中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

「産後うつ」

2016年05月17日 | 情報

従来より指摘されていたのですが、実態は想像以上に深刻なようです。
記事中に「特に妻の妊娠中からうつ傾向があった夫は、そうでない夫に比べてリスクが5・7倍高かった。」
とあるように、夫にもリスクが高まる危険性があると指摘されています。
企業の人事労務部門のみなさん、産休明けの従業員の就労のみならず、産休中の従業員の健康管理にも
さらには、奥さんが出産を控えている従業員の健康管理についても、一層の注意と対策が必要ですね。

東京都などが初の調査、「産後うつ」深刻な実態判明
TBS系(JNN) 4月25日

出産後の育児への不安などから発症する産後うつ。これが原因で自殺する母親が相次いでいることがわかりました。
産後うつは、労災事案ではありませんが、お母さんにとっては、職場復帰が困難になりますよね。
大きな問題ですね。
これは東京都などの調査で初めて明らかになったもので、過去10年間、東京23区内だけで
40人の女性が出産から1年以内に自殺していました。このうち3分の1が産後うつだというのです。
生後数か月の赤ちゃん。鏡が曇るほど、運動しているのは、そのお母さんたちです。皆、同じ悩みを抱えています。
「子どもが泣いたら、相手をしてあげないといけないし、自分の計画どおりにいかない、イライラ」
(娘が5か月の母親)
「周りの世界が急になくなっちゃって、子どもと2人だけの世界になってしまって、正気を保てないなと思って」
(息子【2人目】が4か月の母親)
出産後に訪れた気分の落ち込みや、イライラ。
ある調査では、出産後に「産後うつになった」もしくは「一歩手前だった」という人は、8割以上にのぼっています。
「私はなぜ、こんなにイライラするのかと。不安や不満をシェアできない」(息子が5か月の母親)
この教室では、体力を回復するための運動のほかに、子育ての不安や悩みを話し合うようにしています。
講師の吉田紫磨子さんも、かつて産後うつを経験しました。娘4人と夫と暮らす吉田さん。
笑顔を失ったのは13年前、長女が生まれた時のことでした。
「産んだ後のことを何も想定していなくて、産んだ後に、こんなに痛いんだって」(吉田紫磨子さん)
初めて経験する身体中の痛み。昼も夜も泣き続ける赤ちゃん。
それでも、「弱音を言ったら、お母さん失格だ」と思い、誰にも相談できなかったと言います。
「これは1か月過ぎたころ、2か月くらいのころ。でも、これ以降の写真がない」(吉田紫磨子さん)
娘の写真を撮る気力すら、失っていました。そして、出産から半年。
「赤ちゃんをだっこできなくなっちゃって、もしかしたら赤ちゃんに手を出していたかもしれないけど、
手を出すほどの体力もなく、私がなくなってしまえばいい、自分が死んでしまえば、
このつらさ、皆が気付いてくれるかなと」(吉田紫磨子さん)
この週末、産後うつについて、初めての調査結果が明らかになりました。
妊娠中または出産から1年以内に自殺した女性が、東京23区では、10年間で63人にのぼっていました。
産後に自殺した40人では、最も多い原因が産後うつでした。
ただ、国の対策は遅れていて、診断や治療に関するマニュアルや指針はありません。
また、出産後の母親への健診は産後1か月でしか行われておらず、その後に発症しても見つけられないのが現状です。
なぜ、お母さんたちは追い詰められるのか。産後ケアの教室で代表を務める吉岡マコさんは、
背景に、社会的な孤立があると指摘します。
「出産後は家から出られないので、社会から孤立してしまう。
誰にでも起こりうることで、つらくなったら休んでもいいし、休めるように誰かにサポートを求めてもいい。
外からおせっかいをしてあげることが一番」(吉岡マコ代表)
かつて、産後うつを経験した吉田さん。この教室と出会い、健康を取り戻しました。
「頭の中のもやもやを、言葉にするのが大事」(吉田紫磨子さん)
産後うつで苦しむ人を早期に発見できるよう日本産科婦人科学会では、診療ガイドラインの見直しを進めています。

地震後「産後うつ病」の疑いの母親増える
NHK 5月15日

熊本地震のあと、生後1か月前後の赤ちゃんを育てる母親の5人に1人が「産後うつ病」の疑いがあることが、
熊本市の病院の調査で明らかになりました。
割合は地震の前の2倍となっていて、病院は「母親を孤立させない対策を急ぐべきだ」と指摘しています。
調査を行ったのは、毎年3000人以上が出産し、分べんの数が熊本県で最も多い、熊本市中央区の福田病院です。
この病院で子どもを出産してから1か月以内に熊本地震を経験した母親186人を対象に、
はっきりした理由もないのに不安や恐怖にかられることや自分を傷つけたいと思ったことがあるかなどを聞きました。
その結果、産後うつ病の疑いがあると判断された母親は38人と、
5人に1人、率にして20%に上ったことが分かりました。
一方、地震前のおよそ2週間に行った調査では、疑いがあるとされたのは全体の11%で、
地震のあと、割合がおよそ2倍に増えたことになります。
なかでも地震が発生した直後の1週間の調査では、疑いがある母親は27%に上り、
特に高い割合になったということです。
母親の多くは、強い不安感を持ち、十分に眠れないなどと答えていて、
なかにはストレスで子どもに手を上げそうになったことがあると答えた母親もいたということです。
病院では、産後うつ病が深刻化すると、自殺や子どもの虐待にもつながりかねないとして、
母親を孤立させない対策を急ぐべきだと指摘しています。
福田病院の河上祥一院長は「産後の不安に地震のストレスが加わり、誰が産後うつ病になってもおかしくない状態だ。
臨床心理士を今以上に被災地に派遣するなどして、母親を長期的にサポートする態勢を作るべきだ」と話しています。

産後うつ病 東日本大震災後も増加
産後うつ病は、出産した母親の1割ほどにみられるとされています。
出産後2か月から4か月ほどが発症のピークで、軽いうつ状態から日常生活が送れないほどの疲労感など、
程度はさまざまです。
専門家によりますと、なかには自殺に至ったり、子どもを虐待したりするケースも報告されているということです。
また、東日本大震災のときにも産後うつ病の疑いがあるとされた母親が増加し、
特に津波を経験した母親が割合が高い傾向にあったという報告もあります。
周産期医療の問題に詳しい順天堂大学の竹田省教授は、
「被災地では、産後うつ病の疑いがある母親が増加するだけでなく、症状が深刻化するケースが増えるおそれもある。
母親の孤立を避け、カウンセリングを十分に行っていく態勢作りが不可欠だ」と指摘しています。

避難生活で追い詰められる母親
出産後すぐに地震の被害に遭った母親の中には、強いストレスや不安を感じながら避難生活を送っている人がいます。
熊本市西区の宮本広美さん(35)は、3月27日に次男の一咲くんを出産し、
1か月もたたないうちに地震の被害に遭いました。
自宅のマンションは玄関の扉が開かなくなるなどしたため、およそ3週間にわたって車中泊を余儀なくされました。
夫とほかの子どもも含めた家族5人が、軽自動車の中でほとんど身動きのとれない状態で寝泊まりしていました。
疲労がたまり、夜泣きや相次ぐ余震で20分おきに目を覚ます日が続いたため、精神的に不安定になり、
夜1人になると、理由もないのに涙が出る日もあったということです。
日中は公園や避難所で過ごしていましたが、周りの人たちに迷惑がかからないよう、
一咲くんが泣くたびに外に出てあやし、避難所で寝泊まりはできませんでした。
強いストレスでいらいらし、子どもを強い口調で叱ったり、
頭がぼんやりして何も考えられないときもあったと言います。
避難生活のなかで撮った家族写真は笑顔を見せていますが、子どもたちに笑ってもらうため無理やり作った笑顔で、
実際はストレスと不安で追い詰められていたと言います。
現在は余震が減ったため、熊本市内の夫の実家に避難しています。
宮本さんは「産後うつ病」の疑いがあるとまではされていませんが、
今も赤ちゃんを抱いているときに、余震が起きるたびに強い恐怖や不安感に襲われるということです。
宮本さんは「自分のことで精いっぱいで、子どもに十分かまってあげられず、
母親失格だと自分を責める日もありました。
理由もないのに涙が出たことは初めてで、追い詰められていたと思います。
この先どうなるのかという気持ちは今でもあります」と話していました。

母子専用の避難所でリスクを減らす
どうすれば「産後うつ病」になるリスクを減らせるのか。
熊本県助産師会などは、避難生活を送る母親などに安心して子育てしてもらおうと、
先月23日から熊本市中央区に母子専用の避難所を設けています。利用は無料で、現在3組の親子が入所しています。
ボランティアの助産師が24時間態勢で付き添うほか、おむつの交換や夜泣きへの対応、
それにもく浴のしかたなどを教えています。
さらに、母乳がちゃんと出るよう、栄養のバランスに配慮した食事が提供されています。
西原村の自宅が被災し、その後、男の子を出産して避難所にやって来た、高本美穂さんは、
「同じ境遇の母親ばかりなので、夜泣きや授乳で周りに気を遣うことがなく安心です。
地震のあと母乳が少なくなりましたが、避難所に来て、ちゃんと出るようになりました」と話していました。
ただ、熊本県助産師会によりますと、こうした出産直後の母親と赤ちゃん専用の避難所は、
県内ではこの施設1か所だけだということです。
避難所でサポートに当たる助産師の怒留湯美季さんは「地元や家族から遠く離れたくないと、
母子専用の避難所への入所をためらう母親もいると思うので、
避難所をもっと各地に作っていく必要がある」と話しています。

産後うつ傾向、夫にも2割 子育てと仕事、両立が重圧? 成育医療センター
毎日新聞2016年1月6日 

女性が出産後にうつ傾向を示しやすいことは知られているが、
男性も妻の出産後に2割弱が理由もなく不安になったり心配したりする傾向があるとの調査結果を、
国立成育医療研究センターなどのチームがまとめた。子育てと仕事の両立への重圧などが背景にあるとみられる。
うつ傾向の夫は、大声でしかるなど子どもへの虐待につながる行為の危険が高まるという。
<産後クライシスって>  .
男性が育児に積極的に参加する「イクメン」が推奨される中、
夫もメンタルヘルスが不調になりやすいことを示すデータで、
同センターの竹原健二研究員(疫学)は「労働時間の短縮など、夫のストレスを軽減する配慮が必要だ」と指摘する。
2012年11月から半年間、愛知県内の自治体で、妻が妊娠中の男性のメンタルヘルスの状態と、
虐待につながる行為との関係について調べた。
妻の出産後3カ月まで追跡できた夫215人のうち「うまくいかない時に不必要に自分を責めたりする」など
うつ傾向を示した夫は36人(16・7%)に上った。特に妻の妊娠中からうつ傾向があった夫は、
そうでない夫に比べてリスクが5・7倍高かった。
また、産後にうつ傾向になると、虐待になり得る行為をしてしまう危険も4・6倍高まった。
特に、つねる▽お尻をたたく▽子どもの入浴や下着の交換を怠る▽大声でしかる−−などをしやすくなるという。
女性の「産後うつ病」を巡っては、国が母子保健行動計画「健やか親子21」で
発生率の減少を目標に掲げ対策を進めているが、男性への影響は調べられていなかった。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする