中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

自殺防止計画 命を守る地域作り進めたい

2016年05月19日 | 情報

いろいろな対策が効果をあげ、自殺者が年間3万人を下回って数年が経ちます。
しかし、自殺者の統計は、「あきらかに」自殺したと認められた人のみを
計算していますので、自殺したかどうかわからない方々は計上されていません。
その数は、専門家の説によると年間1~2万人だそうです。

毎年、2万4000人超が自ら命を絶つ現状を改めることが急務だ。
読売社説 16.5.16

全国の都道府県と市区町村が、自殺防止の計画の策定を進めている。
4月に施行された改正自殺対策基本法で義務付けられたものだ。
2006年制定の基本法は、政府による自殺総合対策大綱の作成を定めているが、
自治体の対策は自主性に委ねていた。このため取り組みにばらつきがあった。
改正法が全自治体に計画策定を求めたのは、自殺者の年代や職業、原因といった
各地域の傾向に合わせた対策を促すのが狙いだ。
例えば、若年層の自殺が多ければ、学校での教育・啓発に重点を置く。
中高年の無職者が多ければ、仕事や生活の悩みを受け止め、支援機関につなぐ体制を整える。
自治体は、自殺の背景と的確に向き合い、効果的に命を守る地域作りに知恵を絞ってほしい。
バブル崩壊後の不況下で、自殺者は1998年から14年連続で年間3万人を超えた。
近年は、景気回復の影響もあり、減少傾向にあるが、それでも15年は2万4025人に上った。
自殺率は先進7か国で最悪の水準にある。
自殺の原因は、経済的困窮や病気、職場や家族の問題など様々で、複合的に絡み合う例が多い。
改正法は、自殺対策を「生きることの包括的な支援」と定義した。
福祉や医療、雇用、生活など自治体の関係部局が連携し、民間団体とも協力することが重要だ。
大切なのは、深刻な悩みを抱える人の兆候を見逃さず、機動的に適切な支援を行うことである。
15年度に始まった生活困窮者自立支援制度では、自治体に総合的な相談窓口の設置が義務付けられた。
失業や借金、孤立といった相談内容は、自殺とも密接に関連する。
困窮者と自殺の対策を連動させ、相乗効果を生み出したい。
東京都足立区では、暮らしや仕事の悩みの「総合相談会」で自殺リスクの高い人を把握し、
専門家が問題解決を援助している。
失業中の中高年の自殺が多い傾向に対応した仕組みで、自殺者の減少に成果があったという。
政府は、地域の実態把握や自殺対策に携わる人材育成などを行う拠点を全ての都道府県と政令市に設置する方針だ。
財政面も含め、自治体や民間団体をしっかりと後押しする必要がある。
5月は新入社員らが心身に不調を来しやすい時期だ。20~30歳代は「勤務問題」が原因の自殺が多い。
ブラック企業対策など労働環境の改善が求められる。
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