中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

うつ病も労災の対象になります(続編)

2016年05月30日 | 情報

続編を上梓するのに少し時間が空きすぎました。しかし、「上梓」という表現は大袈裟かもしれません。閑話休題。

殆どが労災ではないかとう、小生の指摘に対して、厚労省も同様な見解を持っていることを
証明する文章がありますので、以下に紹介します。
なお、当局に問い合わせてみると、面接指導の取り組み姿勢を述べているのであって、
指摘されるような意味合いではない、と否定しています。
しかし、当局の見解に100歩譲ったとしても、職場内にストレスの要因が、少ない、または、殆どないのであれば、
企業にストレスチェックを義務付ける理由が存在しないのではないでしょうか。
精神疾患にり患する原因が、ほとんど職場にあることから、ストレスチェックを義務化したのでは
ないのでしょうか?

しかし、みなさんどう判断されますか?
まず、言葉の解釈です。
一般的には⇒[形動]特殊な事物・場合についてでなく、広く認められ行き渡っているさま。
       普遍的。「一般的な考え方」
基本的には⇒[形動]物事の基本となるような性質をもっているさま。「その意見には基本的に賛成だ」

次に文章の解釈です。
〇高ストレス状況では、一般的には、職場や職務への不適応などが問題となりうることから
⇒「高ストレス状況では、普通では、またはほとんどの場合、職場や職務への不適応などが問題となりうることから」、
 と解釈できます。つまり、労災に該当することがほとんどだということでしょう。
〇基本的には、ストレスの要因が職場内に存在することを想定して、
⇒つまり、精神疾患に繋がるストレス要因は、ほとんどが職場内に存在する、ということでしょう。
一般的には」基本的には」という同義語の表現を重ねて使用するということは、何故なのでしょうか。
マニュアルには、法的根拠はないそうですが、「言霊」そのものでしょう。

ストレスチェックマニュアルP64を参照してください。

面接指導の考え方
○ ストレスチェックは、自記式調査票によって実施されるため、
その時点での労働者の自覚の範囲での評価となるという限界があります。
ストレスチェック後の面接指導は、こうした自覚のある労働者が事業者に申し出た場合に、
ストレス反応に対しての対処行動(ストレスコーピング)の手助けとなり、
ストレスによる健康影響を少なくする(あるいは未然に防止する)効果が期待されます。
一方で、面接指導対象者に対して、直ちに専門医の受診を勧奨するものではないことに留意しなければいけません。
○ ストレスチェックにより面接指導の対象者とされた者に対する面接指導では、
医師は、ストレスチェックの結果を精査し、ストレスの要因について聴取して、対応を検討することが求められます。
○ 面接指導においては、業務外の出来事がストレスの原因となっていることもあることを考慮しつつ、
高ストレス状況では、一般的には、職場や職務への不適応などが問題となりうることから、
面接実施者は、基本的には、ストレスの要因が職場内に存在することを想定して、
まずは高ストレスの原因について詳細に把握して職場内で実施可能な対応を優先して促す観点で
面接指導に当たることが望ましいでしょう。
○ 労働者が既に専門医を受診している場合でも、
高ストレスの原因となるストレス要因が職場に内在しているものである場合には、
医療のみで解決することが極めて難しいと言わざるを得ません。
職場内で解決可能な問題があるかどうかについて職場の環境を熟知している産業医が
対応することが解決の糸口になる可能性が高いと言えます。

コメント
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