くらぶアミーゴblog

エッセイを綴るぞっ!

同じくまいう~♪

2004-06-11 21:29:29 | 東京の美味い店
 先ほど飯食って帰ってきました(←これ女の子が言うときあるなあ。いやや~!)。『和散歩日記』“餃子定食”と、『rinrinのガラスの靴はどこに』“ケモノ臭”にトラックバックです。 
 僕はあんまり中華料理を食べないのですが、やっぱり年に数回はムショーに食べたくなることがあります。そんなときは大抵テレビなんかの影響ですね。そうして最近はず~っと餃子を食べたかったのだけれど、どうせなら美味い店がいいなあと思って行ってなかったのです。どこが美味い店かなんて分からないくせに~。
 で、とうとう『和散歩日記』のMicchanの画像にそそのかされて、一カ所想い出しました! 以前TBSの『チューボーですよ!』で地元三田の美味い店を紹介していたのです。早速公式ホームページで検索。いやあネットってものすご便利。ちゃあんと載っていました。港区芝5-15-3 03-5443-0488『大連』です。
 店内は蛍光灯が皓々とし、番組に出ていたチャイニーズのおっかさんが中国語(北京語かなあ)でまくしたてる。壁には若かりし頃の草野満代さんの取材ポスター。レジの後ろの棚にはレミーマルタンみたいな高級酒の瓶がラップに包まれて飾ってある。ともかくアジア剥きだしの内装です。よっぽど忙しいらしくて注文をとりにきたのがたっぷり5分くらい後。そこで焼き餃子ー7個で368円ーと紹興酒ー180mlで540円ーを頼みました。
 客層は殆ど地元のサラリーマン。午後7時半でしたが、みなさんすでにやっつけたようで、だいぶ酔っぱらっています。金曜の夜だしね!
「あいおまたせねー」それほど待たずに注文したものがきました。“羽”っていうのかな、そいつが付いた立派な餃子。これは安いですねえ。酢とショーユとラー油を混ぜて、あじあじのところをがぶりじゅるっ。何だか旨みを含んだ汁がたっぷりと口中ではじけて、いやはや「まいう~♪」です。そこに紹興酒をどばばばっと流し込みます(大変稚拙な表現が連続しておりますがどうかご容赦下さいマセ)。
 で、そのあとは紹興酒をもう一杯と水餃子を注文。今日は餃子が食べたかったのだからこれでいいのだ。こちらも酒を飲んでいるうちにすぐに到着ー10個で525円也。学生の頃に台湾人の友人がいて、そいつに水餃子というのを作ってもらったのが初体験でした。焼き餃子もいいけど、こっちも同じくらい好きなのです。これは“トロッ”もしくは“ちゅるっ”とした感じで口に入り、そうしてやっぱり旨みたっぷりおつゆが炸裂。もうたまらんですなあ、はい。やけどしないように気を付けましょうね。
 ほどよく酔ったところで食べるピッチを緩めて、また店内を眺める。隣では弱電メーカーの社員がすでにカンカンガクガク。目の前には小さな水槽があって、すっぽんちゃんが好奇心も露わにあたりを見回している。
 ここで突然、山田太一原作ドラマ『ふぞろいの林檎たち』(昭和58年TBS系列)を想い出しました。中華屋の息子が柳沢慎吾だったのであります。あのドラマに出てくる各家庭の風景は、決して裕福なものではないです。しかし当時は全国どこでもそれがごく当たり前の時代だったなあとしみじみ思いました。当時っていったって58年、大昔ではないです。
 なんだか予期せずふんわりとした気分になって、店を出ましたよ。雨で足元はびちょびちょだけど、すこぶるいい気分の夕食でありました♪


ちょいと、いい話 その2

2004-06-11 17:19:46 | 連載もの ちょいと、いい話
 信州は八ヶ岳の小海リエックスに、男三人でパラグライダーの合宿に行ったことがありました。テントと車泊で自炊、三泊四日の青年強化合宿であります。

 キャンプ場で男くさ~くストイックに過ごし、無事全員が飛べるようになりました。そこで最終日に打ち上げということで、清里に飲みに行くことにしました。もちろん車で。わはは。しかしカラフルなペンションはあれど、飲み屋というのは少ないようです。僕ら三人はぐるぐる廻って、ようやくスナックと居酒屋がミックスされたような店に入りました。キチンと駐車場付き。わはは。もちろんドライバーは飲んだりなんかしませ○×☆。
 カウンターにはキザな風貌の男が一人。女性の店員をからかいながら、座ったまま何かを歌っていました。目が合ったときに僕らが軽く会釈してもシカトです。「ナマイキな奴だ・・・」と思いました。若い頃の男というのは、すぐにそういう意味不明の苛立ちを憶えるものです。しかし彼が一曲終わったところで、僕らは盛大な拍手とヒューヒューをしてやりました。会社員の悲しいサガです。毎晩先輩に鍛えられていたのです。
 彼は目を大きくして僕らを見て、それからマイクを使って礼を言いました。「え~、思わぬところからの暖かいご声援・・・」妙に礼儀正しいのは純正不良の出身の証。そこで彼に対する好感度が少しUPし、苛立ちは治まりました。
 それから僕らも何曲かやったところで、一人の客が入ってきました。薄汚れた作業服を着た40代の男です。カウンターに座って酒を注文してから、ぶつぶつと独り言を始めました。何か不満を言っているようです。
 僕ら三人と元不良と店員は、当然彼を無視して遊んでいます。男は早いピッチで酒を呷り続け、独り言は独り言ではなくなってきて、店員にからみ始めました。「ちょっとやめてよ」「なんだと女給のくせに」時代背景いつだよおい。
 そうして騒ぎが大きくなってきてから、何故か男は“はっし”と僕を睨みつけ、「ブッ殺す」「てめえこの」などと始まったわけです。こういうのをハードなスポーツ合宿をやっている若い男にやってはいけない。「なんだおい」とこっちもなるわけです。さあどうするどうなる、やるなら一対一だぜ。こっちも酔っぱらっているんだよ~ん。
「どうしたんだい、今日は?」突然、元不良が男に声を掛けました。驚くほど優しい声でした。男は“バキッ!”と音がしそうな勢いで彼を振り返り、暫く睨みました。ガンづけってやつですね。どうもこの文章、荒っぽいな。しかし元不良は気楽な表情で男を見ています。すると、ふいに男の表情が緩みました。まるで一気に歳をとったようでした。「職長がよお、いっつもいっつも俺のことを・・・」泣いているようです。
 元不良は黙って聞いていて、それから彼の肩を一度叩きました。彼は立ち上がって勘定をしてもらい、最後に僕らに向かって「すまねえ」と土地の言葉で言って去りました。

 そのあと元不良(話したら実際そうであった)は僕らを地元の人オンリーの大変怪しいスナックに連れて行ってくれました。どこをどう走ったのか、全く記憶はなし。暗い暗い森の中にあった店です。
「さっきはうまく収めたな」僕。
「あの人、話しを聞いて欲しかったんだろう」彼。
 彼は立派な男でした。
 
 つづく
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