ガッカリしてもドーパミン増、挫折克服に作用か…精神疾患の治療法につながる可能性
2023/03/12 読売
物事がうまくいくと増え、期待が外れると減ると考えられてきた脳内物質ドーパミンは、
期待外れの際も増えることを、京都大などのチームが動物実験で突き止めた。
「意欲」に関わるこの物質が、挫折を乗り越える際にも働いているとみられ、
心の仕組みの解明や、精神疾患の新しい治療法の開発につながる可能性があるという。論文が11日、国際科学誌に掲載された。
チームの小川正晃・特定准教授らはラットを使った実験で、この物質を分泌する脳内のドーパミン神経の活動を測定。
前脚でレバーを押すと甘い水が出たり、出なかったりする装置を使い、甘い水を飲めた場合と飲めなかった場合の活動を比較した。
その結果、甘い水が飲めなかった時に、少し遅れてドーパミンの放出量を増やす神経回路を発見。
この回路を刺激すると積極的にレバーを押すようになった。
ドーパミンは意欲が異常に低下するうつ病や、逆に異常に高まる様々な依存症と深い関係があるとされる。
この回路に作用する薬を開発できれば、新たな治療法につながる可能性がある。
松本正幸・筑波大教授(神経科学)の話「がっかりした時にもドーパミン神経が活性化することを示した非常に興味深い成果だ。
情動や認知に関与していると考えられており、研究が進めば、今まで知られていなかった働きが明らかになる可能性がある」
◎ドーパミン / dopamine (e-ヘルスネット 厚労省)
神経伝達物質の一つで、快く感じる原因となる脳内報酬系の活性化において中心的な役割を果たしている。
ドパミンは神経伝達物質のひとつで、カテコールアミンと呼ばれる種類に属します。
アミノ酸のチロシンから酵素の働きによって合成されます。
ドパミンが働く主な神経経路には黒質線条体路・中脳辺縁系路・中脳皮質路の3つがあります。
黒質線条体路はパーキンソン病と関連し、中脳辺縁系路と中脳皮質路は統合失調症と関連するとされています。
アルコールを飲むことによって快く感じるのは脳内の報酬系と呼ばれる神経系が活性化するためと考えられますが、
この報酬系ではドパミンが中心的な役割を果たしています。
アルコール・麻薬・覚せい剤などの依存を形成する薬物の多くはドパミンを活発にする作用があり、
そのために報酬系が活性化するので、これらの薬物を使用すると快感をもたらすと考えられます。
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