パワハラ問題の裁判例は、当ブログでも再三にわたり取り上げてきました。
そこでは、「言った、言わない。やった、やっていない」の水掛け論になることを、指摘してきました。
しかし、今回の事案では「暴言の多くを録音して」いますので、言い逃れできなかったのですね。
このような事例は、従来よりあり、録音や関係者の証言が決定的な証拠になるようです。
ということは、かなり長期間(記事では2017年から2019年2月か)にわたり、暴言が続いたのでしょうね。
給料泥棒・遺棄…千葉のこども病院でパワハラ、労災認定
2021年1月29日 朝日
千葉県こども病院(千葉市)で働いていた県の嘱託職員だった50代女性が適応障害などを発症したのは、
上司らのパワーハラスメントが原因だったとして、千葉労働基準監督署が労働災害と認定した。
代理人弁護士が29日、公表した。
弁護士によると、女性は2017年、職員対象の検査で採血された時、
注射針で左手首の神経を損傷する被害にあい、指が動かなくなった。
通院で数日休みをとった後、同僚から無視されたり「辞めればいい」と言われたりした。
その後は上司らも加わり、被害がエスカレート。
「いつも病院に行く人がいて困っている」「給料泥棒」「予算ないし、(女性を)遺棄」といった
暴言を見聞きするようになったという。
女性はその後、適応障害などと診断されて19年2月に休職を余儀なくされ、
翌3月に契約満了で雇い止めにあった。19年11月に労災申請していた。
暴言の多くを録音して記録に残していたという。労災認定は20年9月。
代理人でパワハラ問題に詳しい笠置裕亮弁護士によると、うつ病など精神障害の労災認定基準に昨年、
「パワハラ」が明記され、この改定の前後を中心に労基署の調査も進んだといい、
「労災認定に影響したはずだ」という。
また、「民間企業の模範となるべき公務職場で、小学生のようなイジメがずっと放置されていた。
非正規職員の立場の弱さも表れている」と指摘した。
千葉県病院局は取材に「詳細は把握していないが元職員が労災認定されたことは申し訳なく思っています。
こうしたことが二度と起きないよう再発防止に取り組みます」とコメントした。(滝沢卓)
「給料泥棒」「旦那に養ってもらえ」同僚の暴言でうつ病に…千葉県子ども病院元職員、労災認定
1/29(金) 弁護士ドットコムニュース
千葉県子ども病院(千葉市緑区)で嘱託職員として勤務していた50代女性が、
パワハラが原因で精神疾患を発症したとして、労働基準監督署に労災認定されたことがわかった。
代理人弁護士が1月29日、東京・霞が関の厚労省記者クラブで記者会見し、明らかにした。
認定は2020年9月30日付。
女性は1年にわたって、上司や同僚から「お菓子外し」をされたり
「予算ないし、(女性を)遺棄しちゃう」「給料泥棒」
「我々は真っ黒なグループ組織。逆襲、逆襲」などと言われたりした。
代理人の笠置裕亮弁護士は「小学生レベルの幼稚ないじめが誰にも制止されず、公務職場で続けられていた。
このパワハラだけで心理的負荷の程度は強と判断されており、
労基署もそれだけひどいいじめだとみているのだろう」と話した。
●「くさい、ストレスになる」「さっさとやめろよ」
女性は2017年9月、職員対象の検査の際に、採血の針刺し事故で神経を負傷した。
同僚からの提案で別の病院を受診し、通院のため欠勤するようになると、
同じ課の上司や同僚から職場でいじめられるようになった。
2017年10月、通院で仕事を休んだため職場で「ご迷惑をおかけしました」と謝罪すると、
同僚から「誰も心配していないから」と大声で言われた。
その後も「やめればいい、みんなの心の声を代表して言っているだけ」
「(女性が通院で)いないから明日が待ち遠しい」「来なくていい」などと言われた。
また、新年会のメンバーや昼のお弁当の注文から外されたり、
自分だけお菓子のせんべいや饅頭を配られなかったりした。
こうしたいじめは2018年に入っても続き、「くさい、ストレスになる」「さっさとやめろよ」
「(女性が)やめたら祝賀会しようぜ」「旦那に養ってもらえ」と聞こえるような形で暴言を言われた。
女性は上司に相談をしたが改善せず、「転職を考えたほうがいい」と言われたこともあったという。
2018年10月に適応障害と診断され、休職を余儀なくされた。
2019年3月にはうつ病と診断され、契約期間満了で雇い止めとなっている。
●病院側のコメントは
県病院局は弁護士ドットコムニュースの取材に「労災認定の内容を把握してはいないが、
いずれにせよ元職員が労災認定されたことについては申し訳なく思っております」とコメントした。
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