中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

労災認定で「事業主は取消訴訟できない」(続編)

2024年07月08日 | 情報
労災事案を惹起させないためには、(安全)衛生委員会を、徹底的に取り組む以外にありません。
(安全)衛生委員会が最強・最善の取り組み策です。

ところが、(安全)衛生委員会は、直ぐにマンネリ化する傾向にあるのですね。
なぜなら、当該企業の売り上げ計画や利益計画とは、リンクしていないからなのです。
(安全)衛生委員会の目標や計画は、数値化できないから実感がわかない、わからない、のですね。
労災事案を惹起して、はじめて気が付くのですね。しかし、それでは遅いのです、本当にやっかいです。

労働安全衛生法第18条

1.衛生委員会等の設置
事業場における労働衛生問題および労働衛生対策に関する重要事項を労使が協力して調査審議し、また、事業者に対し意見を述べさせるため、
常時使用する労働者が50人以上の事業場においては、業種にかかわらず衛生委員会を設けなければなりません。
なお、常時使用する労働者が50人未満の事業場においては、安全又は衛生に関する事項について、
安全衛生の委員会、労働者の常会、職場懇談会等の関係労働者の意見を聴くための機会を設ける必要があります。

2.衛生委員会において調査・審議する事項
① 労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること。
② 労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策に関すること。
③ 労働災害の原因及び再発防止対策で、衛生に係るものに関すること。
④ その他、労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項として、
ア 衛生に関する規程の作成に関すること。
イ 安衛法第28条の2第1項又は安衛法第57条の3第1項及び第2項の危険性
又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置のうち、衛生に係るものに関すること。
ウ 安全衛生に関する計画(衛生に係る部分に限る。)の作成、実施、評価及び改善に関すること。
エ 衛生教育の実施計画の作成に関すること。
オ 安衛法第57条の4第1項及び安衛法第57条の5第1項の規定により行われる
有害性の調査並びにその結果に対する対策の樹立に関すること。
カ 作業環境測定の結果及びその結果の評価に基づく対策の樹立に関すること。
キ 各種健康診断の結果およびその結果に対する対策の樹立に関すること。
ク 労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置の実施計画の作成に関すること。
ケ 長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立に関すること。
コ 労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること。
サ 厚生労働大臣、都道府県労働局長、労働基準監督署長、労働基準監督官又は労働衛生専門官から文書により
命令、指示、勧告又は指導を受けた事項のうち、労働者の健康障害の防止に関すること。
⑤ 産業医は、衛生委員会又は安全衛生委員会に対して労働者の健康を確保する観点から必要な調査審議を求めることができる。

3.衛生委員会の委員
衛生委員会の委員の人数について、法的な規定はありませんが、下記の事項をすべて満たしたうえで構成する必要があります。
① 総括安全衛生管理者又は総括安全衛生管理者以外の者で事業の実施を統括管理するもの若しくはこれに準ずる者
(たとえば副所長、副工場長など)のうちから事業者が指名した者を1名選任(原則的にはこの者が議長となりますが、
当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合との間における労働協約に別段の定めがあるときは、その限度において適用しません。)。
② 衛生管理者のうちから事業者が指名した者を1名以上選任。
③ 産業医のうちから事業者が指名した者を1名以上選任。
④ 当該事業場の労働者で、衛生に関し経験を有するもののうちから事業者が指名した者を1名以上選任。
⑤ ①以外の委員の半数以上については、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときにおいては
その労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときにおいては
労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名しなければなりません。
(ただし、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合との間における労働協約に別段の定めがあるときは、その限度において適用しません。)
※ 当該事業場の労働者で、作業環境測定を実施している作業環境測定士である者を委員として指名することもできます。

4.その他の注意事項
① 時節等による労働環境の変化等に対応するため、衛生委員会は毎月1回以上開催しなければなりません。
② 衛生委員会の運営について必要な事項(委員会の招集、議事の決定、専門委員会の設置、委員会規定の改正等)は、
衛生委員会が定めることになっています。
③ 衛生委員会の透明性を確保するため、衛生委員会の開催の都度、遅滞なく、
衛生委員会における議事の概要を下記のいずれかの方法によって労働者に周知しなければなりません。
ア 常時各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付けること。
イ 書面を労働者に交付すること。
ウ 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。
④ 事業者は、委員会の開催の都度、次に掲げる事項を記録し、これを三年間保存しなければなりません。
 ア 委員会の意見及び当該意見を踏まえて講じた措置の内容
 イ 前号に掲げるもののほか、委員会における議事で重要なもの
⑤ 衛生委員会の活動を円滑に推進するため、委員会の構成、運営、調査審議事項等を定めた「委員会規程」を作成し、
効果的な運用に努めることが望まれます。
⑥ 衛生委員会は、当該事業場の労使が協力して衛生問題を調査審議する場であって、
団体交渉を行うところではないので、その趣旨に沿って運営することが望まれます。
⑦ 衛生委員会の開催に要する時間は、労働時間と解されるため、衛生委員会が法定時間外に行われた場合には、
衛生委員会に参加した労働者に対し、当然、割増賃金を支払わなければなりません。

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