ニューヨークよ！ 本編その1

　その日。
　10月2日の夕刻に出発するアメリカン・エアライン（AA）に乗るために、僕と細君は成田に向かった。
　行く先はニューヨーク（NY）のJ・F・ケネディ空港。
　途中で日付変更線を超えていくため、2日の夕方に出発するのに、到着すると2日の夕方になっているという、訳の分からないことになっている。
　時差でいうとNYは日本よりも23時間、遅れているのだ。
「丸1日をやり直すということですね」
「ああ、オレ、過去をやり直したいと思ったことが、何度もあったなぁ。それが叶うようなものだなぁ」
　身勝手なノスタルジアとは何のカンケーもなく、荷物も人物も出国手続きをテキパキと終える。
　成田第1ターミナルは早くも暮れていくのであった。

　　

利用したのはAAのボーイング777
このシートが史上最高の狭さ
（エコノミークラス）
忍耐力を養いたい方にはオススメだ

出発前の高揚感　このあと成層圏へ飛翔する

　12時間半の苦行を経て、JFK空港に到着。
　フォードのイエローキャブに乗って、マンハッタン島へ渡る。
　タクシーが巨大でおかしい。車内の空間があり余っている。
　運転手は耳に装着するタイプの携帯電話を持っており、ずっと誰かと話をしながら、次々と前の車のあいだをすり抜けていく。前が開けるたびにアクセルを目一杯踏んづけて加速する。ガソリンをまき散らしながら走っているようだ。
　その日の投宿は、ブロードウェイと8番街のあいだ、49丁目沿いにある『ザ・タイムホテル』であった。

車窓からマンハッタンのビル群が見えたときは感動した
しかし中に入ると当然ながらビルの谷間だ
　NYシティー（NYC）では縦（南北）の通りがアヴェニュー、横（東西）の通りがストリートとなっている。
　日本語ならアヴェニューが○番街、ストリートが○丁目となる。
　そういえばビリー・ジョエルに『ニューヨーク52番街』というアルバムがあったっけ。

まずはタイムズ・スクエアをざっと見物
テレビ等で何度も見ていたあの場所だという実感がない
妄想が現実に破れた貴重な瞬間であった

いかにも観光客目当てのレストランに入ってしまう。
ビーフサンドイッチとサラダをオーダーするとこのありさま。
こんな量を誰が食べるというのだ。
隣にいたフランス人の老夫婦も笑っていた。
半分を食べ残し、悔しくなり、さっさと宿に帰って寝ることにした。
まぁ、いいか。旅はまだ端緒である。
明日はどこに行こうか。

　つづくっ！

ニューヨークよ！ 序章3

　帰国しました帰国しました。
　為替もちょうどドル/円で100円を切った場面もあったようで、トータルでは割の良いレートだったようであります。
　ところで、この1枚の写真。
　今回の旅の最終目的地であるキーウエストに向かう途中の、セブンマイルズブリッジという道路なのだ。
　ご覧の通り、左右は見渡す限りの海（メキシコ湾）。
　数々の諸島をつなぎ、海上をひたすら南西に向かうUS-１という国道の一部分。
　世界で一番美しい橋といわれているのだ。
　ここを、オープンカーで走ってみたかったんであります。
　サイコーの気分だった。
　文字通り「キーウエストはサイコー！」なぞと、奇声をあげつつ走り抜いた。
　すると、今回の旅ルポのタイトルである『ニューヨークよ！』というのは、いささか中身を反映していないんじゃないかという疑問が沸き上がった。
　沸き上がったのだが、すぐに海風になぎ払われてしまった。
「ま、いっか。タイトルくらい」と思った。
　この「ま、いっか」が、実は僕には大変な収穫だったのであります。
　それはおいおい、筆を進めるうちに明らかになるでありましょう。

　ともあれ、168枚のモノクロ写真は週末に現像からあがってくる予定。
　それからいよいよニューヨーク・キーウエスト旅行記の開始となるんであります。

キティちゃんはNYCでも人気であった
ここはマディソンアベニューと53丁目の角

ニューヨークよ！ 序章2

　本日、ようやく仕事のメドをつけてきたのだ。
　いよいよ明日の午後、ニューヨークとキーウェストの旅に行ってくるです。
　今回の旅行ではモノクロ撮影に徹するつもり。
　もちろん、デジカメも持って行くのだけど、フィルムはモノクロだけを用意した。
　帰国は10月12日であります。アディオス・アミーゴ！