中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

通底する考え方は同じ

2022年07月15日 | 情報

7月1日の当ブログ、『「やってます」ポーズだけでは許されない』のタイトルで掲載しましたが、まったく同じ考え方なのですね。
記事中に、「警部補の心身の健康を損なわないよう必要な措置を講じたとは認められない」とあります。
安全配慮義務の履行については、慎重の上にも慎重に対処してください。
一方で、わが国は、安全配慮義務を求めすぎという議論もありますが、当面は安全配慮義務の履行に注力してください。
そういえば、裁判(13兆円の損害賠償)記事をみると、通底する考え方は同じような気がします。


過重労働で警察官自殺、静岡県に1億350万円賠償命令 広島地裁福山支部
7/13(水) 中国新聞

過重な業務を強いられて精神疾患を発症し自殺したとして静岡県警の30代男性警部補の遺族4人が県に計1億1340万円の損害賠償を
求めた2件の訴訟の判決が13日、広島地裁福山支部であった。
曳野久男裁判長(森実将人裁判長代読)は過重な業務と自殺の因果関係を認め、計約1億350万円の賠償を言い渡した。

判決などによると、男性警部補は静岡県内の交番に交番長として勤務。連続窃盗事件の捜査や実習生の指導のため業務量が増え、
2012年3月までに精神疾患を発症したとみられ、同月に自殺した。その後、公務災害の認定を受けた。

曳野裁判長は、月140時間を超える時間外労働も余儀なくされたとして業務と自殺の因果関係を認めた。
さらに、県に対し「警部補の心身の健康を損なわないよう必要な措置を講じたとは認められない」と指摘。
安全配慮義務に違反したとし、自殺の責任を負うべきだとした。

判決を受け、広島県東部に住む遺族は「静岡県警の誠意を欠く対応は許すことはできず、怒りは消えない」などと話した。
静岡県警の水嶋春彦首席監察官は「判決内容を検討した上で適切に対処したい」などのコメントを出した。

(関連記事)
直近5か月の時間外労働が毎月110時間超、自殺した警官「精神疾患を発症」…遺族が県を提訴
2022/05/07 読売

熊本県警の巡査(当時24歳)が自殺したのは、県警が長時間勤務をさせて安全配慮義務を怠ったためとして、遺族が6日、県を相手取り、約7800万円の損害賠償を求めて熊本地裁に提訴した。
訴状によると、巡査は玉名署に勤務していた2017年9月に自殺。直近5か月間の時間外労働が毎月110時間を超え、精神疾患を発症したとしている。
母親(62)は県庁で記者会見し、「なぜこの子が死ななければならなかったのか。今も思い続けている」と語った。県警監察課は「訴状が届いておらず、コメントは差し控えたい」とした。

熊本 24歳刑事「過労自殺」 遺族、公務災害申請へ
2019/9/2 読売

熊本県警玉名署の刑事だった渡辺崇寿(たかとし)巡査=当時(24)=が2017年9月に自殺したのは長時間労働による過労が原因だったとして、遺族が近く、公務員の労災に当たる公務災害の認定を地方公務員災害補償基金熊本県支部に申請する。関係者によると、亡くなる直前2カ月間の時間外労働は当直勤務も含めると月平均120時間を超え、強い心理的負荷を受けていたという。
遺族などによると、渡辺巡査は12年4月に県警に採用され、17年4月から玉名署刑事課に配属された。亡くなるまでの5カ月間の時間外労働の月平均は約96時間。同じ部署の平均(約81時間)を上回り、最長だった。県警は当直勤務を労働時間としてみなさない運用をしており、当直勤務を含めた時間外労働は117~167時間に及ぶという。
「昨日は腐乱、今日は当直で縊死(いし)」「書類はたまる一方。キャパをオーバーしてますが言えません」「明日も見えない」「寝る分にはアルコールと眠剤があるんで大丈夫」-。携帯電話に残された無料通信アプリLINE(ライン)の記録には精神的に追い詰められた状況が残されており、17年9月に福岡県内で自殺しているのが見つかった。
遺族は熊本県警に職場環境の調査を要請。納得のいく説明が得られなかったため、熊本地裁玉名支部に証拠保全手続きを申し立てた。同支部は証拠保全を決定。県警からは、勤務時間簿など労働時間に関する書類や、署による原因調査の結果などが提出された。
署の調査では、渡辺巡査にトラブルはなく、自殺に至った要因の一つとして「刑事課員の常態化している長時間勤務」が挙げられた。県警は「職員が亡くなったことは誠に残念。ご冥福をお祈りするとともに、ご家族にお悔やみ申し上げる」とコメントした。

■残業5カ月平均130時間 「疲れたような顔怒られる…」
「毎日のばく然とした不安のせいです。死んで地獄にいくのも怖いですが、消えてしまうのも怖いです。しかし、明日がくることがもっと怖いのです」。熊本県警玉名署の渡辺崇寿巡査=当時(24)=は2017年9月、そう書き残して命を絶った。母美智代さん(59)=同県宇城市=は「正常に考えることができないほど働かされ、追い詰められていた。どうして誰も助けてくれなかったのか」と訴える。
美智代さんによると、警察官だった夫の影響もあり、渡辺巡査は中学生のころから刑事を志した。17年4月、念願の刑事課勤務になると「頑張るから」と連絡があった。命を絶ったのは、その5カ月後だった。
渡辺巡査の部屋は、足の踏み場もないほどごみが散乱していたという。「きれい好きな子だったのに…。寝る時間もろくになかったのだろう」。刑事課配属後の時間外労働の月平均は、当直勤務を含めると130時間超。若手だったことから多くの業務を抱え、孤立を深めていたとみられる。
携帯電話に残されたラインの記録には「人前や、別室に呼ばれて怒られる」「疲れたような顔をすると怒られる」など、上司から叱責(しっせき)されていたことがうかがえる内容もあった。
ただ、署幹部の説明は「原因は分からない」「責任ある仕事は任せていない」というものだったという。署の調査の結果には「休むことができない真面目な性格」「悩みを素直に吐露できない性質」「思い描いていた刑事生活と現実とのギャップ」などにより、「将来を悲観して自殺を図ったと思量される」とも書かれていた。
「息子は弱いから亡くなったんじゃない」と、美智代さんは訴える。「二度と同じような人を出さないため、責任をはっきりさせたい」

 

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