中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

高ストレス者を対象とする面接指導②

2022年07月20日 | 情報

ストレスチェックを実施しても、高ストレス者に対する医師の面談が実現できないでいることは、
ストレスチェックを実施する意味が半減してしまいます。
そこで、前項ではアンケートからくみ上げた、面接への申出のない高ストレス者の対応の工夫点も紹介しました。

(再掲)
〇資料の出典元 ストレスチェック制度の効果検証に係る調査等事業報告書(2022年3月)
令和3年度厚労省委託事業

https://www.mhlw.go.jp/content/000951471.pdf

⑱ 面接への申し出のない高ストレス者の対応の工夫点<主な自由回答>(事業場票 問 20)
 2年連続高ストレス者で面接申し出がない人を対象に保健師から体調確認メールを配信
 高ストレス者のうち、睡眠に問題のある人(よく眠れないことがしばしばある・ほとんどいつもあると答えた人)をピックアップし、
保健師面談を実施
 申し出しない理由を尋ね、申し出しやすい環境整備に努めている
 高ストレス者全員に面接指導の希望確認書を渡し対象者全員の意思を確認している
 実施規程に「産業医面接前に健康サポート室(日常的にメンタル不調者対応をしている)が補足的な面談を行う」と明記し
「自主的な面接希望がない場合であっても3回まで面接勧奨をする」ことも謳われている
 健康診断の事後指導や予防接種などの機会を利用し、相談ができるようにする 等

〇それでは、実際にどうやればよいのか、厚労省の資料から抜粋して紹介します。

労働安全衛生法には、2つの面接指導が定められています。
① 長時間労働者を対象とする面接指導(第66条の8及び第66条の9)
② 高ストレス者を対象とする面接指導(第66条の10)

これらの面接指導は、過労やストレスを背景とする労働者の脳・心臓疾患やメンタル不調の未然防止を目的とするものです。
産業医等の医師は、面接指導の場において対象労働者に指導を行うのみならず、事業者が就業上の措置を適切に講じることができるよう、
医学的な見地から意見を述べることが大変重要となります。
また、働きやすい職場づくりを進めるため、面接指導から得られた情報を職場改善につなげるための意見を述べることも期待されています。

② 高ストレス者を対象とする面接指導について

面接指導の対象となる「高ストレス者」とは、ストレスチェックの結果、高ストレスであり、
面接指導が必要であるとストレスチェックの実施者が判断した者とされています。
高ストレス者の選定方法については、「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル(令和3年2月改訂)」の
P.38~46を参照してください。

・「ストレスチェック制度の効果的な実施と活用に向けて」(令和4年3月)

https://www.mhlw.go.jp/content/000917251.pdf

・「ストレスチェック制度による労働者のメンタルヘルス不調の予防と職場環境改善効果に関する研究」(平成30年3月)

https://hp3.jp/wp-content/uploads/2018/06/H29a.pdf

・「医学的知見に基づくストレスチェック制度の高ストレス者に対する適切な面接指導実施のためのマニュアル」
(労災疾病臨床研究事業費補助金研究「長時間労働者への医師による面接指導を効果的に実施するためのマニュアルの作成」(2021年9月版)

https://www.mhlw.go.jp/content/000843224.pdf

・面接指導結果報告書・就業上の措置に係る意見書

https://view.officeapps.live.com/op/view.aspx?src=https%3A%2F%2Fwww.mhlw.go.jp%2Fcontent%2F000875330.doc&wdOrigin=BROWSELINK

 

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