中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

「労働時間の管理怠った」

2016年05月12日 | 情報

「労働時間の管理怠った」社員の自殺巡り会社側に賠償命令
4月27日 NHK

横浜市の電気通信工事会社の社員が自殺したことを巡って遺族が起こした裁判で、
東京地方裁判所は「社長は出勤簿の確認すらせず、労働時間の管理を怠った」として、
会社側に4400万円余りの賠償を命じる判決を言い渡しました。
11年前、横浜市の電気通信工事会社で働いていた当時27歳の男性が自殺し、
男性の両親は「過労が原因だ」として会社と社長に賠償を求める裁判を起こしました。
裁判で会社側は「長時間労働だったとはいえず、自殺は会社の仕事とは関係がない」と主張していました。
27日の判決で、東京地方裁判所の河合芳光裁判長は「自殺前の1か月の時間外労働は170時間を超えていて、
強い心理的な負荷を受けていた。仕事が原因で適応障害を発症したといえる
」と指摘しました。
そのうえで、「社長には労働者の健康を損なわないようにする義務があるのに、
出勤簿の確認すらせず、労働時間の管理を怠った」として、会社と社長に4400万円余りを賠償するよう命じました。
男性の両親は弁護士を通じて、「息子のような不幸な死が1件でも無くなるよう、
企業には労働のルールをきちんと守ってほしい」というコメントを出しました。
一方、会社側の弁護士は「判決の内容を精査したうえで、会社と相談して対応を検討したい」と話しています。

(小生の解釈)
長時間労働やそれによる睡眠不足は、脳血管疾患をはじめとする虚血性疾患、
高血圧等の発症の要因となることが指摘されています。
厚生労働省は、平成13年12月に定めた、
脳血管疾患及び虚血性心疾患(負傷に起因するものを除く。)の認定基準」において、
以下のような見解を示しています。
①発症前1か月間ないし6か月間にわたって、1か月あたり概ね45時間を超える時間外労働が認められない場合は、
業務と発症との関連性が弱いと評価できること
②おおむね45時間を超えて時間外労働時間が長くなるほど、業務と発症との関連性が徐々に強まると評価できること
③発症前1か月間に概ね100時間を超える時間外労働が認められる場合、
または発症前2か月間ないし6か月間にわたって、
1か月あたり概ね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、
業務と発症との関連性が強いと評価できること
を踏まえて判断します。

ですから、会社側が「長時間労働だったとはいえず、自殺は会社の仕事とは関係がない」と主張する根拠は、
どこにあるのでしょうか?
記事から類推するしかありませんが、地裁の判決は当然でしょうね。

コメント
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