中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

福島原発の東電社員 差別、中傷、心の傷3倍

2012年08月27日 | 情報
重大事故は、社員をはじめとする関係者の「こころ」に重大な影響を与えるとともに、
事故を起こした企業は重大な経営危機に直面することになります。
中小零細企業には、国からの支援はありません。自らの知恵と努力で解決しなければなりません。

埼玉新聞 8月15日(水)15時21分配信

 東京電力福島第1原子力発電所の事故当時、同第1、第2原発に配属されていた東電社員に対する差別や中傷が
心の健康に多大な影響を及ぼしていることが14日、防衛医科大学校(所沢市)と愛媛大学大学院の研究グループの調査で分かった。
差別、中傷を受けていない社員と比べると、心理的苦悩や心的外傷後ストレス反応(PTSR)を生じる割合は2~3倍に上る。
研究グループは「社会的支援をすることが心理的苦悩の軽減につながる」としている。
 防衛医大の野村総一郎教授と重村淳講師、愛媛大大学院の谷川武教授の公衆衛生・健康科学分野の研究グループが、
事故当時に福島第1原発、第2原発所属だった東電社員1495人(第1原発=885人、第2原発=610人)を対象に、
震災2~3カ月後に心の健康に関する初の調査を実施。調査結果を米国医師会雑誌「JAMA」の8月15日号に発表した。

 調査結果によると、第1、第2原発の社員は
(1)業務上のストレス(爆発事故、津波からの避難など)
(2)悲嘆体験(身内、同僚の死亡など)
(3)被災者としてのストレス(財産喪失、避難生活など)
(4)差別・中傷によるストレス-を複合的に体験。その割合は第2の社員よりも第1の社員が高い傾向を示している。
また第1の社員は第2の社員と比べ、
(1)心理的苦悩(第1・412人=46・6%、第2・226人=37・0%)
(2)PTSR(第1・261人=29・5%、第2・117人=19・2%)の割合が高い。

東電社員であることによる差別や中傷を受けた社員は受けていない社員に比べ、心理的苦悩やPTSRを生じる割合が2~3倍も高い。
研究グループの聞き書きによると、事故翌日から東電の制服を着ているだけで中傷されることもあった。
借りようとしたアパートの契約を断られたり、契約できても「東電社員は出て行け」とドアに張り紙をされたり、
子どもがいじめに遭ったりしたという。
 事故の復旧作業に従事する人は業務を通じ被ばくするなどの被害を受けるため、一般被災者以上に心の影響を受けやすいとされる。
チェルノブイリ事故の復旧作業では、作業員にさまざまな心の変化が高率で生じたことが報告されているが、
研究グループは「差別や中傷が災害後の復旧業務従事者の心の健康に影響することを示したのは、今回の研究が初めて」と強調。
同様の現象はベトナム戦争から帰還した米軍兵でも認められ、戦場体験に加え、社会からの拒絶、
支援の乏しさが精神的な問題につながったという。
研究グループは「復旧業務に当たる者に社会的支援をすることが心理的苦悩の軽減につながる」と指摘。
現場が命懸けの作業をしていることを社会が認識し、「敬意とねぎらい」を送り続けることが望ましいとしている。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« MH対策は、企業経営そのもの | トップ | うつは、うつる »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

情報」カテゴリの最新記事