中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

衛生委員会とストレスチェック

2016年04月26日 | 情報

ストレスチェックを実施するには、衛生委員会の役割が重要であることは、当然の事実となっています。
当ブログにおいても、ストレスチェックマニュアルが公開される以前より、繰り返し強調してきました。
マニュアルを再確認しましょう。ストレスチェックマニュアルのP10以降に、詳細に記述されています。

衛生委員会等における調査審議の意義
〇新たにストレスチェックを導入する場合、ならびに従来からストレスチェックを独自に実施している場合においても、
今般法制化されたストレスチェック制度の実施に備えて、法令で定めた一定の要件を満たしているかどうか確認することが必要です。
本人の同意など個人情報の取扱いや不利益取扱いの有無等について検討し、
円滑にストレスチェック制度が実施できるよう準備を進めなければなりません。
問題があれば事前に検討し改善しておく必要があります。
〇心の健康に関する情報は機微な情報であることに留意し、
実施方法から記録の保存に至るまでストレスチェック制度における労働者の個人情報が適切に保護されるような体制の構築が必要です。
ストレスチェックに関与する産業保健スタッフならびに事務職についても個人情報保護等についての教育啓発を怠ってはいけません。
どのような方法で教育啓発するのかも検討しておく必要があります。
ストレスチェックの受検の有無、ならびに対象者が同意した場合に事業者に提供される結果内容、高ストレスと判定された場合の
面接指導の申し出等に対して不利益な取扱いが発生しないよう審議しておくことが重要です。

衛生委員会等において調査審議すべき事項
〇ストレスチェック制度導入についての労働者への周知が求められます。
ストレスチェックがどのような形で実施されるのか、またどのような結果が通知されるのか等についても事前に十分に教育啓発し、
一人でも多くの労働者が安心して受検できるよう周知を図らなければなりません。
なお、ストレスチェックは、事業者に課せられた義務ですが、労働者において受検は強制ではないこと、
ただしなるべく全ての労働者に受けていただくことが望ましいことを周知することが重要です。
派遣労働者においては、派遣元ならびに派遣先においてストレスチェックの位置付けについて明確にしておくことが望ましいといえます。
〇 ストレスチェックの実施方法については、質問紙による調査票、もしくはICT1を活用するのかを選択(併用も可)し、
その実施方法についての具体的な注意点を整理しておく必要があります。
また、集団ごとの分析を実施して職場環境の改善に活用するための方法等についても予め定めておくことが望ましいといえます。
〇ストレスチェック結果をどのような方法で本人に通知するのかについて、個人情報の保護の視点を考慮して定めておくことが必要です。
面接指導の対象となったことが対象者の不利益にならないよう、その結果通知の方法には工夫が必要です(P46 参照)。
〇個人のストレスチェック結果の事業者への提供に当たっての、同意の取得方法としては、
対象となる労働者全員に対して個別に同意を取得する必要があり、衛生委員会等での合議による包括的な同意は認められません。
また、個人のストレスチェック結果は事業者に提供しない取扱いとすることも可能です。
〇ストレスチェックに関して個人情報の漏えいや不利益取扱いが発生した場合には、
再発を防止するためにその対策等を調査審議しなければなりません。
その他
〇労使の定期的な調査審議の場である衛生委員会を活用して、
各事業場においてストレスチェック制度が適切に実施されていることを確認、点検し、
より適切で有効な仕組みとなるようPDCAサイクル2により評価、改善を行うことが重要です。
〇なお、衛生委員会の議事については、規則第23 条に基づき、開催の都度議事の概要を労働者に周知し、
重要なものに係る記録を3 年間保存することとされているので、留意しましょう。

しかも、ストレスチェックは、毎年必ず実施しなければならないのです。
以上、数次にわたって衛生委員会の意義を記述してきました。
どうでしょう。もはや、衛生委員会は、御社にとってなくてはならない協議体です。
トップの経営委員会に次ぐ位置づけではないでしょうか。
ぜひ、衛生委員会の役割と意義をご理解いただきたいと思います。

コメント
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