中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

令和2年(2020)患者調査(確定数)

2022年07月01日 | 情報

令和2年(2020)患者調査(確定数)の結果が公表されました。
しかし、公表が新型コロロまん延の影響で1年以上遅れたことや、統計方法の変更があったことなどで、
経年比較が容易にできない状況です。
従って、詳細は専門家の分析・公表を待ちたいと考えます。

 

令和2年(2020)患者調査(確定数)の結果を公表します 厚生労働省
令和4年6月30 日
【照会先】政策統括官付参事官付保健統計室

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/20/dl/houdou.pdf

厚生労働省では、このほど、「令和2年患者調査(確定数)」の結果を取りまとめましたので公表します。

患者調査は、医療施設を利用する患者について、その傷病の状況などを調査し、
今後の医療行政の基礎資料を得ることを目的としています。
調査は3年ごとに実施しており、今回は全国の医療施設のうち、病院6,284 施設、一般診療所5,868 施設、歯科診療所1,277 施設を抽出し、
これらの施設を利用した入院・外来患者約211 万人、退院患者約104 万人が対象となりました。

なお、入院・外来患者は令和2年10 月の医療施設ごとに指定した1日、退院患者は令和2年9月の1か月間を調査期間としました。

令和2年調査については、新型コロナウイルス感染症の影響下であること、総患者数については推計方法の見直しを、
退院患者の平均在院日数及び在院期間については算出に必要な入院年月日に所要の対応を行っていることから
(3頁 「8 利用上の注意」(7)(8)参照。)、結果の活用にあたってはご留意ください。

【調査結果のポイント】
【推計患者数】
○ 入院・外来別にみると、入院121 万1千人、外来713 万8 千人となっている。<4頁 表1>

○ 傷病分類別にみると、入院では「精神及び行動の障害」23 万 7 千人、「循環器系の疾患」19 万 8千人、
「損傷、中毒及びその他の外因の影響」13 万5 千人、外来では「消化器系の疾患」127 万 1 千人、
「健康状態に影響を及ぼす要因及び保健サービスの利用」100 万 1 千人、「筋骨格系及び結合組織の疾患」90 万6 千人の順に多い。<6頁 表2>

【受療率(推計患者数を人口10 万対であらわした数)】
○ 入院・外来別にみると、入院 960(男 910、女 1,007)、外来 5,658(男 4,971、女 6,308)となっている。 <9頁 表4>
○ 年齢階級別にみると、入院、外来ともに 65 歳以上が最も高くなっているが、年次推移では低下傾向となっている。

令和2年(2020)患者調査(確定数)の概況  →註;すなわち、全体版です

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/20/dl/kanjya.pdf

 

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「やってます」ポーズだけでは許されない

2022年07月01日 | 情報

「やってます」ポーズだけでは許されない、ということです。
法令が求める主旨を理解していないということですね。

〇使用者の安全配慮義務

労働契約法(平20.3施行)の第5条には、
「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、
必要な配慮をするものとする。」と、事業者の労働者に対する安全配慮義務(健康配慮義務)を明文化しました。

「必要な配慮」とは、一律に定まるものではなく、使用者に特定の措置を求めるものではありませんが、
労働者の職種、労務内容、労務提供芭蕉等の具体的な状況に応じて、必要な配慮をすることが求められています
(下記の厚労省リーフレットに記載)。

具体的には、安衛法をはじめとする労働安全衛生関係法令において、事業者が講ずべき具体的な措置が規定されています。
危険作業や有害物質への対策をはじめ、メンタルヘルス対策も使用者の安全配慮義務に当然含まれると解釈されています。

〇労働契約法のあらまし(厚生労働省HP)

https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoukeiyaku01/dl/13.pdf

〇また、労働契約法には罰則がありませんが、安全配慮義務を怠った場合、民法第709条(不法行為責任)、
民法第715条(使用者責任)、民法第415条(債務不履行)等を根拠に、事業者に多額の損害賠償を命じる判例が数多く
(数えきれないくらい、因みに、電通事件では約16800万円)あります。

1  陸上自衛隊事件(最三小判 昭50.2.25)
2 川義事件(最三小判 昭59.4.10)
3 システムコンサルタント事件(最二小判 平12.10.13)
4 電通事件(最二小判 平12.3.24)(注;電通をめぐっては同様の事案が2例ありますが、直近の事案の賠償額は非公開)
5 アテスト・ニコン熊谷製作所うつ病自殺事件(東高判 平21.7.28)


現役高校教員が『過重労働で適応障害』大阪府に賠償求めた裁判「教員が勝訴」府に賠償命じる
管理職が適切な策講じなかった」大阪地裁
6/28(火) MBS

長時間労働で適応障害を発症したとして大阪府立高校の教員が大阪府を訴えた裁判で、
6月28日に大阪地裁は府に対し230万円あまりの賠償を命じました。

大阪府立の高校で地理歴史を教える西本武史さん(34)は、2017年にクラス担任・ラグビー部の顧問に加えて
海外留学の案内役も務めていたことで、時間外労働が1か月で約120時間に達し適応障害と診断されました。

西本さんは、「教頭や校長らが仕事を適正に割り振らなかった」などとして府に対し230万円あまりの賠償を求めていました。

裁判の中で府側は「時間外勤務のほとんどは自主的・自発的で管理職の安全配慮義務には限界がある
などとして訴えを退けるよう求めました。

6月28日の判決で大阪地裁は西本さんの仕事量は「客観的に見て量的にも質的にも過重な業務」だと評価し、
管理職が「漫然と体を気遣う声掛けをするのみで抜本的な業務負担軽減策を講じなかった」として、
府に対し請求通り230万円あまりの賠償を命じました。


過重労働で適応障害認定 府立高の現役教諭が勝訴―大阪地裁
2022年06月28日 時事

過重労働が原因で適応障害を発症したとして、大阪府立高校に勤務する現役教諭の西本武史さん(34)が、
高校を運営する府に約230万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が28日、大阪地裁であった。
横田典子裁判長は、過重労働と適応障害の発症には因果関係があるとして校長の安全配慮義務違反を認定し、府に請求全額の賠償を命じた。

判決などによると、西本さんは赴任2年目の2017年度、世界史の授業やクラス担任に加え、
複数の運動部顧問や海外研修の引率などを担当。
同年7月ごろに適応障害を発症し、計4カ月余りの休職を余儀なくされ、今年2月には公務災害の認定を受けていた。
発症前6カ月間の時間外労働は平均で月100時間に及んだ。

 横田裁判長は「心身健康を害する強度の心理的負荷だった」と認定。
「原告の長時間労働が生命や健康を害する状態であることを、校長は認識すべきだった」と述べた。

 西本さんが校長に「このままでは死んでしまう」などとメールで助けを求めていたのに対し、
「(校長は)漫然と、休むよう声掛けをするのみで抜本的な負担軽減策を講じなかった」と指摘し、安全配慮義務違反を認めた。

 西本さんは判決後に記者会見し、「これは個人の問題ではなく社会問題だ。
自分が行動することで一石を投じることができたのでは」と話した。弁護団は「人の心も体も長時間働けば壊れるのは当たり前。
教員を目指す人たちのために、国もこの問題を受け止めてほしい」と語った。

橋本正司大阪府教育長の話 主張が認められず残念。判決内容を精査し、今後の対応を検討する。

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