中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

衛生委員会は、難題ですか?

2016年04月14日 | 情報

SC制度の施行により、衛生委員会は、注目の的になっています。
ですから、衛生委員会は必然的に活性化しているはずなのですが。
ところが、相変わらず衛生委員会の運営が、企業の悩みの種のようです。
衛生委員会で審議する議題がない、衛生委員会がマンネリ化している、がその二大悩みのようです。
今回のストレスチェック制度の実施により、当ブログでも衛生委員会が活性化することは必至と申し上げてきましたが、
そう簡単にはいかないのでしょうか。そこで、若干のアドバイスとヒントを。

はじめに、「衛生委員会で審議する議題がない」について。
まず、衛生委員会で審議する議題は、安衛法、及び安衛則で明確に規定されています。
ですから、マストなのです。審議しなければならない項目なのです。

安衛法第18条第1項、安衛則第22条には、以下のように規定されています。
事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、次の事項を調査審議させ、 事業者に対し意見を述べさせるため、
衛生委員会を設けなければならない。

1.労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること。
2.労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策に関すること。
3.労働災害の原因及び再発防止対策で、衛生に係るものに関すること。
4.前三号に掲げるもののほか、労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項
①衛生に関する規程の作成に関すること。
②危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置のうち、衛生に係るものに関すること。
③安全衛生に関する計画(衛生に係る部分に限る。)の作成、実施、評価及び改善に関すること。
④衛生教育の実施計画の作成に関すること。
⑤有害性の調査並びにその結果に対する対策の樹立に関すること。
⑥作業環境測定の結果及びその結果の評価に基づく対策の樹立に関すること。
⑦定期に行われる健康診断、臨時の健康診断、自ら受けた健康診断及び法に基づく他の省令の規定に基づいて行われる
医師の診断、診察又は処置の結果並びにその結果に対する対策の樹立に関すること。
⑧労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置の実施計画の作成に関すること。
⑨長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立に関すること。
⑩労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること。
⑪厚生労働大臣、都道府県労働局長、労働基準監督署長、労働基準監督官又は労働衛生専門官から
文書により命令、指示、勧告又は指導を受けた事項のうち、労働者の健康障害の防止に関すること。

まあ、沢山ありますね、これでもか、という印象です。しかし、これでは少し堅苦しいので、もう少し柔らかく考えましょう。
まず、産業医は、衛生委員会の定例メンバーです。ところが、意外と発言の機会が少ないのです。
まるでお飾りのひな人形のようです。
産業医には、失礼ですが当ブログの読者のみなさんの所得と比較すると、はるかに高額の報酬を支払っています。
ですから、しっかりとコストを回収しましょう。それには、毎回の衛生委員会で、産業医に講話をしてもらいましょう。

次は、定期巡視です。皆さんご存知のように、少なくとも毎月1回作業場を巡視し、
作業方法または衛生状態に有害のおそれがあるときは、
直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければなりません。

繰り返しますが、「少なくとも毎月1回以上」で、「直ちに」です。ですから、
定期巡視は、衛生委員会の開催前に行うことをお勧めします。
そうすれば、巡視で発見した問題点を「直ちに」検討でき、対処策を講じることができます。
法令の要請に忠実に応えることができますね。
こうすれば、衛生委員会の「やらされ感」がなくなり、むしろ委員会に参加して、審議することが楽しくなることでしょう。

さらに、重要な今日的議題を検討しましょう。
まず、はじめに長時間労働、特に長時間残業にメスをいれましょう。
長時間残業問題は、いくらトップが「やめろ」と発言しても、
人事労務部門が、各部門長に長時間残業を削減してほしいと要請しても、一向に解決しません。
そこで、衛生委員会で課題として取り上げましょう。
人事労務部門は、専権事項だとして、ひょっとして嫌がるかもしれません。
しかし、従業員の健康問題ですから、衛生委員会の立派な議題になります。

それから「有給休暇」です。有給休暇は、法令に定められているから、やむを得ず就業規則に規定されているのではありません。
絵に描いた餅ではないのです。有給休暇を100%取得することは従業員の権利ではなく、「義務」と云ってもよいでしょう。
データを担当部門から提供してもらいましょう。
個人情報や、人事労務部門として秘密データであるのなら、衛生委員会のみの情報としてもよいでしょう。
しかし、これも担当部門は、委員会への講評を嫌がるかもしれませんが、この場合は、衛生委員会の委員長の出番です。

さらに、定期健康診断の結果です。その前に受診状況を確認しましょう。定期健康診断は、
受診率100%でなければなりません。もちろん個人データを開示する必要はありませんが、
部門別にどのような状況になっているのか、部門間のばらつきはあるのかないのか、
健康管理部門は、どのように受診促進しているのか、未受診の従業員には、どのような対応をしているのか、確認します。
再検査の状況はどのようになっているのでしょう。二次健康診断の受診者は、どのくらいの人数がいるのでしょうか。
成人病の実態はどうなっているのでしょうか?

ずいぶんと審議するべき議題を、思いつくままに記してきましたが、まだまだ議題、審議テーマはありますよね。
審議する議題、テーマがないなんて、考えられませんね。むしろ、月1回の開催で間に合うのでしょうか?

次回は、次の問題である、「マンネリ化」の解決方法です。

 

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