中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

SC(ストレスチェック)制度の準備情報・質問編⑲

2016年04月07日 | 情報

Q:当ブログで、ストレスチェックの質問項目は、厚労省のマニュアル通りにしなさいと、アドバイスされましたが、
弊社のトップから、どうしても質問項目に独自の質問を複数追加しろと指示されました。アドバイスをお願いします。

A:独自の質問を追加したいのだが、どのようにしたらよいのか、という質問・問い合わせは多いですね。
当ブログでも、他のセミナー勉強会においても、ストレスチェックの質問項目は、
基本的に厚労省のマニュアル通りにしてくださいと、お話してきました。
なぜなら、ストレスチェックマニュアルの31ページにおいて、
行政は、独自の質問項目を追加する場合は、「選定する項目に一定の科学的根拠」を示すことを求めているからです。
しかしながら、どうしてもというお問い合せに対し、一案を提示します。

結論は、1問でも、2~3問でも、10問でも、100問でも、自由に追加してOKです。
ただし、検討課題があります。
まず、厚労省提供の質問ソフトが使えなくなります。ですから、独自に質問ソフトを設計しなければなりません。
または、ペーパーによる質問票に切り替える必要があります。
現場が多い、工場系や輸送系などは、もともとペーパーによる質問票に頼らざるを得ませんが、
結果の集計には相当な労力が必要ですし、新たな個人情報の保護対策も必要になります。
それに、集団分析はどのようにしますか?独自の質問項目は、別途に処理しますか?
また、外部機関に委託されている場合、当該機関が基本的に受け付けないことが考えれますし、
受け付けても、相当な追加料金が必要になるでしょう。
以上のように問題点が山積みですが、それでも実施したいのであれば、あとは物理的な問題のみとなります。
企業・事業場内で、産業医などの専門職の意見も勘案しながら、よく審議・検討してください。

なお、ストレスチェックマニュアルの31ページに記載されているように、
「選定する項目に一定の科学的根拠が求められます。」とあります。
ところが、当ストレスチェックマニュアルには、法令・規則のような法的拘束力はありません。
ですから、法的には一定の科学的根拠を示す必要はないと考えます。
いったいどこに対して示せと言うのでしょうか?
また、考えられる危惧としては、科学的根拠のない質問により、何らかのトラブルに繋がったというような場合でしょうか。
ほとんど予測できない可能性ですが、追加質問によって、受診した従業員が、
何らの精神的なトラブルを発生させ、さらに問題が拗れたような場合はどうでしょうか?
とにかく、企業・事業所内で私的に実施するのですから、行政当局(労基署)から
とやかく言われる可能性はありませんので、「自己責任」により実施いただいて結構でしょう。

(参考)ストレスチェック制度関係 Q&A(厚労省)
Q3-4 国が標準として示す57 項目に加えて、ストレスに関連する独自の項目を加えることは問題ないでしょうか。
また、質問数を数百に増やしたり、数項目程度に絞っても問題ないでしょうか。
A 「職場のストレス要因」、「心身のストレス反応」、「周囲のサポート」の3つの領域が含まれていれば、
項目を増やしたり減らしたりしても問題はありません。
ただし、独自に項目を設定する場合は、一定の科学的根拠に基づいた上で、
実施者の意見の聴取、衛生委員会等での調査審議を行う必要があります。

コメント
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