ストレスチェック実施後、法令で定められている「医師による面接指導」に申出を行わない従業員に対する「支援体制」ができていますか?
それとも、そのままですか?
ある調査によると、多くの企業で方法までは詳らかではありませんが、それなりの対応策を講じているようです。
◎厚労省の調査によると、7割以上の企業では、高ストレス者の割合は「5%~20%」
そのうち医師による面接指導を申し出る者の割合が「5%未満」と回答しています。
面接指導を申し出る者の割合が「5%未満」と極端に低いのは、会社に結果を知られたくない、評価への影響を気にしている、
という理由のようです。当然ですよね。ストレスチェック制度導入当初から想定できていたことなのですが。
参考資料
・ストレスチェック制度の効果的な実施と活用に向けて(令和4年3月厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/000917251.pdf
・医学的知見に基づくストレスチェック制度の高ストレス者に対する適切な面接指導実施のためのマニュアル 2021年 9 月版
https://www.mhlw.go.jp/content/000843224.pdf
◎面接指導を申し出ない、高ストレスを抱えている従業員に対してどう対処するのか、企業・事業場にとって大きな課題となっています。
それでは、どうすればよいのか?
小職は、ストレスチェック結果に基づかないで、産業医との通常の面談を実施すればよい、と提案、アドバイスしています。
それならば、産業医のレベルで止まることになり、面談があったこと自体、会社側に知られることはないからです。
そして、この制度は、あらかじめ社内に詳細に周知しておくことが求められます。
なお、「ストレスチェック結果に基づかないで」と記しましたが、当該従業員は、ストレスチェック結果を認識の上での面談ですから、
実質的にストレスチェック結果に基づく医師面談と同じことです。
◎参考までに、面接指導を申し出る者の割合が「5%未満」である状況をそのまま放置していても、
「安全配慮義務」違反を問われることはありません。
なぜなら、会社側はストレスチェック結果がわからないので、危険予知ができないからです。
ただし、通常の労務管理上、従業員の「いつもと異なる」行動、発言、態度を放置しておくと、
安全配慮義務違反を問われる可能性が高いことを認識する必要がありますので、念のために。
◎関係法令
・安衛法第13条
事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、医師のうちから産業医を選任し、
その者に労働者の健康管理その他の厚生労働省令で定める事項(以下「労働者の健康管理等」という。)を行わせなければならない。
4 産業医を選任した事業者は、産業医に対し、厚生労働省令で定めるところにより、
労働者の労働時間に関する情報その他の産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要な情報として
厚生労働省令で定めるものを提供しなければならない。
5 産業医は、労働者の健康を確保するため必要があると認めるときは、事業者に対し、
労働者の健康管理等について必要な勧告をすることができる。この場合において、事業者は、当該勧告を尊重しなければならない。
・安衛則第14条(産業医及び産業歯科医の職務等)
法第十三条第一項の厚生労働省令で定める事項は、次に掲げる事項で医学に関する専門的知識を必要とするものとする。
一 健康診断の実施及びその結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること。
二 法第六十六条の八第一項、第六十六条の八の二第一項及び第六十六条の八の四第一項に規定する面接指導並びに
法第六十六条の九に規定する必要な措置の実施並びにこれらの結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること。
三 法第六十六条の十第一項に規定する心理的な負担の程度を把握するための検査の実施並びに同条第三項に規定する面接指導の実施
及びその結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること。
四 作業環境の維持管理に関すること。
五 作業の管理に関すること。
六 前各号に掲げるもののほか、労働者の健康管理に関すること。
七 健康教育、健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るための措置に関すること。
八 衛生教育に関すること。
九 労働者の健康障害の原因の調査及び再発防止のための措置に関すること。
第14条の2(産業医に対する情報の提供)
第14条の3(産業医による勧告等)
第14条の4(産業医に対する権限の付与等)
・安衛則第52条の9~21(心理的な負担の程度を把握するための検査等)➡ストレスチェック制度のことです。
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