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来年は、1月5日(木)より再開します
みなさま、よき新年をお迎えください 弥栄
メンタルヘルス問題は、解決に向かっているのか、ますます難題化しているのか?年末にあたり少しばかりの考察をしたい。
命題;「なぜ、メンタルヘルス対策は難しいのか?」「なぜ、一向に解決に向かわないのか?」
1.原因がわからない
うつ病の原因については、残念ながら今日まで根本的な解明がなされていない。
もちろん、研究がかなり進んできているようですが、
これだという原因が明らかになっていないのが現状です。
厚労省ポータルサイト:みんなのメンタルヘルス
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_depressive.html
「発症の原因は今のところわかっていません」
2.裁判ができない(判決をひねり出しているが)
医学的にうつ病を発症した原因を特定できないので、因果関係を解明することができない。
判例の中には、法令でもない「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」を、
判決のよりどころにしているものまである。
3.休職制度 法令化されていない
参考までに、厚労省策定のモデル就業規則には、以下のような表現がある。
「休職の定義、休職期間の制限、復職等については、労基法に定めはありません。」
つまり、労基法等に規程がないので、各事業体が任意で対策を講じなければなりません。
事業体のメンタルヘルス対策で、現在最も混乱しているのが、休職・復職関連です。
4.関わる専門家が多岐にわたる
精神科専門医、産業医、弁護士、企業の人事労務担当、産業保健スタッフ、社労士、産業カウンセラー、精神保健福祉士、臨床心理士等々、
すべてに精通している専門家がいない、即ち、合議体で対策を検討しなければならない。
それなのに、一人の専門家の責任で対策が講じられていることが多い。
しかも、専門家は「自尊心」が強いので、譲らない、協調しない。だから混乱しています。
5.日本の縦割り型組織が対策の推進・実効の邪魔をしています。
特に、人事労務部門と、産業保健スタッフ部門との不仲が未だに続いている企業が多いようです。
6.関連して、コラボヘルスの考え方が浸透していません。
改正「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」(THP指針)
以下、主な改正内容
1 コラボヘルスの推進が求められていることを基本的考え方に追記したこと
2 健康保持増進措置の検討に当たり、
・ 健康診断の結果を保険者に提供する必要があること
・ 保険者と連携して事業場内外の複数の集団間のデータを比較し、
健康保持増進に係る取組の決定等に活用することが望ましいこととしたこと。
3 保険者から40歳以上の労働者の安衛法に基づく健康診断の結果を求められた場合に、事業者が当該結果を保険者に提供することは、
法律に基づく義務であるため、第三者提供に係る本人の同意が不要であることを明示したこと。
取り組むべきこと
〇保険者から健康診断の結果を求められた場合は提供してください。
・法律に基づく義務の場合は、第三者提供に係る本人同意は不要です。
・法律に基づかない場合は、労働者本人の同意を得る必要があります。
○ 「職場における心とからだの健康づくりのための手引き」にある事例も参考に、
労働者の健康状況に応じて、健康保持増進対策を実施してください。
(※)保険者とは、健康保険組合や全国健康保険協会(協会けんぽ)等のことで、THP指針においては「医療保険者」と表記しています。
7.メンタルヘルスということばが、法令に出てこない
関連する法令等は以下のとおりですが、ずばり「メンタルヘルス対策法」はなく、
いろいろの法令の関係部分を寄せ集めて、論じているのでいろいろと齟齬が生じています。
・労働基準法 第1 条2 項、及び第2 条
・労働安全衛生法 第1条
・労働安全衛生法 第66条の10 ストレスチェックの実施
・労働安全衛生法第66条の8第1項。労働安全衛生規則第52条の2 長時間労働者への医師による面接指導
・労働安全衛生法第66条の8第3項。労働安全衛生規則第52条の7の3第1項、第2項 労働者の労働時間の状況を把握
・労働者災害補償保険法 「心理的負荷による精神障害の認定基準」
・労働契約法第5 条 安全配慮義務(健康配慮義務)
・過労死等防止対策推進法 メンタルヘルス対策等の過労死等防止対策
・労働施策総合推進法 パワーハラスメント防止措置が事業主に義務付け
指針等
・厚生労働省:労働者の心の健康の保持増進のための指針
・厚生労働省:心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き
・厚生労働省:ストレスチェック等の職場におけるメンタルヘルス対策過重労働対策 等