中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

13日は、休載します

2023年03月10日 | 情報

13日は出張で、当ブログを休載します。
再開は、14日(火)です。
よろしくお願いします。

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衛生委員会が活性化しない(前編)

2023年03月10日 | 情報

衛生委員会に主体的に参加してもらえない、衛生委員会が活性化しない。御社ばかりではありません。多くの企業の悩みです。
しかし、経験的に大企業だからできている、中小規模の企業はだめだ、という問題でもないようです。

◎簡単な事項、直ぐにできる事項から実施することを、提案します。

最初に、委員会の記録をすぐに作成し、社内に周知してください、実は、これは義務なのです(安衛則第23条4項)。
そして、記録は3年間の保存義務があります。
記録には、委員長の認印を受けてください。受け取る側の意識が変わります。
最後に、社内のイントラネットにアップしてください。記録の保存もできます。

◎次に、委員会の開催前に、議題、開催要領を案内してください。

・議題には、前月の継続審議事項の実施状況、議題に関係する各部門の現状等も報告いただくようにします。
次月以降の開催日程も議題です。出席者に準備する時間ができます。
・議題は、あらかじめ年間計画を定めておくと便利です。前年同月の記録も参考になります。

年間計画例は、労働者健康安全機構のHPに掲載されていますので、これをたたき台にして過去の記録と照らし合わせ、
さらに直近の話題も加味して作成してください。簡単です。

https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/johoteikyo/tabid/1293/Default.aspx

◎委員長には、最初から最後まで出席いただくよう、要請してください。委員長が途中退席すると、委員会が「だらけます」。
委員長には、冒頭にあいさつしてもらいましょう。挨拶原稿は、事務局で準備してください。

◎産業医にも必ず出席いただくよう手配します。あいさつ、または講話内容は事前に打ち合わせしてください。
産業医への丸投げは、費用と時間の無駄です。
例えば、これからは「花粉症対策」「熱中症対策」等が良いでしょうし、
「睡眠対策」「腰痛対策」なども従業員の関心が高い話題でしょう。

◎具体的な議題です。議題は、安衛法第18条各項、安衛則第22条で定められていますが、
50年前に制定された法令ですから今日的な情勢、課題にまったくマッチしていません。

参考までに、則第22条の条文です。眠気を誘います。
法第十八条第一項第四号の労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項には、次の事項が含まれるものとする。
一 衛生に関する規程の作成に関すること。
二 法第二十八条の二第一項又は第五十七条の三第一項及び第二項の危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置のうち、
衛生に係るものに関すること。
三 安全衛生に関する計画(衛生に係る部分に限る。)の作成、実施、評価及び改善に関すること。
四 衛生教育の実施計画の作成に関すること。
五 法第五十七条の四第一項及び第五十七条の五第一項の規定により行われる有害性の調査並びにその結果に対する対策の樹立に関すること。
六 法第六十五条第一項又は第五項の規定により行われる作業環境測定の結果及びその結果の評価に基づく対策の樹立に関すること。
七 定期に行われる健康診断、法第六十六条第四項の規定による指示を受けて行われる臨時の健康診断、
法第六十六条の二の自ら受けた健康診断及び法に基づく他の省令の規定に基づいて行われる医師の診断、診察又は処置の結果
並びにその結果に対する対策の樹立に関すること。
八 労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置の実施計画の作成に関すること。
九 長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立に関すること。
十 労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること。
十一 厚生労働大臣、都道府県労働局長、労働基準監督署長、労働基準監督官又は労働衛生専門官から文書により
命令、指示、勧告又は指導を受けた事項のうち、労働者の健康障害の防止に関すること。

◎今日的に重要な議題は法令遵守に関連する事項です。
例えば、長時間労働、長時間残業、有給休暇の取得、定期健康診断の受診状況、ストレスチェックの受診状況、及び結果の分析とフォロー、
行政への報告、労災事案(労災保険を使用して処理した)のフォロー等々の実態、実績報告です。
メンタルヘルス対策は、衛生委員会の重要議題と認識してください。

◎なお、個人情報の取扱には注意してください。
こう言うと、人事労務部門は実績の報告を躊躇するものですが、先延ばしすれば、いつまでたっても課題の解決はできません。
解決できる場所としては、経営会議、管理職会、労使協議会等がありますが、実務的ではありません。
そのうちに、労基署が突然御社に訪社してくることもあります。

◎職場巡視は、委員会の開催前に、各委員が分担して実施することをお勧めします。
巡視結果を写真等により委員会で報告すれば、問題点を即日に解決できます。
なお、巡視結果の写真をイントラネットにアップすることもありです。

◎これは提案ですが、社内事情が許されれば一般従業員の傍聴もありです。こうすれば、各委員の緊張感はいっぺんに高まります。
委員会の記録を社内に周知しているのですから、傍聴は全く問題になりません。秘密会ではないのですから。
なお、副産物として、衛生委員会に関心がある従業員がわかりますので、委員の交代時の参考情報にもなります。
こちらのほうが主目的かもしれません。

◎出席者が主体的にならず、マンネリ化してしまう理由は、各委員の言い訳である、
「職務が忙しくて、委員会にまで手が回らない」に集約されます。
事務局は各委員と面談してみてください。個別に忌憚のない意見を収集します。会議体で発言することを躊躇する人もいますので。

◎その他にも、いろいろなアイデアがあるでしょう。例えば、委員会と現場とをオンライン
(例えば、ZOOMなどのソフトを使用)で結べば、もっと議論が活性化します。

◎参考資料を紹介します。ただし、形式的過ぎて参考にならない場合も。
「衛生委員会活性化テキスト」(独立行政法人 労働者健康安全機構編、令和2年)

https://www.kanagawas.johas.go.jp/files/libs/1825/202010140950391358.pdf

 

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