新聞報道によると、長時間労働とパワーハラスメントが原因で、精神的に不安定になり自死したという案件です。
類似例としては、当ブログでも再三紹介している、ワタミ過労死訴訟があります。
最近の事例ですから、結果をご存じの方も多いことでしょう。参照してください。
<ほっともっと>店長の遺族が損賠提訴…自殺は過労が原因
毎日新聞 3月29日
弁当チェーン「ほっともっと」店長の男性(当時30歳)が2011年に自殺したのは過重労働が原因として、
長野市などの男性の遺族が29日、チェーン運営会社「プレナス」(福岡市)に対し、
逸失利益など9300万円の損害賠償を求めて長野地裁に提訴した。
訴えでは、男性は三重県内の2店舗の店長だった11年4月以降、
上司から「達成できなければ死刑」とノルマを強要するメールを複数回送りつけられたほか、
自殺前の半年間の月間時間外労働は最長で274時間に達したという。同年7月、勤務店舗内で首をつって自殺した。
四日市労働基準監督署(三重県)は昨年1月、労災を認定。原告側は「過重労働からうつ病となり、自殺した」と主張。
プレナスは「訴状が届いていないのでコメントを控える」としている。
ほっともっと男性店長「長時間労働で自殺」 遺族が提訴
朝日新聞 3月29日
弁当チェーン「ほっともっと」の店長だった男性(当時30)がうつ病を患って自殺したのは、
長時間労働などが原因だとして、長野市の男性の父親(70)らが29日、
弁当チェーンを展開する「プレナス」(福岡市)に対し、約9394万円の損害賠償を求める訴えを長野地裁に起こした。
原告側代理人の一由貴史(いちよしたかし)弁護士によると、男性は2010年4月に同社に正社員として入社し、
同12月に三重県内の店舗に異動。11年3月ごろから精神的に不安定になり、同7月に店舗内で首をつって亡くなった。
会社のパソコンの履歴や勤務管理表、妻にあてたメールなどから、男性が亡くなる前の半年間の時間外労働は、
月に110時間35分~274時間29分にのぼっていた。
また、上司から「(売り上げが伸びなかったら)死刑にします」「死んでください」などの内容のメールが、男性に送られていたという。
プレナスの担当者は「訴状が届いていないので、コメントは差し控えたい」としている。
(参考)ワタミグループ過労自殺訴訟が和解 会社側が責任認める
2015年12月8日 朝日
ワタミグループの居酒屋「和民」で起きた過労自殺の遺族が、
ワタミや創業者で当時代表取締役だった渡辺美樹参院議員(自民党)らを訴えていた訴訟が8日、東京地裁で和解した。
渡辺氏らは法的責任(安全配慮義務違反など)を認め謝罪し、1億3千万円超を連帯して支払う。
若者を酷使する「ブラック企業」批判にさらされたワタミの責任を問う裁判は、今の働く場が抱える問題を浮き彫りにした。
訴えていたのは、過労自殺で娘の森美菜さん(当時26)を失った父豪さん(67)と母祐子さん(61)。
美菜さんは2008年4月、ワタミ子会社のワタミフードサービスに入社し、神奈川県横須賀市内の店に配属された。
同年6月に社宅近くで自殺。月141時間の残業があったとして12年2月に労働災害に認定された。
遺族は、渡辺氏の経営理念が過酷な長時間労働を強いるワタミの体制をつくったとして、渡辺氏個人の責任を追及。
裁判で渡辺氏は「道義的責任はあるが、法的責任はない」と争う姿勢を示していた。
和解で渡辺氏は「自らの経営理念が過重労働を強いた」「最も重大な損害賠償責任がある」と認めた。
渡辺氏以外で個人の責任を認めたのは、当時のワタミ子会社代表取締役とワタミの人事部統括本部長。
ワタミ側は、労働時間を正確に記録することなどの過重労働対策にも同意。
これらの内容をワタミと渡辺氏のホームページに1年間掲載する。
和解内容には、研修会への参加や課題リポート作成に必要だった時間を労働時間と認めて残業代を支払う
▽給与から天引きしていた書籍代や服代を返金する――などの内容も盛り込まれた。
美菜さんと同時期の新入社員にも、未払い残業代として1人につき2万4714円(08~12年度入社、約800人分)、
天引き分として1人につき2万4675円(08~15年度入社、約1千人分)を支払う。
遺族は、逸失利益などに過酷な労働を強いたことに対する約7千万円の「懲罰的慰謝料」を加えた約1億5300万円を求めていた。
遺族代理人の玉木一成弁護士は「広範な過重労働対策を認めさせた。判決を得る以上の成果があった」と述べた。
■ワタミ過労自殺訴訟の経緯
2008年4月 森美菜さんがワタミ子会社ワタミフードサービスに入社
6月 美菜さんが社宅近くのマンションで自殺
2012年2月 労災認定
9月 遺族がワタミに協議申し入れ
11月 ワタミが民事調停申し立て
2013年5月 渡辺氏が自民党から参院選への立候補表明
12月 遺族が提訴
2014年3月 渡辺氏が東京地裁で「法的責任は見解に相違」と陳述
2015年12月 ワタミ側が法的責任を認め、和解