中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

就業規則に規定してください

2016年05月11日 | 情報

結論です。ストレスチェック制度は、就業規則に規定してください。
厚労省HPに掲載されている、モデル就業規則より転載します。

(ストレスチェック)第55条 
労働者に対しては、毎年1回、定期に、医師、保健師等による心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)を行う。
2 前項のストレスチェックの結果、ストレスが高く、面接指導が必要であると医師、保健師等が認めた労働者に対し、
その者の申出により医師による面接指導を行う。
3 前項の面接指導の結果必要と認めるときは、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等、
必要な措置を命ずることがある。

(解説)
1 事業者は、心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)を1年に1回定期的に実施しなければなりません
(安衛法第66条の10第1項)。
なお、ストレスチェック及びその結果を踏まえた面接指導の費用については、
法で事業者に実施の義務を課している以上、当然、事業者が負担しなければなりません。
2 ストレスチェックは、医師、保健師又は所定の研修を修了した看護師又は精神保健福祉士により行われる必要があります
(安衛法第66条の10第1項)。
また、ストレスチェックの結果は、医師、保健師等から労働者に直接通知されなければならず、
本人の同意がない限り、事業者は把握してはいけません(安衛法第66条の10第2項)。
3 ストレスチェックの結果、ストレスが高く、面接指導が必要であると医師、保健師等が認めた労働者に対し、
その者が申し出た場合には、医師による面接指導を行わなければなりません(安衛法第66条の10第3項)。
4 事業者は、面接指導の結果を踏まえた就業上の措置について医師の意見を聴き、意見を勘案して、
作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講じなければなりません(安衛法第66条の10第5項、第6項)。
5 労働者の同意を得て、事業者に提供されたストレスチェックの結果及び医師による面接指導の結果は、
事業者が記録を作成し、5年間保存しなければならないとされています(労働安全衛生規則第52条の13、第52条の18)。

以下、言い訳です。
SC(ストレスチェック)制度の準備情報① 2015年11月12日

SC(ストレスチェック)制度の実務を担当するみなさまには、既知の事実ですが、それに多少の私見を述べます。
最初は、SC(ストレスチェック)制度を就業規則に規程すべきかどうかという問題です。
厚労省が見解をなかなか明らかにせず、ペンディング状態が続いていましたが、
去る9月30日に、ストレスチェック制度実施規程(例)を公表しました。

一方で、同日に、Q&Aの更新版を公表しました。このQ&AのQ2-2において、以下のように就業規則の扱いについて回答しています。http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150507-2.pdf

Q2-2 ストレスチェック制度に関する社内規程は、どのような形式で定めればよいでしょうか。、(ママ)
就業規則に該当するのでしょうか。
A ストレスチェック制度に関する内部規程については、特に形式を問いませんので、
何らかの形で、文書化していただければ問題ありません。
また、就業規則該当(ママ)するものでもありませんので、労働基準監督署への届出も必要ありません。
従って、ストレスチェック制度は就業規則に規定するする必要がないことが、はっきりしました。
しかし、ストレスチェック制度は、複雑かつデリケートな約束事が多いことから、努力義務規程も含めている、
厚労省のストレスチェック制度実施規程(例)を参考にして、
就業規則の別則扱いの内部規程として、御社のストレスチェック制度実施規程を定めておくことが必要と考えます。
なお、ストレスチェック制度実施規程(例)は、厚労省のHPを参照してください。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/

さて、厚労省が発表しているモデル就業規則というのがあります。
その中で、健康診断については、以下のような規程例を紹介しています。
(健康診断)
第54条 労働者に対しては、採用の際及び毎年1回(深夜労働に従事する者は6か月ごとに1回)、定期に健康診断を行う。
2前項の健康診断のほか、法令で定められた有害業務に従事する労働者に対しては、特別の項目についての健康診断を行う。
3長時間の労働により疲労の蓄積が認められる労働者に対し、その者の申出により医師による面接指導を行う。
4第1項及び第2項の健康診断並びに前項の面接指導の結果必要と認めるときは、
一定期間の就業禁止、労働時間の短縮、配置転換その他健康保持上必要な措置を命ずることがある。

これをみると、なぜ、ストレスチェック制度は就業規則に規定するする必要がないのか、いまひとつ納得できません。
反対に、なぜ、規定してはいけないのか、という疑問もあります。Q&Aには明解な理由が説明されていません。
というか、微妙に論点をずらしていますね。
小生は、堂々とストレスチェック制度を、就業規則に規程すべきと考えています。(今回、太字に修正)
ストレスチェック制度の受診は任意ですが、通達等に示す一部の除外対象者を除き、
対象は事業所の労働者全員ですから、労基法89条の相対的記載事項に該当するはずです。
なお、行政の見解があっても、企業の判断で就業規則に規定する自由は、あります。
因みに、厚労省が発表しているモデル就業規則には、労基法で定められていない、休職規程も紹介されています。
小生、社労士になって約8年ですが、七不思議のひとつです。まだまだ勉強しなければならないことが沢山あります。

 



コメント
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