中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

23.24日は休載です

2016年05月20日 | 情報

23.24日は、出張のため休載です。25日(水)より再開です。
よろしくお願いします。

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うつ病も労災の対象になります

2016年05月20日 | 情報

うつ病も労災の対象です。
知識のある皆さんには、当然のことでしょうが、一方で、ご存じでない方が余りにも多いと推測しています。

その一例が、専門家による発言です。うつ病やメンタルヘルスに関連するセミナーを拝聴する機会があるのですが、
その多くの場合、私傷病か労災かの原則の説明もなく、
終わってみると「ああ、私傷病の場合を説明しているのだな」と、理解させられるからです。
また、「精神障害等による労災申請は、毎年請求件数、認定件数ともに拡大の一途です。」と強調されます。
確かに、毎年確実に増加しています。この事実は否定しません。
併せて「うつ病の患者数は、100万におよび、とても憂慮すべき数字です。」とも言います。
これも、厚労省の公表数字ですから、紛れもない事実でしょう。
ところが、殆どが、これだけの説明で終わってしまい、何事もなく本題に移っていきます。

ちょっと待ってください。
千人単位で推移している労災認定数と、うつ病のみのり患者を見ても100万人単位で推移している、
この大きなギャップに注目した専門家は、これまで皆無です。
おかしいと思わないでのでしょうか?
それとも、小生の指摘が異常なのでしょうか?

精神障害は、業務による心理的負荷、業務以外の心理的負荷、
それに個体側の要因が複雑に関係しあって発病するとされています。
(「精神障害等の労災認定について」厚労省発行、3pより)
ということは、100万人にも及ぶうつ病り患者の殆どが、私傷病か個体側要因によって、発症していることになります。
しかし、現実は正反対でしょう。
圧倒的に業務上の理由で、うつ病等の精神疾患にり患していると推測するのが、妥当な考えではないでしょうか。

それでは、なぜそうなるのか、の推測です。
理由1.うつ病等にり患した労働者に、「これは、ひょっとしたら労災なのではないか」という疑問が起きない。
理由2.労災であると認識しても、証拠を集めることができない。
    特にハラスメントのような場合は、「云った云わない」のレベルになるので、証明が難しい。
    ただし、例外的に長時間労働のような場合は、
    使用しているパソコンの保存データ等で証明できる可能性がある。
理由3.労働者自身が労災申請をするのが原則であるが、通常のケガのような場合は、会社側が代理で申請してくれる。
    しかし、精神疾患の場合は、会社側はほぼ100%、非協力である。
理由4.申請書類に不備が多く、労基署から認定を却下されてしまうケースがある。

このような悪条件を乗り越えて、労災であることを認めさせた裁判例が、
東芝(うつ病・解雇)事件(最高裁判所第2小法廷平成26年3月24日判決)です。
このような事案は、氷山の一角で、全国には同様な事案がたくさんあるのでしょうね。

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