中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

自発的健康診断

2022年12月21日 | 情報

〇安衛法では、事業者に健康診断を全員に実施することが義務付けられています。
この「全員」が難題でして、産業保健職のみなさんには、ご苦労が多いのが現状です。
一方で、労働者には健康診断の受診義務があります。ただし、医師の選択は可能であることを付け加えます。

〇さて、今日の本題は、「自発的健康診断」です。(安衛法第66条の2、第66条の3~第66条の5)、(安衛則第50条の2~4)

安衛法第66条の2 事業者は、有害な業務で、政令で定めるものに従事する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、
医師による特別の項目についての健康診断を行なわなければならない。
有害な業務で、政令で定めるものに従事させたことのある労働者で、現に使用しているものについても、同様とする。

3 事業者は、有害な業務で、政令で定めるものに従事する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、
歯科医師による健康診断を行なわなければならない。

4 都道府県労働局長は、労働者の健康を保持するため必要があると認めるときは、労働衛生指導医の意見に基づき、
厚生労働省令で定めるところにより、事業者に対し、臨時の健康診断の実施その他必要な事項を指示することができる。

5 労働者は、前各項の規定により事業者が行なう健康診断を受けなければならない。
ただし、事業者の指定した医師又は歯科医師が行なう健康診断を受けることを希望しない場合において、
他の医師又は歯科医師の行なうこれらの規定による健康診断に相当する健康診断を受け、
その結果を証明する書面を事業者に提出したときは、この限りでない。

安衛則第50条の2

法第66条の2の厚生労働省令で定める要件は、
常時使用され、同条の自ら受けた健康診断を受けた日前六月間を平均して一月当たり4回以上同条の深夜業に従事したこととする。

3 前条で定める要件に該当する労働者は、第44条第1項各号に掲げる項目の全部又は一部について、
自ら受けた医師による健康診断の結果を証明する書面を事業者に提出することができる。
ただし、当該健康診断を受けた日から三月を経過したときは、この限りでない。

4 法第66条の2の書面は、当該労働者の受けた健康診断の項目ごとに、その結果を記載したものでなければならない。

〇加えて、事業者は、結果の記録、医師の意見聴取(以上の所見ありの場合)、事後措置を実施しなければなりません。
(発基第54号、平11.5.21付)

〇自発的健康診断とは、
常時使用される労働者で、過去6ヶ月を平均して1ヶ月当たり4回以上深夜業に従事した者が、
通常の定期健康診断とは別に、自ら健康診断を受けてその診断結果を事業者に提出できる制度です。

事業者は、医師から意見を聞き、事後措置を講じるように義務付けられています。

検査項目は、定期健康診断と同じ11項目で、医師が必要と判断した項目も追加されています。

深夜業は、昼間に働く労働に比べて、生活のリズムが異なり、労働者の負担は重くなります。

そこで、健康に不安があり、次回の定期健康診断まで待てない時に、早めに診断ができるように、
費用の一部を助成する「自発的健康診断受診支援助成金」の制度がありました。

しかし、自発的健康診断受診支援助成金制度は、平成23年(2011年)3月18日で終了しました。
これが原因なのでしょうか、自発的健康診断が忘れられているようです。

〇ここで強調したいのですが、助成金制度の復活を望みます。

〇深夜業とは
労働基準法でいう、午後10時から午前5時までの夜間に行われる労働のこと。
厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については
午後11時から午前6時までのこと(労基法第37条の4)

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