映画の持ち味。そして音楽もイイ。上記公式サイトではテーマ曲が流れますが、それを聴くとお分かりになると思います。どこをみても悲しいシーンはないのに、このマイナーな旋律が内容を雄弁に物語っているのですね。
 いい意味で予想を裏切られました。珠玉の作品です♪

 大人が思っているほどに子供は幼くないのだ、ということで『J'sてんてんてまり』“今年の夏休み”~にトラックバック。


また4年後...♪

2004-08-30 22:40:11 | 日記
『■高嶺の花にくびったけ!!』“アテネ閉幕◆2008,北京見!”~にトラックバック。
 今、BSでアテネオリンピックの閉会式を観ています。
 このココロの不思議な高揚はなぜ起こるのだろう。胸が熱くなります。
 前回のオリンピック以降、世界情勢は大きく動きました。いつどこで戦争が起こっても不思議ではなくなってしまった。というより現在米国は“戦時”です。
 次回はお隣ですね。上記ブログ作者のguonbさんが心配していますが、ぜひとも台湾が参加出来ますように願っております♪


炭焼き釜焼き♪

2004-08-30 18:36:39 | 東京の美味い店
『Spicchi*di*Sole』“大西誠のピッツァ”~にトラックバック。
 雨の降る日曜日の夜、上記ブログの作者kiyominaさんが紹介しているピッツァ屋さん『サルヴァトーレ・クオモ白金店』(03-5447-6465)に行ってきました。ここは桜田通りの白金一丁目交差点に面していて、恵比寿駅まで抜けるバス通り入り口の角にあります。都バスでも南北線でも白金高輪駅のすぐそば。以前はイタ車のバイク屋があったところです。
 カウンター越しに生地を延ばしたりトッピングしたりする様子が見えるオープンキッチン形式。奥にはまだ新しい石釜があり、中で薪が赤々と燃えているのも見える。
 この日注文したのは“マルゲリータ”と本日おすすめメニューの“ゴルゴンゾーラ”。台風16号のもたらす雨風の音を聴きながらやや冷え過ぎビール(サントリーモルツ)を飲んでいると、目の前でピッツァの出来上がる行程が丸見えです。

1、生地をちぎって延ばす(ぶん回し放り投げの妙技はなし)
2、チーズと具をトッピング
3、ピュア・オリーブオイルをたっぷり回しかける
4、エクストラ・バージンオリーブオイルをチラッとかける
5、石釜へ投入、ちょいちょい焼き具合を確認

 という具合。注意すべきは、どこにもスパイス(塩も含む)や乾燥ハーブを振るシーンがないこと。生地と具以外で使っているのはオイルだけというテッテイぶり。塩気でさえ生地と具に含まれるものを利用するわけです。良きグルメでありグルマンを自負するお方は、そこにこそ目を向けねばなりませんぞ。
 テーブル席、カウンターのストゥールとも満員。ナポリのピッツァ職人コンクールで優勝したという大西氏は黙々と生地を延ばし、焼き続ける。石釜には鉄のフライパンに乗せたチキンやらエビらしきものも時折入ってきて(サイドメニューらしい)、そいつも見るからに美味そうだ。
 さて、まずはマルゲリータが届きました。焼きたてのところは柔らかくて手で持てないので(ついでに猫手なので)、ナイフとフォークでおしとやかに取り分けます。モッツァレラが溶けてトマトと絡まったところをすくいとって口中へ。
 実にうんまい! です。生地がモチモチ♪ たっぷりオリーブオイルとチーズがトロトロ♪ そこに乗ったバジルの香りとトマトの酸味甘味。やはり王妃が愛しただけのことはあるなあ。“シンプルだけど美味い”という見本のようなものです、マルゲリータさんは。周縁部分はふっくらとしていて、香ばしいこげがいくつもついています。石釜の中では薪がパチパチとはぜながら燃えている。そのすぐ脇で焼き上げるピッツァには燃えかすがたっぷりと付着するのです。これが美味いんだなあ。
 マルゲリータを食べ終わったところで同伴者が一言。
「ちゃんと1枚ずつ出すところがいいよね」
「2枚並べて出すスペースがないんじゃないの?」
「違うよ、焼きたてを食べてもらおうと気を使ってるのよ」
 どうも僕は無粋だ。
 ゴルゴンゾーラも大変宜しかった。何かキノコも乗っていて(名前忘れた)、そのサクサクとした歯ごたえも楽しめます。1枚目があっさりしていたから、塩っ気のあるゴルゴンゾーラが舌に新鮮で良かった。
 ピッツァは発酵した生地に具を乗せて焼くだけという単純な料理。しかし単純なものほど極めるには難しいという大原則もある。例えばステーキ。肉を焼くだけの作業には細心の配慮と新鮮なインスピレーションが必要になるわけで、さらにそれを習得するためには良き観察眼と良き心を保っておく必要があるのですね。サルバトーレはそんな真理が自分の眼と舌で確認出来るお店ですぞ。

追1:マルゲリータ1800円、その日のおすすめゴルゴンゾーラ1900円 他いろいろあり・デリバリーもあり
追2:いずれお店の忙しくないときにあたらめて取材します 写真はそれまで一寸お待ちをMike*micさん
 


憧れはグラハム・カー MA-1

2004-08-28 05:41:29 | 連載もの 憧れはグラハム・カー
 中学校時代の冬休みに、御法度のアルバイトをやったことがある。母親のコネがあった小さな印刷会社だった。
 僕のやる仕事は、何枚もの写真を切り貼りして版下を作ることだった。そこの社長が直接面倒をみてくれた。いつもオリーブグリーンのMA-1を着ている若い男で、ひどく愛想がよかった。
「君、やっぱりセンスいいよなあ。さすがクロちゃんの息子さんだね」
 仕事のペースは遅かったし、やってることも簡単極まりないことだったのだが。彼が毎日褒めてくれることを母親に報告すると、こんな答えが返ってきた。
「あいつはちょっと卑屈なところがあってね、ママに頭が上がらないの。だからおべっか使ってるのよ」
 それまで“卑屈な大人”というのを知らなかったので、母親の言っている意味はあまり分からなかった。僕は毎日気分良くアルバイトに出掛けた。後半になるとロットリングを使ってイラストを描かされたりした。一人前の勤め人になったようで面白かった。

montblanc200


 アルバイトの最終日~月曜日だったのを憶えている~いつものように会社に行くと、中には誰もいなかった。僕は一人で仕事の続きをして、それからイラスト集を眺めたりして過ごした。昼前に母親がやってきた。母親の会社はすぐ近くだったのだ。
「ここ夜逃げしたんだって」
「え?」
「お昼食べに行こうか」
 母親は部屋の中をぐるっと一周し、椅子の背に掛かっていたMA-1を取り上げた。
「これ持っていく?」
「どうして?」
「これカッコいいじゃない」
「でも、あの人のだよ」
「もう取りに来ないよ、誰も。アルバイト代の足しにしたら?」
 袖を通してみると確かに格好良かった。ひと通りポケットをいじったりしたあとで、僕はそれを脱いでもとの場所に戻した。
「やっぱりいらないよ」
「そう。じゃ行こう」
「うん」

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追:印刷会社つながりで『Alice in wonderland』“印刷会社。”~にトラックバック。