くらぶアミーゴblog

エッセイを綴るぞっ!

花もて語れ

2004-06-26 04:13:15 | エッセイ
 みなさんおはようございま~す♪ ひさしぶりに早起きしました。東京はムシムシとして曇っています。
『Net Jazz Workshop』“やはり高いclassicの敷居”、
『■高嶺の花にくびったけ!!』“八方自然研究路(7)”~にトラックバック。個人的にこの二つの記事に共通点がありました。
 Net Jazz Workshopの作者kenさんは、あるクラッシックの演奏を聴きに行ったらしいのですが、ご自分はそれなりに感動したのに、同行した「クラシックのセミプロみたいな方」は「耳が腐るほどのひどい演奏」と評したらしいです。この温度差はどこからくるのでしょうか? 
 その道のプロの聴く(観る)ところは一般人が聴く(観る)ところとは違っている、ということがまずありますね。例えばオーディオマニアの人にステレオのセッティングをお願いすると、ちょこちょこっとスピーカーの配置を変えたりするだけでこれまでよりずっといい音が出てくる。マニアの人は微細な音を聴く能力が発達していると思わざるを得ないわけです。
 また楽器を演奏する人であれば音感というのが鍛えられていて、オーボエの音を聴いて自分の楽器のチューニングをする。チューナーなんて使わなくてもバキッと音がするくらい合わせることが出来ます。
 こういうのは「ふんふん」と素直に納得出来るわけですが、作品の鑑賞となると、一寸様子が違ってくることがある。上記“やはり高いclassicの敷居”はそのことについて書いてあるわけです。
 昨日は東京都写真美術館に行って『世界報道写真展』というのを観てきました。世界報道写真財団が開いた、報道写真コンテストの入賞作品を集めたものだそうです。題材はスポーツ、戦争、建築、災害と様々でなかなか面白かったです。ただ、一位をとったある写真は、絵として本当にきれいなのですが、僕には魅力が伝わらなかったです(注:僕は写真については全くのシロウトです)。他の作品も「お、いいね」というのはあるのだけれど、そこまで。そうして家に帰ってきてみなさんのブログを巡っていたら、もう一つのトラックバックである『■高嶺の花にくびったけ!!』の作者(写真家)guonbさんが記事に載せているユキワリソウの写真が、息を飲むほどの圧倒的な力をもって迫ってきたのです。正直に書きますが、一瞬か二瞬、時間が止まってしまったほどです。
 美に対する追求心は誰にも負けない、という自負があるのですが、あのユキワリソウの写真に惹かれる特殊な要因が何かしら僕だけにあるのだろうか知らん。つまり陳腐な結論として、最後は好みなのだよ、ということなのでしょうか。う~ん、それじゃあ納得出来ないなあ。何だろう、この気持ち。
 kenさんが投げ掛けたものが思った以上に大きかったということが一つ(kenさん安易なコメント書いてゴメン)。そしてguonbさんの撮ったユキワリソウの写真に強い衝撃を受けたということがもう一つ。そういうことかもしれないです。
 うんと生意気だった学生の頃、ある男の自主制作映画を観たことがあったのですが、あまりにも見事な色遣いに完全に圧倒されてしまい、一週間くらい気分が悪かったことを想い出しました。自分と同じくらいの歳の男がこれほどの作品を創り出している、それに比べてお前の文章はいったい何を訴えかけているというんだ? と。
 美というのは時として恐ろしいほどの力を持っていますね。こうして時折美という底なしの世界の深淵をのぞいて心底ゾッとすることがあります。その向こうには一体何があるのでしょう? そちらに行ってみてもいいのでしょうか?